卒業旅行に出発だぁ!

「フォォォォォン!」

 クジラの姿をしたティスケリーは大きく吠えると空へ浮かぶ。


「しゅっぱーつ!」

「いってきまーす!」

「すごぉぉ!飛んでるねー!」

 大きなバス程のゴンドラに乗りJK達は下で見送るセイレーン騎士団に手を振る。


「島までどれくらいだっけ。」

 頼子が千春に問いかける。


「1日としか聞いてないなそう言えば。」

 千春はそう呟くとクジラに声を掛ける。


「ティスケリーさーん!島までなんじかーん!?」

「フォォォ~~~~~ン」

「6時間かぁ、結構時間かかるね。」

「そりゃ遠くの大陸まで行くんだもん。」

「某女神様にぴょ~んっと飛ばしてもらったら良かったんじゃない?」

「旅行にならないじゃん。」

 千春は腰に手をやり皆に言う。


「しかしこのゴンドラは凄いな。」

 エンハルトはエーデルとホーキン2人に言うと、2人は頷く。


「厨房に風呂までありますよ。」

「生活出来ますね。」

「途中に何度か休憩出来る島があるらしいが、チハル何か聞いてるか?」

「うん、いくつかの島に寄りながら行くって言ってたよ。」

 呑気に海を見ながら返す千春。


「チハル!アレ見てアレ!」

 美桜は下を指差すと大きな魚が泳いでいた。


「サメ?」

「デカすぎじゃん?」

 比較的低く飛ぶと言っていたティスケリーだが高層ビル程の高さには高度を上げていた。


「エーデルさんアレ何か分かる?」

 美桜はエーデルと下を見下ろしながら問いかける。


「何でしょうか、魚だとは思いますが。」

「捕って来るか?」

 エーデルが言うと横で子供ドラゴン姿のゼルがゴンドラの窓から身を乗り出す。


「危ないよ!?」

「ダイア、俺飛べるからな?」

「あ、そうだったわ。」

「ゼルが行くなら私も行こうかしら。」

 真っ白な翼をパタパタとしながらミカも窓際に立つ。


「危なくない?」

「姿を変えるから問題無い。」

「心配しなくて良いわよ♪」

 2人は窓から飛び出すと、黒と白の成獣ドラゴンになり海へ急降下する、そして。


ドォォォン!!!


