大渓谷の底には何が有る?!
「だい!」
「けい!」
「こく!」
美桜、青空、大愛は大きな地面の割れ目を見ながら大きな声で叫ぶ。
「すっごぉ・・・これどんだけ下まで続いてんだろ。」
千春は恐るおそる下をのぞき込むが腰が引いて真下は見えない。
「箒乗れば?」
「ソレだ!」
頼子に言われ千春は箒を取り出し跨ると、ゆっくりジブシャン大渓谷の下をのぞき込む。
「ひぃ~。」
「深いねー。」
一緒に杖に跨り下をのぞき込む頼子と麗奈。
「チハルー滝見に行こ~♪」
同じく箒に跨る日葵が千春に声を掛ける。
「おっけーこのまま飛んで行く?」
「そだね。」
侍女達も杖に乗ると皆は先の方にある大きな滝を見に行った。
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「あの巣を狙うか?」
「そうじゃな、見た所10羽程か?」
「小さいのもいるな。」
「アレは親鳥じゃな、あの親鳥と子はやめておくか。」
「あっちで走っているヤツを狙おう。」
「4羽じゃな。」
「あぁ。」
高台から平原を見るロイロとルプ、ビェリーとコンもルプの背から平原を見まわす。
「あっちにもおるばい?」
「あー・・・あれか。」
「あっちも同じくらいだな。」
「あっちも行きます?」
「何羽くらい狩れば良いんだ?」
ルプはロイロを見ながら問いかける。
「一羽であの大きさじゃろ?数羽でいいじゃろ。」
「また欲しけりゃ狩りに来ればいいか。」
「じゃな。」
「それじゃ行くか。」
ルプはそう言うと高台から飛び降りると地面を駆けだす。
「儂は空から行くかのぅ~♪」
ロイロはそう言うとドラゴンの姿になり地面を蹴る、そしてクオイス鳥の乱獲が始まった。
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「降りる?」
「降りるでしょ。」
滝を見学した後千春達は少し先に進みながら下をのぞき込む。
「危なくない?」
「ウチに聞くなし。」
「うわぁ、この渓谷閉まったりしないよね?」
「怖い事言わないでよレナ。」
「圧迫感凄いね。」
「そう?すっごい壮大で綺麗じゃん。」
JK達はゆっくりと大渓谷を降りて行く。
「渓谷の幅すごいなー。」
「距離も凄いけどね。」
「何処まで続いてんだコレ。」
「地面が割れたッてことでしょ?」
「でもこんなに一直線に割れるものなの?」
渓谷をゆっくり降りながら話すJK達。
「これどうやって出来たんだろ・・・。」
ふと疑問に思った千春が呟く。
「アイトネー、みてるー?」
『見てるわよ~♪』
渓谷を降りていた千春の横にフワリと現れ一緒に下降するアイトネに千春が問いかける。
「この渓谷ってどうやってできたの?」
『これ?私が地面を割ったのよ。』
「え“?」
「アイトネ様の仕業だったの!?」
「流石神様、やる事パないな。」
千春が驚くと頼子と麗奈が突っ込む。
『3万年くらい前に面倒な子が居てね、隔離するのに地面を割ったのよ♪』
「それってバグ的な?」
『ぴんぽ~ん♪』
「その面倒な子は?」
『引きはがして魂を浄化してあげたわ。』
「バグは?」
『いつものように処理したわよ♪』
「で?この大渓谷は?」
『・・・元に戻すのわすれてたわ♪てへっ♪』
「いいの?このままで。」
『別に良いでしょ、3万年割れたままで何も問題無かったもの♪』
「そりゃそうか。」
話していると大渓谷の下へ辿り着く。
「おぉ・・・何も無い。」
「まぁ無いよね。」
「割れてる割には地面がちゃんとあるんだね。」
地面を踏みしめる日葵はアイトネを見る。
『3万年の間に周りの壁や土が積もったのよ。』
「「「「へぇー。」」」」
所々に大きな岩が転がっているが、比較的平らな地面が延々と続く。
「・・・!?」
「どうしたん?千春。」
「・・・。」
千春は無言で先の方を指差す。
「何か居た?」
「動いた。」
千春が指差す方を皆が見る。
「あ!動いた!」
「岩?」
「いや!その横のモジャモジャしてるやつ!」
「あ!ほんとだ!何か居る!」
『あら、土の精霊じゃない。』
「土の精霊?」
『えぇ、こっちではグノーム族って言う種族よ。』
「へぇー、危なくない?」
『私が居るから大丈夫よ♪』
「居なかったら?」
『話は出来るから大丈夫だと思うわよ?』
