虫♪虫♪芋虫!
『お迎えじゃな。』
ロイロは千春達も見える程の距離になり千春へ言う。
「お迎え?」
「ほら!鳥獣人だ!」
「飛んでるねー!」
「おぉー!初めて見るー。」
JK達がキャッキャしながら窓から手を振ると獣人達は驚きながらもロイロに声を掛ける。
「ドラゴン様、ようこそお越しくださいました。」
『うむ、初めて来るのじゃが問題無いか?』
「ご用件は?」
『連れの休憩じゃ。』
「了解しました、こちらへどうぞ。」
人間に羽が生えた姿の鳥獣人はそう言うと村へ案内する、周りにも数人の獣人が飛んでいる。
「あの人手が羽だ。」
「あの獣人さんは四肢であの人は六肢なんだね。」
「進化の違い?」
「らしいよ~。」
美桜、麗奈の問いに千春が答える、ゴンドラはゆっくり高度を下げ村に到着する。
「とうちゃーく!」
「チハルおねーちゃんおしっこー。」
「はいはーい、すみませーん!トイレ貸して下さーい!」
「どうぞこちらへ。」
最初に声を掛けて来た獣人がにこやかに答え、大きな家を指差す、子供達と一緒にモリアンとナッテリーが付いて行く。
「んー!」
背伸びをする千春達。
「なんか良い匂いするね。」
「・・・なんか嗅いだことあるなこの匂い。」
千春と頼子がクンクンと匂いを嗅ぐ。
「向うの方からだな、食べ物が有るみたいだ。」
ルプは香りの先を見ながら答える。
「お昼は買い食い出来るかな?」
「果物も買いたいよねー。」
美桜と麗奈が言うと、妖精達が嬉しそうにクルクル回る。
「私もトイレ行きたい。」
「うちもー。」
「ユラ達が帰ってきたら順番に行こうか。」
そして暫くするとユラ達が戻り、JK達もトイレ休憩を終わらせる。
「それじゃお店見ますかー。」
「チハル王女殿下。」
「はいはい?」
コンゴに声を掛けられ千春が返事をすると、申し訳なさそうに話始めるコンゴ。
「馬車を出して頂けると・・・。」
「馬車?」
「はい、この村で卸す品が有りまして。」
「あ!そうだ!商人さんだったね!コンゴさん。」
「はい。」
ニコッと笑うコンゴ、この村でも売る物、買う物が有るらしく馬車と馬を出すと、護衛の冒険者と一緒に目的の場所へ向かって行った。
「商人さんも大変だぁねぇ。」
「ココまで空から来たんだ、楽してるだろ?」
ルプはクックックと笑いながら答えると、そうだね~と笑いながら答える千春、そして商店が見えて来るとユラが匂いを嗅ぎ楽し気に話始める。
「チハルおねーちゃん!」
「なにー?」
「カランプの匂いするー!」
「カランプ?」
カランプと聞き、サフィーナ、モリアンがピクリと反応する。
「・・・なんだっけカランプって。」
「チハルさん、アレですよ・・・芋虫。」
「・・・あー!!!アレ!?」
「げ!アレ売ってんの?」
「鳥って虫食べるよね。」
「マジで?」
「鳥じゃなくても食べる人居るけどね。」
千春はそう言うとユラを見る。
「おいしいよ?」
「・・・うん、そうだね。」
ユラは楽し気に話す、そしてユラが向かったのは勿論カランプを炒っている店だ。
「おじさーん!」
「お?狐の子とは珍しいな。」
背中から大きな羽を見せる鳥の獣人はユラを見て微笑む。
「それカランプ?」
「おう、食べるかい?」
「たべる!」
おじさんは串で1つ刺すとユラに渡す。
「ほれ。」
「・・・いいの?」
「いいぞ~。」
「ありがとう!」
「そこのお嬢ちゃん達もほれ。」
イーレンとイーナにもカランプを渡すおじさん。
「いただきまーす!」
「ありがとうなのです!」
幼女3人はパクっと芋虫を口に入れモグモグと食べる。
「・・・美味しい?」
千春が後ろから問いかける、答えを聞くまでもなくニコッと微笑む3人。
「まじかぁ。」
ユラ達は食べ終わると、カランプを注文し、大きな葉で包まれた沢山の炒ったカランプを受け取る。
「さ、他の見に行こう!」
千春は炒る前のカランプから目を逸らしつつ他の店を見て回る。
「・・・やべぇ、こっちバッタだ。」
「こっちは何か分からないけど確実に虫だったわ。」
「虫多いな!」
「鳥って虫・・・食べるからねぇ。」
「肉は無いのかー!」
「魚でも良いー!」
JK達はウロウロと店を回っていると、肉串を売っている店を見つける。
「隊長!肉発見しました!」
「でかしたミオ!」
頼子は美桜に声を掛けるとその店に突撃する。
「すみませーん!」
「あら、可愛い♪人間?」
「はい!この肉何ですか?」
「これ?コカトリスよ♪」
「・・・まさかの鳥肉!」
「ほら、魔物だからアレじゃん?」
頼子はそう言うと、腕から羽の生えた女性を見る。
