日焼けの跡と女の子!

「藤井ちゃん日焼けしてる?」

「う!?うん、ちょっと外出て遊んでたから、冬でも日焼けするねー。」

 千春は教室で女子生徒と話しをしていた。


「おはよー。」

「向井ちゃんも日焼けしてんじゃん。」

「お?宮沢さん、おはよーどうしたん?」

「いや、私が聞いてたんだよ、藤井ちゃんが日焼けしてっから。」

「あー、ちょっと遊びに行ってたからねー。」

 頼子も誤魔化しつつ話す。


「おっはー。」

「おはよー。」

「・・・何?皆日焼けしてんじゃん。」

「うぉ?カノン何?」

 美桜は宮沢花音(みやざわかのん)に話しかける。


「みんな日焼けしてんね、何したん?」

「ん!?んー!外で遊んでた。」

 美桜が話している間に麗奈はコソコソと自分の席に行く、そして青空達にも突っ込みが入り皆は誤魔化した。



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「そんな焼けてる?」

 美桜はルノアー特製弁当を食べながら呟く。


「世界樹ジェルじゃ完全に消えなかったねー。」

「まぁしゃーないよ、アレ無かったら完全にヤバかったわ。」

 千春と頼子も弁当を食べながら話す。


「宮沢さんと話す事あんまないからさー、ミオは仲いいんだっけ?」

「あーカノンは同中なんだよね。」

「あーね。」

「私も同中。」

 麗奈もすまし顔で言う。


「カノンは人見知りしないからなぁ。」

 青空は宮沢花音を思い出しながら呟く。


「うちたまに遊んでたよ、最近は・・・遊んでないけど。」

 大愛が言うと日葵も頷く。


「あっち行き出してあのメンバーとも遊んでないからなぁ、気にしてるのかもね。」

「うーん、やっぱりこっちでも遊びに行かないとかなぁ。」

「いや、千春、うちら受験生だからね?」

「・・・そうだった!」

「忘れんなー。」

「遊びに行く余裕ねぇんだわ本当なら。」

「あ、でもカノンは就職組だから気楽なのかも。」

 美桜は大変だねぇと呟く。


「就職かー、今大変だよねー。」

「他人事だなぁ。」

「他人事だもん、うちらアッチで永久就職でしょ?」

 青空達も他人事だと話す、すると花音が数人と歩きながら千春達を見る。


「噂をすれば~・・・。」

「認識されてんねぇ。」

「仲良い子は認識阻害薄いらしいからね。」

「そうなん?」

「認識阻害しまくると孤立するじゃん。」

「あ、そうか。」

「でも私は言う程仲良いわけじゃないんだけれども?」

 千春はハテ?と首を傾げる。


『ミオさん。』

「どうした?コンちゃん。」

『あの子霊感強いです。』

「ほぉ?」

『霊感以外も感知しとるばいね。』

「どういう事?ビェリー。」

『多分やけど、チハルの魔力感知しとるんやないかなぁ。』

「ん!?私の魔力!?」

『そうですね、今このメンバーで一番魔力が高いのはチハルさんなので。』

「そうなの!?」

『はい、多分なんですが、日常的に魔法を一番使ってるせいだと思います。』

 コンとビェリーが説明をするが千春は首を傾げる。


「・・・使って無いが?」

「千春、めっちゃ使ってるって。」

「へ?ミオ達の方がバンバン魔法撃ってるじゃん。」

「いやいや、チハル、あんた一日何回くらいアイテムボックス開いてるよ。」

「ホントだよ、もうチートだよ。」

「あー・・・あー・・・めっちゃ使ってるわ。」

「それで千春に声かけて来たと。」

『ヨリさんにも声かけてたでしょう?』

「うん。」

『あの花音さん皆さんに興味もってるみたいですし。』

 チラチラと千春達を見ながら中庭から見える渡り廊下を通り姿が見えなくなる花音。


「うーーーーん。」

「うむぅ。」

「・・・どうする?」

「女子だしなー、アイツみたいな事は無いと思うんだけど。」

「アイツはダメだ!」

「うん、ダメだ。」

 皆は某坂本を思い出しながら眉間に皺を寄せる。


「ま、バレたら連れて行こうか。」

「フラグ立ちましたー。」

「アクション起こして来た時の事考えとくかぁ。」

「そうだね、宇迦之御魂様あたりに相談してみる?」

「それ良いかもね、うちLIMEしとく?」

「ダイアよろしく。」

 皆はそう言うとお弁当を再開し食べ始める、そして今後の対策を考えた。



