ミスリルゴーレムを解体しよう!②
「ヨリーいくよーん。」
『ほいほーい。』
千春はルプの背に乗り空から電話で話す。
「ロイロ、おっけー?」
『いつでも構わぬぞ。』
千春はアイテムボックスからミスリルゴーレムを一匹放り出すとロイロは振り上げた尻尾で地面に向けて叩きつける。
バキッ!!!!
「おぉぅ・・・凄いスピードだ。」
真下に落ちて行くミスリルゴーレムは地面に落ちると爆音と砂埃を巻き上げる。
ドォォォォン!!!!
「・・・メテオか?」
「壊れたかな?」
「流石に壊れたっしょー。」
頼子達は箒に乗り近くまで行くと大きなクレーターが出来上がり、中央には無傷のミスリルゴーレムが突き刺さっていた。
「・・・うん、動いてないね。」
「魔石壊れたか。」
「もしもーし千春ー、失敗~。」
『マジかー。』
頼子は電話で報告すると千春達が降りて来た。
「魔法は効かない、物理も効かない、お母様どうやってコレ潰してる訳?」
千春はマルグリットの言葉を思い出しながら呟く。
「ルプ君ならこれどうやって倒す?」
「俺は電撃だからな、今日の目的にしている魔石を無傷と言う時点でダメだな。」
「お母様も似たような感じなのかな。」
「そうなるとー、やっぱビェリーかな?」
「うーん、よし、ビェリーの結界切りで行こう。」
「ま、妥当だね。」
皆はビェリーを見ると、大蛇姿になり戦闘モードに入ったビェリーが尻尾を振っていた。
「手足ぶった切るばい!」
「うぃーよろしくー。」
ロイロは翼で影を作るとビェリーは収納しているミスリルゴーレムを目の前に出す、そして。
「うりゃ!」
振り上げた尻尾で片腕を切り落とすと返す尻尾で足を切る。
「「「「「「おぉー!」」」」」」
『ビェリーもう少し切り刻めるか?』
「うぃー。」
倒れたミスリルゴーレムにもう一度尻尾を振り下ろし残った腕、そして胴体を半分にする。
「こんなもん?」
「まだデカいなぁ。」
千春が呟くとワークスが千春に声を掛ける。
「チハル様、試しに私がやりましょうか。」
「へ?」
ニッコリ微笑むワークスは刀を見せる。
「これ鉄だよね?」
「分かりません、女神アイトネ様より神授された物で御座いますので。」
「あぁ~・・・謎金属っぽいなぁ。」
「元の刀よりも丈夫だと言われておりましたので。」
「そっかぁ・・・ダメ元でお願い、もし折れたらアイトネに私が修理お願いするから。」
千春がそう言うとワークスは軽い足取りでゴーレムの塊の前に行く。
「では。」
腰を軽く下げ刀を持つ、そして柄に手を添える。
シュッ!・・・カチャ
「え?今抜いた?」
「見えなかったんですけど。」
「切れたの?」
「え?今切ったの?!」
千春達が騒いでいるとゴーレムの頭部分が落ちた。
「大丈夫そうですね、何処まで切りましょうか。」
嬉しそうに言うワークス、そして他のゴーレムにある魔石の場所を確認し細切れにするとアイテムボックスに入れる千春。
「おっけー!それじゃ次!フリエンツ王国!」
「うぃーっす!」
「久しぶりだなーフリエンツ!」
「チハル、魚介類もついでに補充しない?」
「イイねー、それじゃリリ、フリエンツまでよろしく!」
「私がお送り致しますわ。」
横で見ていたドライアドが声を掛ける、そしてフェアリーリングを作ると皆を送り届ける、フリエンツ王国の王城横に出て来た千春達。
「・・・暑い!」
「うわぁ!夏だねぇ!」
「そりゃ日本と逆だからね。」
「海水浴出来るじゃん。」
「またシャチの水中探検したい!」
「え?ミオ!何それ!」
「あ、ソラ達は知らないか、シャチに乗って水中探索出来るんだよ。」
「マ!?」
「マ。」
「チハル!一回帰って水着取りに帰る!」
「まてーい!先に用事終わらせるよ!」
「ぶー!」
「ブー言わない。」
騒いでいると城からフリエンツ騎士団が現れる。
「チハル様!」
「あ!ナラーシャちゃん!」
「ちゃ!?はい!本日は如何なされましたか!?」
「え~っと、ガゥアンさん居ます?」