「ん?何?」
「えっと、鳥の獣人さんも鳥食べるんだなーって・・・。」
「あははは、勿論食べるわよ?コカトリスはここらに沢山巣があるの。」
「へぇー、あ、アレは?クオイス鳥とか。」
「え?クオイス!?あんな狂暴な鳥捕まえられないわよ!?」
「やっぱり狂暴なんですね。」
「それはそうよ、飛ぶよりも早く走るし、あの太い脚で蹴られたら一発で死んじゃうわ。」
想像したのかブルっと震える女店員。
「コカトリスの串焼きください♪」
「はいはい、何本?」
「千春、コカトリスたべるー?」
「え?!鳥あんの?!」
「あるってー。」
「えーっと、40本くらい頼んでー。」
千春に言われ頼子は40本と注文すると驚く女性店員。
「急いで焼くからちょっと待っててくれる?」
「はーい♪」
「ヨリ、ココ任せて良い?」
「いいよん。」
「他も見て来るわ。」
「うぃーっす。」
それぞれが店を回り、食べれそうな物を買って行く、麗奈は妖精達を引き連れ果物が売っている店に行く。
「チハルおねーちゃん!」
「ん?何か食べたいのあった?」
ユラに服を引かれユラが指差す方を見る。
「・・・マジで?」
店を見ると、人の頭程ある大きな芋虫が動いていた。
「アレ!」
「・・・うん・・・食べたいの?」
「うん!」
「・・・マジで?」
「おいしそう♪」
「・・・えぇ~?」
千春はダメとも言えずチラッとサフィーナを見る、サフィーナはフイッと目を逸らす。
「まぁ・・・うん、そうだね、異世界だもんね、チャレンジするのも有りか!」
フンッと気合を入れる千春、ユラ、イーレン、イーナを連れ巨大芋虫の店に行く。
「らっしゃい。」
「あのー、ここ何のお店です?」
モゾモゾと動く巨大芋虫は、木の籠に入っているが、千春は視野に少し入るくらいに目を逸らす。
「タガニカランプ焼きだ、食べるか?」
「ヴッ・・・あ、はい、えっと・・・レンちゃんイーナも食べるの?」
「はい!たべます!」
「たべるのです!」
「それじゃ・・・3つ。」
「あいよ。」
鷹の様な羽を持つおじさんはペラペラな丸い物を取り出す。
「ライスペーパーみたい。」
「ん?これか?タガニカランプの皮だ、これに・・・。」
丸く切られた皮を軽く炙ると、香ばしい匂いが広がる、そこにクリームの様なソースを垂らすと、上に細く切られた葉を並べる。
「おぉー。」
巨大芋虫の事を忘れ、千春はおじさんの作業を見つめる、葉を乗せた後に果物を並べるとクルクルと丸め千春に渡す。
「ほいよ、3つで銅貨9枚だ。」
「あ、有難うございます。」
千春が受け取ると、ユラ達に渡す。
「ありがとー!」
「ありがとうございます!」
「ありがとうなのですっ!」
3人は嬉しそうに受け取ると早速パクリと齧り付く。
「んー!」
「んー!」
「んー!」
「・・・クレープみたいだね、美味しい?」
千春が問いかけると3人は頷く。
「・・・おじさん、もう1つ良いですか?」
「あいよ!」
おじさんは同じ工程を行い千春にもう1つ渡す。
「ありがとうございます。」
千春はお金を渡しクレープの様な物を見つめる。
「チハル・・・食べるの?」
「・・・だって、ほら。」
千春とサフィーナはユラ達を見る、ユラ達は美味しそうにパクパク食べている。
「女は度胸!」
そう言うとクレープモドキを口に入れる千春。
「!?」
「・・・吐くならアイテムボックス開きますよ!?」
「美味しい・・・。」
「本当?」
「うん、パリパリな皮とクリーミーなソースと果物の甘さ、野菜っぽいのがシャキシャキして・・・うまっ。」
「でもコレですよね?」
サフィーナは巨大芋虫を見る。
「おじさん、このクリームって何ですか?」
「ん?これか?タガニランプを煮詰めたソースだ。」
「うぶっ・・・コレが本体かぁぁ!!!」
「吐きます?!ペッします!?」
「だ、大丈夫・・・美味しいから。」
そう言うと千春はクレープモドキを見つめもうひと口食べる。
「・・・美味しいんだよなぁ!」
美味しいと言いながら苦笑いしつつもクレープを睨みつける千春、そして頼子達の分まで注文し、買うとアイテムボックスに入れる。
「そんなに美味しかったの?」
サフィーナは眉間に皺を寄せながら問いかける。
「うん、これは皆に食わす。」
「・・・言わずに?」
「一応言うよ?」
悪戯っ子の顔で答える千春、しかし皆も同じような物を見つけ同じ事を考えていた、そして昼食はJK達の悲鳴が響く食事となった。
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