スキピのプレゼントは手作りで!①
「お母さんコレであってる?」
美桜はアミ棒を動かしながら母美咲に見せる。
「うん、あってるあってる、上手じゃない。」
「んふふぅ。」
「でもさぁ。」
「なに?お母さん。」
「こっち夏よ?」
「・・・冬に使ってもらうもん。」
ジブラロール王都の一等地にある平田家の館で美桜はマフラーを編んでいた。
「それエーデルさん用?」
「うん。」
「プレゼント交換用は?」
「それは皆ヤバいのばっかり作ろうとするから日本で1000円前後のプレゼント買う事になったよ。」
「ま、それが良いわね、ちょっと耳にしたけど・・・ビックリしたわよ。」
美咲は苦笑いしながら話す。
「あ、でも紋章の宝石はプレゼントするよ。」
「知り合い全員?」
「んにゃー1人3個までって決めた。」
「ふ~ん、それでエーデルさんにはマフラーなんだ、ステッチはダメだったの?」
「・・・ウチ絵心無かったの忘れてたんよ。」
「そう?個性的で可愛いわよ?ミオの絵。」
「ほーめーてーなーいー。」
ほっぺを膨らませながらも手を動かす美桜。
「今日はそれくらいにしなさいよ、明日も学校でしょ。」
「王宮までぴゅ~んって飛んで行くし時間かかんないもーん。」
「一回しか起こさないからね?」
「・・・はぁ、今日はこれくらいにしてやろう!」
テーブルに編みかけのマフラーを置くと美桜は自室に向かう。
「おやすみなさーい。」
「おやすみ~♪」
美桜と美咲はニッコリ微笑んだ。
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「レナちゃん、そろそろ寝た方が良いわよ?」
「んー・・・。」
母麗子に言われ、麗奈はスマホを見ながら返事を返す。
「まだ決まんないの?ホーキンさんのプレゼント。」
「んー・・・何あげたら喜ぶんだろうねぇ。」
「何貰っても喜びそうだけどね、ホーキンさんなら。」
クスクスと笑いながら麗子はソファーに座る。
「ただいまー。」
「パパおかえりー。」
「レナどうした変な顔して。」
「変な顔言うなー!」
「ホーキンさんにあげるクリスマスプレゼントが決まらないんですって。」
「何でも良いだろ、レナがプレゼントしたら何でも喜びそうだけどなぁ。」
ふぅ、と溜息を1つ吐くとソファーに座る父和也。
「日本の男性喜ぶプレゼント・・・トップ10・・・なーーーーんも参考にならない!」
スマホをポイと放り投げる麗奈。
「そりゃぁ文化が違うんだ、欲しい物も違うだろう。」
「パパなに貰ったら喜ぶ?」
「レナに貰う前提か?」
「ママから貰う物でも良いよ。」
「ん~・・・そうだなぁ、普段付け出来るアクセとか?」
「指輪とか?」
「それは別に付ける事になるだろう?」
「・・・まぁ、そうだね。」
「ブレスとかは?」
「作れる物が良いんだけど、ブレスレットとか作れないじゃん?」
「そんな事は無いぞ、パパだってシルバーアクセは作った事あるからな。」
「え?日本で?」
「あぁ、銀粘土ってのがあってな、それで形を作って焼くだけだ。」
「・・・へー!へー!」
麗奈はそう言うとスマホを手に取り検索する。
「・・・おぉぉ、すごっ!手作りアクセ!」
「レナは土魔法が使えるんだろう?」
「っていうか全部使えるよ。」
「そうだったな、多分魔法でも作れるんじゃないか?タイキもアクセサリー作ってたぞ?」
「・・・うん、イイネ!パパありがとう!」
「おう!感謝してくれ。」
麗奈は和也に抱き着く。
「材料あまったらパパのも作ってあげるからね!おやすみなさい!」
「おやすみー。」
麗奈はそう言うと自室に行ってしまった。
「余ったらかぁ。」
「レナちゃんの事だから余らなくても作るわよ。」
「そうかぁ?」
2人は麗奈が出て行った扉の方を見ながら笑みを浮かべた。
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「ダイア、コレで良いか?」
