ドラゴンの里でJK料理!

「よーし焼けた。」

 ドラゴンが持ってきた魚を切り身にし千春は素焼きで口に入れる。


「モグモグモグモグ・・・。」

「どう?」

「淡泊な感じだねー臭味も無いし。」

「へぇ、何の料理が合いそう?」

「ん~、色々出来そうだけどムニエルとか良いかも。」

「ムニエルイイね。」

「あとはホイル焼きとか?」

「アルミホイルある?」

「あるよ~ん。」

 料理を決めるとJK軍団は準備を始める。


「チハル、コンロは何個出しますか?」

「んっと・・・全部。」

 サフィーナは千春の言葉を聞くと頷きアイテムボックスから取り出す。


「千春、私が持ってる分も出す?」

「うん、オーブンあったよね。」

「あるよー、そこでいい?」

 頼子は広いスペースに大型のオーブンを設置する。


「それじゃ二手に分かれよう!」

「あっちはどうすんの?」

「羊?」

「うん。」

「羊肉だもんなぁ、何作ろうか。」

「ジンギスカン!」

「アレは?ラムチョップとか言うヤツ。」

 青空達が話していると日葵がスマホで検索する。


「色々あるよ?ほら。」

 日葵はレシピを見せながら話す。


「色々あるね。」

「こんなに料理あるんだねぇ。」

 大愛と日葵、花音がレシピを見ながら呟く。


「色々作ってみようよ。」

 青空が言うと、3人は頷く。


「チハル、羊はうちらが料理するわ。」

「了解!それじゃ私は魚料理の方やるね。」

 他のドラゴンも持ってきた魚を見ながら千春は答えると、切り身を頼子達に渡し千春は魚を捌いた。



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「ジブラロールか。」

 パパドラはママドラに答える。


「えぇ、良い所よ。」

「ドラゴンと人間が共存か、信じられんな。」

「でも実際に生活してるわ、それに妖精達も一緒に生活してるわよ。」

 ママドラは麗奈と日葵の周りで飛び回るリリとクゥクゥを見ながら話す。


「湖の周りにも妖精は居るが、人間には絶対に近寄らないぞ。」

「でしょうね、でもジブラロールには沢山居るわよ。」

 ママドラはジブラロールで飛び回り、果物を人間から貰う妖精を思い出しクスクス笑う。


「・・・楽園だな。」

「えぇ、多種族、妖精族、ドラゴンが共存出来る国、そしてそれを可能にさせたのはあの子のおかげ。」

 そういうと千春を見つめる、その目線を追うとパパドラは不思議そうにロイロを見る。


「ロイロと名付けられたのか?」

「うむ。」

「契約したという事はそれだけ心を許したという事か。」

「・・・いや、契約の事を忘れておってな、飯を貰って名前を付けられて契約してしまった。」

「そのわりには嬉しそうだな。」

「それはそうじゃ、チハルの飯は美味い、チハルと共に逝く事になっても・・・それに儂はまた転生出来るからのぅ。」

「特殊な魂だな。」

「女神と同じ精神世界から来たからのぅ。」

「それで?チハルの飯と言うのは?」

「口で説明するのは無理じゃな。」

「どういう事だ?ただの飯だろ?」

 パパドラは不思議そうにロイロを見る。


「ほれ、匂いが流れて来たじゃろ。」

 ロイロはスンスンと匂いを嗅ぐ、バターとガーリックが焼ける匂いを嗅ぎ微笑む。


「なんだ?この匂いは。」

「チハルの料理じゃ、父も食えば分かる、美味いぞ?」

「美味い・・・か。」

「えぇ、物凄く美味しいわ、そしてジブラロールが楽園と言った意味が分かるわよ。」

「飯が?」

「そう、生きるために食う、ドラゴン、いえこの世界の生き物が当たり前に思っている事が当たり前じゃなくなるわ。」

「あとは酒じゃな。」

「酒か。」

