ダメな大人達に回復を!
「んぅっ・・・。」
大樹はベッドに座り唸る。
「呑み過ぎたぁ。」
ベッドに座ったままうつむく大樹に執事が声を掛ける。
「タイキ様おはよう御座います、二日酔いに効くお茶が有りますが飲まれますか?」
「はい、頂きます。」
コクリと頭を下げ立ち上がると、隣にある応接間に移動しソファーへ倒れる様に座る。
「どうぞ。」
「有難うございます。」
大樹はお茶を口にする、ほんのりと色づいたハーブ茶のようだ。
コンコンコンコンコンコン!
「・・・千春かな?」
大樹がしつこいほどのノックに苦笑いしながら呟くと執事が笑みを浮かべながら扉を開ける。
「おはよー!お父さーーーーん!!!!」
「あ”ぁぁぁぁ!」
「やっぱり二日酔いじゃん。」
「分かってるなら静かに入って来なよぉ。」
「えへへへ、アレやる?」
「お願い。」
千春はテコテコと大樹の横に行くと手を取り魔法を掛ける。
「・・・アンチドート♪」
ポワリと光ると大樹が頭を上げる。
「はぁぁ、やっぱり良く効くなぁコレ。」
「あてにして呑むのやめてよねぇ~。」
「だってお母さんも結構呑んだんだよ?」
「あー、おかぁさんは女神補正で酔わないし二日酔いにもならないから。」
「ずるいよねぇ~。」
「おかぁさんこっちで寝たら良いのにねぇ。」
「夜一緒に居たよ?」
「え?そうなの?」
「うん、お父さんが寝たら門番するって言ってたから、お父さん寝てからそっちに行ったんだと思うよ。」
「ふ~ん・・・ふ~ん。」
「何?そのふ~んって。」
「べ~つ~に~?」
千春はニヤっと笑うと手を振り大樹の部屋を出て行った。
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「おはようございまーす。」
美桜は扉の前に居た執事に声を掛ける。
「はい、先程起床され寛がれております。」
そう言うと執事は扉を開く。
「おはよーお父さん、お母さん・・・なにしてんの?」
寛いでいると聞いた美桜の想像と違い2人はソファーにもたれかかり天井を見ていた。
「・・・おはようミオ。」
「ミオちゃんおはよぉ~。」
「二日酔い?ねぇ二日酔い?www」
「あぁ・・・飲み過ぎたなぁ。」
「どんだけ飲んだの?お母さんがそんなになるってよっぽどじゃん。」
美桜はゲラゲラと笑いながら美咲の手を取ると魔力を溜める、そして。
「・・・アンチドート。」
「え?」
「どう?」
「凄い、すっきりしたわ。」
「・・・ミオ、俺にも・・・俺にも頼む。」
「何か買ってくれる?」
「くっ・・・あんまり高いのねだるなよ。」
「おっけ~♪」
美桜はニコニコと笑みを浮かべながら啓治の手を取り魔法を掛ける。
「アンチドート♪」
「おぉ~♪凄いな!これが聖女の魔法か?」
「聖女っていうか聖魔法ね、約束忘れないでねー♪」
「何が欲しいんだ?」
「んー新しいスマホ!」
「たけぇだろ!!!」
「だって欲しいもん!」
「・・・考えとくよ。」
「うぇ~い♪」
そう言うとウキウキで美桜は部屋を出て行った。
「レナおまた~♪」
「次うちの親行く?」
「うん、レナも早く聖女なりなよ。」
「くっ・・・次私っぽいんだよなぁぁ。」
「あきらめろん。」
2人は侍女を連れ矢代夫妻の泊る部屋に向かった。
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「おはよー!」
青空は執事に扉を開けてもらうと大声で挨拶をした。
「くっ・・・。」
「おはよ~ソラちゃん。」
「お?お母さん平気なの?」
「うん、お父さんはアウトだけどね。」
「へー、お父さん回復しようか?」
「・・・へ?」
「聖魔法使えるようになったから二日酔い治せるよ。」
「たのむ・・・切実に。」
「はいはい、手だしてねー。」
青空はそう言うと翔平の手を握り「アンチドート」と唱える。
「ほぉぉぉ、凄いなー、また頼む。」
「え”?また?」
「今日もクリスマスパーティーするんだろ?」
「するね。」
「んじゃ呑むだろ?」
「・・・マジで?」
「あぁ、あとでタイキと一緒に買い出しに行くからな。」
「まーじーでー?」
「まーじーでー。」
「お母さん!良いの?こんなんで?」
「良いんじゃない?頑張って領地開拓してるしご褒美と思って許してるわ♪」
「・・・良いけどね、んじゃダイアの所に行ってくるから。」
「はーいいってらっしゃーい♪」
碧は手を振り娘を見送る、扉で待っていた大愛に声を掛けると隣の部屋へ移動するとすぐに扉が開く。
「おはよー!」
大愛は青空と同じ様に大声で挨拶をするとソファーの2人が恨めしそうに大愛を見る。
「・・・おはよう、ダイア。」
「・・・知っててやってるでしょう?」
「もち!聖女ソラ様が回復してくれるよ!」
「おはようございまーす、お二人とも二日酔いです?」
「あぁ~、俺はもうだめだ。」
「私もキツイわ。」
青空はクスクスと笑いながら琴葉の手を握り魔法を掛ける、そしてすぐに誠の手を取り同じく魔法を掛けた。
「はぁ~凄いわぁ。」
「凄いな、ダイアはいつ聖女になるんだ?」
