卒業旅行に行きたいな!
「あばばばぁ~♪」
「まだ何も見えて無いでしょう?」
千春はチェラシーの顔を見ながら変な顔であやしていた。
「お母様体調どうですか?」
「もう問題無いわ、凄いわねニホンの医学と言うのは。」
「ですよねー。」
「チハル達の魔法と医学知識のおかげでこんなに早く回復するなんてビックリだわ。」
マルグリットは千春の隣に来るとチェラシーを抱える。
「そろそろお腹空いたかしら?」
チェラシーを抱え椅子に座ると母乳を与えるマルグリット。
「チハルは大丈夫なの?」
「?」
「最近大変だったでしょう?」
「あ~、大丈夫ですよ?」
「チェラシーの誕生祭にフィンレーの誕生祭、センターシケンっていうテストもあったんでしょ?」
「はい、お陰様で・・・どうにかなった感じかな~って。」
「少し息抜きしたらどう?」
「息抜きしてますよ?今も息抜き中ですし。」
マルグリットに抱かれ母乳を飲むチェラシーを見ながら微笑む千春。
「ただいまーおかあさま!チェラシー!チハルおねーちゃん!」
「おかえりユラ、元気だねー・・・ぐふっ!」
ユラは全力で千春に抱き着くと千春が呻く。
「きょうね!レンちゃんとルペタちゃんとケンくんとシューくんがね!えっとね!」
興奮気味に話すユラ。
「遊びに来るの?」
「そう!チェラシーみにくるの!」
ユラの言葉に千春はマルグリットを見る。
「もう落ち着いたから良いって言ったのよ。」
微笑みながら答えるマルグリット。
「ん~・・・。」
「どうしたの?おねーちゃん。」
「ん、もうすぐおねぇちゃん学校おわるんだよ。」
「おわるの?」
「うん、ちょっとなが~い休みが有るんだけどぉ~。」
「ながい休み?」
「そ、試験も終わって自由登校・・・って分かんないか。」
「わかんなーい。」
「・・・あ!」
千春はピコン!と音が鳴るように笑みを浮かべる。
「どうしたの?」
マルグリットはまた変な事を考えてるなと思いながら千春に問いかける。
「卒業旅行こっちでしちゃおうかと思いまして!」
「卒業旅行・・・そっちでも有るのね。」
「こっちもあるんですか?」
「あるわね、学園を卒業する生徒達が集まって色々な所へ見聞を広げる為、旅に出るわ。」
「・・・いや、そんな見聞を広げるとか大袈裟な事じゃないんですけどね?」
「で?何処に行くの?」
「今思いついただけなので、何処とは決めてないですけど・・・お母様冒険者時代にココ!って所有りませんでした?」
「そうねぇ~・・・。」
マルグリットはチェラシーを軽く肩に預けると背中をトントンと叩く。
「遠くても良いのかしら。」
「はい、ある程度ならリリ達のフェアリーリングでショートカット出来ますし、そこからロイロ達に乗っていくのもアリなので。」
「そうね、帰りは直行できるから片道だけですものね。」
「はい♪」
千春は楽し気に答えるとマルグリットが天井を見上げながら考える。
「昔クジラに乗って別の大陸に行った事有るけれど、あそこは面白かったわね。」
「へぇ~クジラってティスケリーさんですよね・・・え?別の大陸?」
「えぇ、途中の島で少し遊んで行ったから2日くらいだったわ。」
「ドラゴンならもっと早いかな。」
「そうねぇ、でも急ぐ旅じゃないんでしょう?」
「はい、ゆっくり遊べます。」
「ティスケリーなら途中遊んだ島も覚えていると思うわよ。」
「その島何が有るんですか?」
「サンゴ礁で出来た島でね、色々手に入れたわ。」
マルグリットはお腹いっぱいになったチェラシーをベビーベッドに寝させると、机にある箱を手に取り千春の前に置く。
「これよ。」
綺麗に磨かれた乳白色の指輪やネックレスを見せるマルグリット。
「うわぁ!綺麗!」
「こっちは赤いサンゴね。」
「おぉぉ、宝石みたい!」
「このサンゴの石には精霊が宿るって言われてるの。」
「ルルみたいな?」
「私には妖精は見えないから分からないけれど。」
2人はユラの頭に乗ったルルを見る。
「その石には宿ってないわよ~♪」
「あ、宿る子も居るの?」
「幼い妖精は石に憑く子も居るわね~♪」
「へぇ~。」
「行く?行くならティスケリーに言っておくわよ?」
「それは大丈夫です、自分でお願い出来ますし、丁度良いネタ持ってるんで。」
「何かしら。」
「穴子っていうんですけどね?」
「アナゴ?」
「はい、鰻みたいな魚です。」
「へぇ、食べてみたいわね。」
「食べますか?」
「えぇ♪」
「おばぁちゃんとカノンママにも許可貰ってるんで今日作りますね!」
「楽しみにしてるわね。」
千春は微笑み返すとマルグリットの部屋を後にした。
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「え~っと。」
千春は歩きながらポチポチとスマホを弄る。
(ちは~)卒業旅行はクジラに乗って別の大陸へ旅します!
(よりすけ)急だなおぃ!
(MIO~N)大陸?パパドラさんにちょっかい掛けてた大陸?
(ちは~)そうかもしれない
(MIO~N)かもしれないなのか
(れ~な~)おっけー!いついくのー?
(SORA)いくぜ
(だいや)いくぜ
(ひ~ま)何泊すんのかな?
(カノン砲)マジかYO
(ちは~)今からティスケリーさんに交渉しにいきます
(よりすけ)今からかい!
(だいや)ってことは天ぷらでもすんの?
(ちは~)ぴんぽーん
(ひ~ま)何泊するんじゃい!
(ちは~)未定<ひま
(れ~な~)手伝うよ~今からそっち行くね
(ちは~)よろ<れな
(MIO~N)ウチもいくわ、チハルの部屋でOK?
(ちは~)うん、取り敢えず呼んで来るから~
「よし、みんなはこれでおっけ~っと。」
「チハル、護衛はどうしますか?」
「サフィー達も行くし、ドラゴンも連れて行くからいらんくね?」
「・・・別に良いですよ?怒られるのはチハルですから。」
「サフィーのいぢわるぅぅぅぅ!」
「そこは旦那様に任せましょうか。」
「うん、ハルトに言いに行くかー。」
「行かなくても来るでしょ?」
「そうだねー・・・あ、天ぷらするし食事の話もしとかないと。」
「モリアンに連絡させましょう。」
サフィーナは通信魔道具でモリアンに指示をする。
「あとはティスケリーさんだね。」
「昨日来てましたね。」
「うん、旅館に居るだろうから呼びに行こう。」
「部隊に行かせましょう。」
サフィーナはまた魔道具で連絡をする。
「私が行くのに。」
「王女殿下がほいほいと出かけないで下さい。」
「いいじゃん。」
「よくありません。」
「いまさら・・・。」
「チェラシー様がチハルを見て同じ事しますよ?」
「・・・ソレはマズイ。」
「・・・まずいと分かってるのなら自重してくださいね。」
「はーいサフィーママー。」
反省の無い返事をしながら千春はスキップしながら自室に戻った。
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