千春に答えるアイトネ、千春はそれを聞き、楽し気にグノーム族へ声を掛ける。
「こんにちわー!」
「うわぁ!なんじゃらぁ!?」
「ココで何してるんですかー?」
「・・・だれじゃら?」
「チハルです♪」
「そう言う事じゃぁないんじゃぁがぁ~・・・!?」
グノーム族は毛むくじゃらの体をビクッと動かしアイトネを見る。
「アイトネ様じゃらぁぁぁ!!!」
『はぁ~い♪何してるのか聞いてるわ~♪教えてくれる?』
「はいぃ!マナの通りをつくってたんじゃらぁ!」
「マナの通り?」
「そうじゃらぁ!聖樹の根を通す道を作るんじゃらぁ!」
「あ、お仕事してたのか。」
「そうじゃらぁ!」
「アイトネ、聖樹ってもしかして世界樹?」
『そうよ~♪この子達は土の精霊、森の精霊達とは違う仕事をしているの。』
「へぇ、報酬は?」
『世界樹から溢れるマナね。』
「へぇ~・・・あ、アイトネの仕事手伝ってるって事?」
『そう言う事になるわね。』
「だからアイトネの事しってんだねー。」
まじまじとグノーム族を見る千春、人と言うよりは毛むくじゃらの団子が動いているような姿に興味津々だ。
「チハル!あっちにもいる!」
美桜は壁にある大きな穴を指差すと、小さな毛玉が動き回っていた。
「子供かな!?」
「かわいいな!」
「毛玉が動いてる!」
「うわー!かわいいんだが!?」
JK達は動く毛玉を見ながら叫ぶ。
「あの子達は子供?」
「そうじゃらぁ!」
「声大きいなぁ!」
「そうかぁあ?!
「そうだよぉ!」
ついつい楽しく大声で返す千春、すると上から声がした。
「千春!」
「ルプ!おかえり!」
『なんじゃ、土の精霊がおるではないか。』
「お、土鬼じゃねぇか。」
「土鬼ですねー。」
「久しぶりやーん。」
「あの時のアイツじゃねぇだろ。」
ペット達は話しながら渓谷の底へ辿り着く。
「ルプ知ってんの?」
「あぁ、こいつ等ジブラロールにも居るぞ。」
「え?マ?」
「あぁ、エイクラーダンジョンに居たな。」
「ダンジョンにも居るんだ。」
「ダンジョンはマナが豊富だらぁ!」
「マナ好きだねぇ君たち。」
マナが大好きグノーム族に問いかける千春。
「こんなご飯も無さそうな所でよくやるねぇ。」
「ほんと・・・何も無いじゃん、君たち何食べてんの?」
青空と大愛は不思議に思い問いかける。
「食い物なら沢山いるだらぁ!」
「へぇ~、何食べてるの?」
「食い物だらぁ!」
「それを聞いてんだけどね?」
大愛が突っ込むとグノーム族は大きな穴の方を見ると声を上げる。
「うぎぎゃぐぎゃがぐぎゃ!」
言葉にならない言葉を叫ぶと、穴から同じような叫び声が聞こえ、もう一人の毛むくじゃらが現れるそしてその手には・・・。
「ぎゃぁぁ!!!!!!」
「ちょぉぉぉぉぉぉ!!!」
「それくってんのぉぉ!?」
「持ってこないで!お願い来ないで!!!」
「ぎゃー!!!!やめて!!!!」
グノーム族の手にはまだイキイキと足を動かしている大きな大きな・・・それは立派なGが掴まれていた。
「でっけぇゴキだな。」
「大きいですねぇ。」
「コレ食うん?マジかいな。」
ルプ、コン、ビェリーが思わず呟く。
「おんしゃらもくうかーぁ!?」
「食わねーよ!相変わらずうるせぇなこいつ等。」
「そう言う種族やけんしゃーないやん?」
「流石に虫は嫌ですねぇ~。」
コンはグノーム族から千春達に視線を動かすと、千春達はドラゴン達の背に隠れながら覗いていた。
「むり。」
「うん、この種族とは相容れないわぁ。」
「せめて・・・いや、火入れるとのレベルじゃないなコレは。」
「うん、むり。」
遠くから呟くJK軍団。
「なんじゃらぁ!?人間はこれ食べないんじゃら!?」
「食べないよ!見たくもないよ!」
「千春!もうここには用はないよ!」
「そうだね!グノーム族さんだっけ!ばいばい!」
千春はそう言うとドラゴンの後ろで箒を取り出し直ぐに跨ると地面を蹴った。
『あらあら、それじゃお仕事がんばってね♪』
「アイトネ様からのお言葉をもらえたじゃらぁぁ!ありがたいがぁぁ!!」
アイトネを拝むグノーム族達、そして皆は渓谷の底から逃げ出す様に離脱した。
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