「知らないよ!ならないよ!」
「いや、なるでしょ。」
「やめてソラ!」
「もうあきらめろん。」
「・・・先にレナでしょ。」
諦め気味の大愛はジト目で青空を見て言う、そして両親と別れ部屋を出た。
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「うちの親終わったらブルーワグだね。」
「うん、手間かけて悪いね。」
「よきよき♪」
頼子はフェアリーリングでイサム領に移動すると、両親の居る部屋に向かう。
「おはよう!」
「おはよ、ヨリちゃん元気ね。」
「・・・お母さんやっぱお酒強いよね。」
「お父さんよりはね。」
「で?二日酔いは?」
「・・・ちょっときついくらい。」
「回復する?」
「あ、そうか、ヨリちゃんも出来るんだっけ。」
「うん。」
頼子は智美の手を取り魔法を掛けるとニッコリ微笑む。
「どう?」
「ありがとう、スッキリしたわ、朝ごはんも食べれそうだわ。」
「あ、結構我慢してた感じ?」
「ちょ~~~っとだけね?」
「で、お父さんは?」
「寝てるわよ。」
智美は隣の部屋に続く扉を見ながら言う。
「ほほ~、ヤバい感じ?」
頼子に言われニヤリと笑う智美、頼子は寝室の扉を勢いよく開ける。
「おとうさん!おはよぉぉぉぉ!!!」
「うわぁぁぁぁ・・・・・・ヨリ・・・やめて。」
「重症ですな!」
「くっ・・・。」
「お父さん手だしてー。」
「ん・・・。」
「アンチドート!」
「!?」
「どう?」
「治った。」
「なんて言うのかな?」
「ありがとう。」
「どういたしまして、さ、次はブルーワグだね。」
「あー、ユウタもヤバかったからなぁ。」
「マ?」
「あぁ、俺が覚えてる時点でもうふらふらだったからな。」
「何がそこまでお父さん達をそうするの?」
「・・・そこに酒が有るからだ。」
「ダメな大人だ!」
頼子はそう言うと応接間に戻る。
「治った?」
日葵が問いかけると苦笑いで頼子が答える。
「ダメな大人が居た。」
「あはははは、うちもよろ~♪」
「おっけー、んじゃお母さんブルーワグ行ってくるね。」
「はーい、今日もジブラロールでクリスマスパーティーよね?」
「うん、程々にしてよね。」
「良いじゃないたまには。」
「・・・ここにもダメな大人居たわ。」
アハハと笑いながら2人はブルーワグに向かった。
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「さて、お父様とお母様も回復したし戻るかぁ。」
千春はサフィーナと一緒に自室に戻ると花音が彩葉とリバーシをしていた。
「ただいまー。」
「おかえりー、治った?」
「ばっちり!カノンの親も来たら良いのにね。」
「うーん、仕事が大変だからねー、週末は緊急多いから。」
「・・・クリスマス前の連休だとなおさらだもんね。」
「そ、医者って大変だよ。」
「こっちに来てリフレッシュしてほしいけどなぁ。」
「しょうがないよ、医者に誇り持ってるからね。」
「かっけぇ・・・カノンパパかっけぇ。」
千春は花音の横に座るとサリナがお茶を淹れる。
「朝食は如何なさいますか?」
「んー、みんなが帰ってきたら考えるよ。」
「私朝マック食べたいな~。」
「イイネ~マクダーナル行きますかぁ、サフィーとサリナも行く?」
「良いの?」
「良いよ、サリナも行くっしょ?」
「・・・。」
サリナは頷きながらもチラリと庭を見る。
「・・・モリーは持ち帰りするよ、安心して。」
千春は外で貴族の対応をして走り回るモリアンを見ながら呟く。
「千春俺の分も頼んだ。」
「ルプは何にする?」
「ソーセージ玉子マフィンを5個。」
「うぃ、三珠は?」
「吾輩はハッシュポテトがいいにゃ。」
「デンハはー?」
「何が有るんですか・・・にゃ?」
「えっとねぇ~。」
千春はスマホ画面のメニューを見せながら皆の注文をチェックしメモを取る、そして皆が戻って来る。
「ミッションコンプリート!」
頼子と日葵は庭から元気よく声を掛ける。
「おっかえり~。」
「そっちは?」
「みんなおっけ~♪」
「千春、石田と南ちゃんは?」
「・・・いやぁ~、部屋に入る勇気無かったから放置だわ。」
「ウチらも流石に・・・ちょっとねぇ~。」
「まぁ入れないよねぇ~。」
JK達はウンウンと頷き合うと千春が手を上げ話を変える。
「はい!マクダーナルに行きます!あの方を呼びます!」
「チハル呼べよ!」
「そうだー!チハル呼べよー!」
「ヨリ達でもいいよ!」
「ダメですぅ~平等ですぅ~!」
「はーい!ジャンケンしまーす!」
「ちくしょー!かかってこいやぁ!」
「じゃーんけーん!」
「「「「「「「ぽん!」」」」」」」
「・・・ウチか、命拾いしたなレナ。」
「・・・もうミオ毎回呼びなよぉ。」
「ダメでーす、アイトネ様ー♪」
『は~い♪私シェイク飲むの~♪』
「あー今期間限定やってたなぁ、私も飲も~っと♪」
皆はワイワイと門を通りマクダーナルへ向かった。
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