「うぉぉ直撃!?」

「無茶するなぁ。」

 青空と大愛は心配そうにのぞき込む、ゼルとミカは何も無かったようにゴンドラまで飛んで戻る。


「捕まえたが・・・デカすぎて持てなかったわ。」

「俺の影に入れたがこのゴンドラよりデカいぞ?」

「・・・休憩の時に出してもらおうか、で?魚だった?」

「あぁサメだろうな。」

「サメね。」

「サメかぁ。」

 千春はポツリと呟く。


「どうしたん?千春」

「サメまだあるんだよなぁ。」

「・・・あ!海底ダンジョン!」

「それそれ。」

「まだあったのか。」

「身の部分あんまり食べてないじゃん?」

「あ~・・・そう言えば少ししか食べてないな。」

「アレもデカかったからねぇ。」

 何故か遠い目をしながら千春と頼子が話す。


「チハルアレ見て!」

 海を見続けていた日葵が指を差す。


「キラキラしてんねー。」

「魚かな?」

「魚っぽいね。」

「何の魚だろう。」

 JK達はキラキラした水面を見ているとルプが身を乗り出す。


「ほぉ~、デッカイ魚が餌を追ってるな。」

「サメ?」

「いや・・・マグロ?」

「マ?」

「あぁ多分な。」

「あのでっかいイッカクマグロかな?」

「角は無いようだが。」

 そう言いながら水面を見ているとコンとビェリーも水面を見る。


「マグロっぽいですねー。」

「わっちは見えんばーい。」

「捕りに行くか。」

「いいですね。」

「行くならわっちが影に片っ端から入れるばい?」

「よし。」

 ルプはそう言うとコン、ビェリーを背に乗せ飛び降りた。


「マグロって前取ったヤツ?」

「違うっポイよ。」

「あのイッカクマグロ美味しかったよねぇ~。」

「うん、美味しかった。」

「もうないの?」

「ないね。」

「あんなに大きかったのに!?」

「ルノアーさんにあげたから食堂で大盤振る舞い!」

「マジか、それじゃ補充だね。」

 JK達はルプ達を空から見下ろし狩りを見学した。



--------------------



「はーい休憩よ~♪」

 ティスケリーはゴンドラを下ろすと人型に戻りながら声を掛ける。


「ティスケリーさんお疲れさまー!」

「お昼ご飯楽しみね~♪」

「サメとマグロですよ?」

「美味しいんでしょ?」

「サメは微妙ですけどマグロは美味しいです。」

 楽し気に話すティスケリー。


「ココに出すばい?」

「うん。」

「ロイロ影作っちゃってん。」

「ココで良いか?」

「うぃ~。」

 ロイロはドラゴンになり翼を広げるとビェリーが一匹のマグロを取り出す。


「おー!マグロだぁ!」

「でっけぇなぁ。」

 千春と頼子は3mほどあろうかと言うマグロを見る。


「これがあと20匹くらいあるばい。」

「・・・マ?」

「ま。」

「影だと腐らない?」

「腐るばい。」

「千春!アイテムボックス!」

「・・・むり!」

「なんで!?」

「色々入れてっから入らない!」

「サフィーちゃん!」

「無理ですね、お出かけするので色々入れてますから。」

「げぇぇ!」

 頼子は困ったようにキョロキョロと見渡すと大愛と目が合う。


「ヨリ。」

「なに!?」

「ゼルの影収納も腐るよ。」

「うわぁ!どうするー!?」

「困った時の神頼みじゃん?」

「ソレだ!」

 頼子は大声であの方を呼ぶ。


「アイトネ様ー!」

『はぁ~い♪あなたのアイトネよぉ~♪・・・何これ。』

「魚です。」

『大きいわねぇ。』

「はい、で!コレがいっぱい有ります!」

『収納するの?』

「はい!」

『私よりハルの方が良いんじゃない?』

 アイトネはそう言うと指をパチンと鳴らす。


「・・・え?」

 椅子に座った春恵が本を手にキョトンとした顔で皆を見る。


『ハル、この魚収納してもらえる?』

「いいですけど・・・ココ何処?」

「おかぁさ~ん、魚収納してー!」

「千春、ココ何処?」

「無人島!」

「あぁ、休憩で寄ったのね。」

 春恵は納得したように立ち上がる。


「ビェリー出してー!」

「出すばーい!」

 ロイロの翼で出来た影に山の様にマグロを出すビェリー、春恵はそれをアイテムボックスに入れる。


「次はこっち!」

「ティスケリー、クジラになって影を作ってくれ。」

 ゼルはティスケリーに言うと、ティスケリーは頷き大きなクジラの姿になり空に浮かぶ。


「取り出すぞ。」

 ゼルはそう言うと影から巨大なサメを出す。


「・・・え?」

「なにこれ。」

「で・・・でっかぁ!」

「船じゃん。」

 巨大なサメを目にしたJK達は後退る。


「え~・・・これ無理じゃん。」

「無理だね。」

「食べるとかそういう次元じゃないわ。」

「どうするのコレ。」

「大きなトラック二つ分くらいあるんじゃない?」

「それくらいあるね。」

 見上げる程に高く、そして長いサメを見て呆然とするJK達。


「で?コレも収納するの?」

 春恵はサメを見ながら呟く。


「・・・一応。」

「分かったわ、どうするか決めたら言ってね。」

 春恵はそう言うとアイテムボックスに収納する。


「それじゃお昼はマグロで~。」

 収納が終わりほっとした千春はエーデルを呼びマグロの解体を始めた。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る