「妖精族が作る発酵酒ではない、洗練された酒じゃ。」

「これがまた食事と合うのよねぇ~♪」

 ママドラとロイロが楽し気に話す、それをパパドラは不思議そうに見る。


「長、私もお手伝いして宜しいでしょうか。」

 エメラルドグリーンのドラゴニュートが声を掛けて来る。


「あぁ好きにして良いぞ。」

「有難うございます。」

 嬉しそうに答えるとドラゴニュートは千春の元へ向かった。


「へぇ、人間に偏見を持たない子も居るわね。」

「あの娘は変わってるからな、たまに人里へ遊びに行っている。」

「あら、許してたの?」

「痛い目に合えば人間の醜さを知ると思って放っておいた。」

「そうは見えないわね。」

「・・・そうだな。」

 エメラルド色のドラゴニュートは既に千春から仕事を貰い、一緒に楽し気に料理を教えてもらっている。



-------------------



「ドラゴンちゃんこっちのアルミホイルに野菜並べてくれるー?」

「はい!」

「ドラゴンちゃん、名前何て言うの?」

「☆▲※◎★●ですっ♪」

「うん、かひぃべるぅい・・・言い難い!」

「そうですか?」

「うん。」

「呼びやすい名前付けるとか?」

 頼子が横から問いかける。


「いや!それやると多分契約しちゃう・・・よね?」

 千春は遠くに居るアイトネを見ると、しっかり話を聞いていたようで首を横に振る。


「あれ?契約しない?」

 もう一度言うとアイトネは頷く。


「大丈夫っぽい。」

 千春が言うと麗奈の頭の上に乗ったリリが答える。


「この子の魂は精霊体じゃないから大丈夫よ~ん♪」

「あ、そうなんだ、それじゃ名前付けて良い?」

「名前ですか?」

「名前って言うかあだ名かな、呼びにくいんだもん、かひぃべぇ・・なんだっけ?」

「鱗綺麗だよね~、エメラルドみたい。」

「エメちゃん?」

 美桜がアルミホイルで船の様な入れ物を作りながら話す。


「安易すぎ~、もっと可愛い名前がよくな~い?」

 麗奈はフライパンでバターを溶かしながら話す。


「こういう色って他に名前ないかな。」

「綺麗な緑?」

「うん、それっぽくても良くない?」

「ん~・・・翡翠色とか?」

「いいねヒスイ。」

「いいじゃん、可愛いし。」

 JK達がドラゴニュートの娘を見ると、キョトンとした顔で皆を見る。


「ヒスイちゃんでいいかな?」

「はい!私はヒスイです!」

 嬉しそうに答える翡翠。


「はい決まりー、ヒスイちゃんつぎこっちの野菜をそのアルミホイルに入れてねー。」

「はい!」

 ヒスイは嬉しそうに頷き、また作業を始める。


「チハル様、肉の方も解体が終わりました。」

「はーい!ソラ、そっちヨロシクー!」

「まかせろい!」

「よっしゃ、私ジンギスカン担当ね!」

「鍋ねぇじゃん。」

「チッチッチ、土魔法でそれっぽい岩使って作ったからね!」

 日葵は相性の良い土魔法で土鍋を逆にしたようなジンギスカン鍋を器用に作り上げていた。


「うちはこの部位使って骨付きステーキつっくろ~♪」

「私は唐揚げ作ろっと。」

「え”?羊肉で?」

「ほら、レシピあるよ。」

「ホントだ。」

「チハル、オーブン使って良い?」

「いいよーカノンはなに作るの?」

「これでオーブン焼き!」

 花音は手に持った筒状の物を見せる。


「困った時のマジック塩!」

 花音はフフン!と鼻を鳴らしながら答える。


「おっけ!それじゃ皆ヨロー♪」

「「「「「「「おー!」」」」」」」

 JK軍団は材料が揃い、それぞれが料理を始める、そしてドラゴンの里中に良い香りが流れ始めた。








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