父の誠が箱から取り出したのはキャンプ用のナイフだ。
「うん、これ作りたいんだよね。」
「ナイフかぁ、危ないんじゃないか?」
「危ないかなぁ。」
「それに素材はミスリルだろう?」
「うん。」
「手作りするにはちょ~~~っと難易度が高すぎるな。」
「そっかぁ・・・。」
残念そうにする大愛。
「日本で買うならお父さんが付いて行くぞ?欲しいのは折り畳みのパーリングナイフだろう?」
「何ナイフか知らないけど、ちょっと便利な小さめのナイフね。」
「トラディ君は軍部の人間だからな、ナイフは持ってるだろ。」
「持ってるけど、普通のナイフだから、折り畳みとか便利じゃない?」
「どうだろうな、お父さんからすると男はそう言うのは拘る物だぞ。」
「ダメかぁぁぁ。」
うーん!とのけぞりながら頭を抱える大愛。
「身に着ける物とかはどうなんだ?」
「たとえばぁ~?」
「こっちの貴族だとナロータイ付けてるだろう?」
「何それ。」
「細いネクタイだよ。」
「あ~・・・つけてるねなんか。」
「なんかって・・・ナロータイなら作れるんじゃないか?」
「むり!」
「即答か、ネクタイピン・・・はもっと無理か。」
「それ作れるならヒマリと一緒にステッチ作ってたって。」
「ふむ、それじゃベルトは?」
「そっちの方が難易度高いっしょ!」
「そうでもないぞ?貴族の礼服を揃えたが、簡単な作りだったからな。」
「へぇ、素材は?」
「革製品が多かったな、ほら、チハルちゃん達が持ってただろう、あの地竜の革。」
「うん、まだ余ってるっぽかった。」
「少し貰って来れば手伝ってやるよ。」
「マ!?」
「ま。」
大愛は立ち上がり笑みを浮かべる。
「ダイアーそろそろ寝ないと寝坊するわよー?」
母の琴葉が声を掛けて来る。
「えー!もうそんな時間?」
「ずーっと考えてたものね。」
「それじゃ明日チハルに貰って来る!お父さん明日ヒマ?」
「ヒマでは無いが、ダイアが学校から帰ってくる頃には帰って来るよ。」
「ぜったいだかんね!」
「あぁ、早く寝ろ。」
「おやすみ!」
大愛はそう言うと部屋に走って行った。
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「ソラ、何してるの?」
母の碧は黙々と手元を見ながら作業をする青空と、それをジ~っと見ている子供ドラゴンのミカに声を掛ける。
「プレゼント作ってる。」
「ソラ、そこもうちょっと引っ張って。」
「こう?」
「そう、ひねりながら。」
ミカは魔法を掛けながら青空にガラスの棒を加工させていた。
「どう!?」
「良いんじゃないかしら?」
「なにそれ。」
青空とミカに問いかける碧。
「ガラスペンだよ。」
「へぇ~・・・何それ。」
「えっと・・・万年筆の硝子ばん。」
「ステル君のプレゼント決めたのね。」
「うん、管理部署で働いてるじゃん?結構ペン使うらしくてー・・・。」
青空はインクに軽く先をつけると紙に線を引く。
「・・・んー、まだ太いかな。」
「太いわね。」
「もっと細くかー。」
「もう少しこのくぼみも増やしましょうか。」
2人は黙々と作業を続ける。
「ほら、まだ日はあるんだから2人とも早く寝なさい。」
「えぇ~、今良い感じなのにー。」
「ソラ、この画像だともう少しこう・・・。」
ミカは青空の開いた画像を見ながら話す。
「ふむふむー、こっちも綺麗だよね。」
「先だけ作れば魔法で持ち手を後付け出来るから先にペン先よ。」
「そだね。」
「ソラー、寝坊してもしらないからね!」
「はーい!ミカ、寝よ!」
「はいはい、アオイママおやすみなさい。」
「ミカは沢山寝て大きくなりなさいね。」
「私は?」
「十分育ってるでしょ、早く寝なさい!」
「はーい!」
「はーい。」
2人はパタパタと自分の部屋に戻りベッドに飛び込んだ。
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