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「そして何事もなく放課後になりましたっと。」

「帰るべ~。」

「うぃー。」

「チハルスーパー寄ってく?」

「何買うん?」

「お!か!し!」

「コンビニ高いもんねー。」

「今日ギョースーお菓子特売なんだよ。」

 ギョースーのLIMEフレンド登録で届くチラシを見せながら美桜は言う。


「それじゃかえりまっしょい。」

 皆はカバンを持ち教室を出ると、いつもの帰り道をテクテク歩く。


『・・・。』

『・・・。』

「どう?コンちゃん。」

『はい、尾行されてます。』

「やっぱりかぁ。」

『一人だけやね、あの花音って子やね。』

「他の子には言って無いのか。」

「まいちゃう?」

「それやるとあからさまに怪しくない?」

「怪しいと思ってるから尾行してんでしょ?」

「まぁそうだろうけどさー。」

 千春達はスーパーに到着すると店に入る。


「おっかし~♪」

「あ、チハル!コレ!これ食べたい!」

 麗奈は冷凍食品のゴマ団子を見せる。


「おー!イイネ!ついでに揚げ物系お菓子買ってく?」

「いや、揚げ物ばっかキツイじゃん、こっちにしようよ。」

 麗奈は右手にゴマ団子、左手にはあんまんを手に取る。


「チハルゴマ団子作れないの?」

「めんどくたい・・・。」

「めんどくたいですかぁ、餅だもんねぇ。」

「うん、結局色々やるならコレで良い。」

「でもアイトネ様に作ってって言われる未来が見える。」

「・・・そんときゃルノアーさんに作らせる!私は作らない!」

「あははは。」

 美桜と麗奈、千春は冷凍コーナーでキャッキャと騒いでいると頼子達はコーラを箱買いしていた。


「コーラ安い!」

「ヨリ!ファンチャも安い!」

「うちグレ~プ味~。」

「え?オレンジじゃね?」

「両方買うべ。」

 大愛と日葵も箱でジュースを買う。


「あとは~、胡椒と鷹の爪、えーっとなんだっけ。」

 スマホのメモを見ながら調味料を揃える千春、ふと店の外に目を向けると花音が覗いているのが目に入る。


「・・・見てんなぁ。」

「ん?いる?」

「いるいる、めっちゃ見てる。」

 目を合わせないように呟く千春、頼子も視線だけを動かす。


「コン、ウチらの姿消して誤魔化せる?」

『急に消えたら不自然ですよ?』

「そりゃそうか。」

 大量の買い物をすると千春達は清算する、そして。


「・・・ヤバい、ビェリーに収納してもらえない!」

「だぁ!!!やっちまった!」

「なんでうちは箱買いしてしまったんだぁ!」

「私もだよぉ!」

 頼子、大愛、日葵は2リットルのジュースが入った箱を地面に置き項垂れる。


「はーい千春ちゃーん。」

「ウカ様!」

「困ってるみたいね。」

「はい!超絶困ってます!」

「おこまりです!」

「物凄くおこまりです!」

「おたすけぇ!」

 皆はそう言うと宇迦之御魂はチラッと花音を見る。


「・・・。」

「どうですか?」

「ん、千春ちゃんの心配は要らないみたいだけど、連れて行く?」

「千春の心配って?」

「あー、ほら、他の人に話してヤバい事になったら困るなって。」

「その心配は要らないって事は口は堅いと。」

「えぇ、もしそうなっても私が記憶消す事になるだけなんだけどね?」

 クスクス笑いながら楽し気に話す宇迦之御魂。


「ま、しゃーないか、このままこのジュースを手で運ぶか、カノンちゃんを引き込んで手ぶらで帰るか!」

「え?そんな理由?」

 麗奈は思わず突っ込む。


「レナ、手伝ってくれる?」

「嫌!なんで3箱なんよ!」

「だって・・・ビェリーに持って行ってもらうつもりだったから。」

「うちもー。」

「わたしもー。」

「はいはい、それじゃビェリー収納よろー。」

 千春が言うとビェリーは影に収納する、花音はそれを見て目を見開く。


「うん、ガッツリ見られてるねぇ。」

「それじゃ家向かおう、多分声かけて来るだろうし。」

「そだね、そのままあっち拉致ろうぜ。」

「やふ~♪仲間増え~る。」

「聖女にしようぜ。」

「やめてあげなぁ、ほんっとめんどくさいんだから聖女認定されると。」

 青空はうんざりと呟き千春も頷く、そして千春達は宇迦之御魂と別れ家路についた。






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