「はい、ご案内致します。」
皆はナラーシャに案内され応接間に移動する、暫くすると女王マリーナとガゥアンが部屋に入って来た。
「エンハルト君、チハルちゃんいらっしゃい今日はどうしたの?」
入って来るなり気さくに話しかけるマリーナ。
「ガゥアンさんにお願いがありましてー。」
「儂か?何でも言えば良い。」
「ありがたーい、えっと、ミスリルゴーレムを溶かして中の魔石取り出したいんです。」
「ミスリルゴーレムか・・・。」
「出来ます?」
「・・・ミスリルは酸では溶けないぞ?」
「「「「「「えー!!!!」」」」」」
「すまん、語弊があった、溶けない事は無い・・・が、時間が掛かる。」
「どれくらいかかります?」
「そうだな、儂の出せる酸だとこの拳くらいで2~3大月程は掛かるな。」
「マジかぁ!」
「詰んだぁ!」
「そんなに掛かるのかー!」
「えぇ~、また考えるのぉー?」
頼子達が頭を抱えていると、千春がポツリと呟く。
「最終手段を出すか。」
そう言うとアイテムボックスからコンビニスイーツを取り出す。
「アレか。」
「アレだね。」
「アレですなぁ。」
「まぁそうなるよねー。」
「これでやってくれる?」
「大丈夫じゃん?」
皆は目の前にあるシュークリームとエクレアを見ながら呟く。
「さて、誰が呼ぶ?」
「千春じゃん?」
「いや、ここは新人聖女のソラじゃん?」
「いやいや!皆呼べるでしょ!?」
「なんならママ達もスマホで呼べるって言うね~。」
「うちらもLIMEで呼べるけどな。」
そして何故かジャンケンを始める千春達、そして。
「だぁ!ウチかぁ!」
美桜はチョキにした右手を左手で掴む。
「・・・アイトネさま~。」
『はぁ~い!』
「早い!」
『だって見てたもの、ねぇ、なんで私呼ぶのにジャンケンするのかしら?』
「・・・いや、女神様を呼べる光栄な人は誰になるかと。」
目を逸らしながら美桜は呟く。
「アイトネ!アイトネ!このミスリルの塊の中から魔石取り出せる!?」
『・・・えぇ、出来るわよ?』
「お願い出来ますか!」
千春はアイテムボックスから出したミスリルの塊を地面にボトリと落とす。
『なんでヨリがやらないの?』
「へ?」
「え?」
千春と頼子は思わず声が出る。
『土魔法の上位、金属魔法で粘土みたいに出来るでしょう?』
「あー!!!!!!!!」
「わすれてたぁ!!!!!!!!」
「そうじゃん!なんでみんな忘れてたの!?」
「いや!だって!パパ達もどうやって取り出すか考えてたじゃん!?」
「そうそう!チハルパパも出来るじゃん!?」
思わず突っ込み合う千春達、おもむろに頼子はミスリルゴーレムの塊に手をやる。
ズブズブズブ・・・
「取れたわ。」
野球ボール程の魔石を握りしめ呟く頼子。
「用事終わったの?」
一連の流れを見ていたマリーナが問いかける。
「・・・はい。」
「そう、解決出来たみたいね。」
ニッコリ微笑むマリーナ、後ろでエンハルト達が苦笑いしている。
「せっかく来たんだからゆっくりしていく?」
「いや、買い出しはしたいですけど。」
「チハル!水着!」
「えぇ~マジでぇ~?」
「私水着あるよー。」
頼子は影からビキニの水着を取り出す。
「でも日が暮れるよー?」
異世界は夏とはいえ既に遅い時間で日も暮れだした。
「・・・もうこんな時間。」
「明日にするかぁ。」
「明日水着持ってくるわ。」
「明日学校だけどね。」
「なんで明日金曜なのー!」
「そりゃ今日は木曜日だからだよミオ。」
「わかってるわぃ!」
「それじゃマリーナさん、明後日遊びに来て良いですか?」
「勿論♪楽しみにしてるわね♪」
マリーナは笑顔で了承する。
「アイトネ、そのスイーツあげるからジブラロールまで良い?」
『おっけー!さ!帰りましょ~♪』
ウキウキのアイトネは手を振る、そして皆はジブラロールに帰った。
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