ムカイ領の名物料理!

「・・・中華街じゃん。」

 千春は露店やお店の料理を見て呟く。


「見て見て!食サン!」

「おー!食品サンプル作れるんだ。」

「これ蝋?」

「じゃないの?」

 店の外に出された定食の模型、食品サンプルを見ながら呟くJK軍団。


「あれ肉まんばい。」

「本当だ、美味そうだな。」

「僕も食べたいです!」

「私は食べた事あるわ~♪」

「儂が買って来てやろう。」

 ペット軍団はロイロを先頭にし、女性に声を掛ける。


「これを10個じゃ。」

「肉まん10個だねー。」

「名前も肉まんやん。」

「まぁ肉まんだからな。」

「はいよ、熱いから気を付けてね。」

 女性から肉まんの入った袋を受け取るロイロは皆に配り、早速頬張る。


「んまいのぅ。」

「肉まんやん・・・。」

「本当に肉まんだな。」

「美味しいです!」

 ペット達は満足そうに次の店を物色する。


「ねぇチハル、あれって。」

「焼売と餃子じゃん。」

「うわぁ、マジで中華街じゃん。」

「ママ達中華料理得意だもんね。」

「早く作れるからって言ってたよ。」

「調味料とかどうしてんだろ。」

 千春はテコテコと店の前に行くと作っているところをのぞき込む。


「お嬢ちゃん・・・あれ?王女様かい?」

 店員の男性は千春を見て問いかける。


「あ、バレました?」

「勿論ですよ、王都で修行してましたから。」

「あ、もしかして王宮にも?」

「いや、王宮には入って無いよ、王都で店をやってた。」

「へぇ~、その調味料ってなんですか?」

「これかい?おいすたーそーすって言う調味料だ。」

「え!?オイスターソース作ってるの!?」

「領主夫人達が開発した調味料だ、港町から仕入れていると聞いたが。」

「へぇ・・・凄いなママさんズ。」

「はい王女様。」

「へ?」

「食べてくれ。」

「あ、お金払いますね。」

「いや、王女様と連れのお嬢様は領主の令嬢様だろう?是非食べてくれ。」

「有難うございます。」

 千春は焼売が沢山入った皿を受け取ると皆と食べる。


「・・・うんまぁ。」

「え?コレってアレじゃん?」

「うん、511の焼売だ。」

「えー!?ママ達これ作ったのぉ?!」

「そう言えばうちのお母さんコレのレシピ持ってたわ、家で作ってるもん。」

「これダイアママレシピかぁ。」

「こっちは餃子でしょー?あそこの食品サンプル見た限り青椒肉絲に麻婆豆腐は確定であるね。」

「あー!あれエビチリじゃん!」

「うっそ、エビ好き!」

 皆は店の前で騒ぎまくる、通りを歩く人達が千春達を見て微笑む。


「姫さん、ヨリ様、こちらどうぞ。」

 店から出て来た店主は千春達を伺ってたようで、料理を持ってきた。


「あ、有難うございます。」

 頼子は木で出来た皿を受け取ると春巻きやゴマ団子、エビのフリッターが入っていた。


「すっげぇ。」

 皿をのぞき込む美桜と麗奈。


「えーっと・・・店入る?」

「うん、見てみたいね。」

「座って食べれるし。」

「すみません入っても良いですか?」

「はい、是非どうぞ。」

 店主はそう言うとJK軍団を中へ促す、ペット軍団ももれなくついて来た。


「こちらにどうぞ。」

 店主はテーブル席に案内すると皆座る、そして。


「いらっしゃいませ!なんでもご注文してください♪」

 店員の女性が声を掛けて来る。


「・・・チャイナ服ぅぅぅ!!!」

「なんでぇ!?」

「ちょ!その服どうしたんですか?!」

 頼子、大愛、日葵が突っ込む。


「トモミ様がデザインした制服です、普通にお店で買えますよ。」

「うそでしょ・・・。」

「いや、目の前に着てる人いるんだから嘘じゃないっしょ。」

「そう言う意味ではない・・・んだがぁ。」

「ママ達ムカイ領を中華街にするつもりなの?」

「つもりって、もう中華街じゃん。」

 メニューを見るが、こちらの言葉で読めない、しかし。


「これカラーコピーじゃね?」

「画像貼ってるから分かるね。」

「えぇ~、これ絶対あっちでコピーしてきてるよね。」

「そりゃそうでしょ、紙質がこっちと違うもん。」

 カラーコピーされたメニュー表をみながら呟くJK達。


「嬢ちゃん、儂はこれとこれを頼むぞ!」

「俺はこっちの餃子と棒棒鶏、酢豚もあるなこれを頼む。」

「わっちはエビマヨがいいばい!」

「僕は、僕は・・・えっとぉ!ゴマ団子と杏仁豆腐!あとちまきお願いします!」

「はーい!」

 店員はササっと紙に注文を書くと厨房へ持って行く。


「・・・どうする?晩御飯ここで食べちゃう?」

「もうちょっと食べ歩きしたいけど、ガッツリ食べたくなった。」

「私も、もうここで食べよ、食べ歩きは明日改めてでも良いじゃん。」

「せやな!私エビチリと小籠包!」

「私は炒飯にしよ~♪あ、唐揚げもあるから唐揚げー。」

「レナ!シェアしよシェア!」

「いいよーん、何たのむの?」

「八宝菜とー、私もエビマヨ食べたいな。」

「うち天津ハーン!」

「あ、私中華丼するからダイアシェアしよ!」

「いいよーん、ヒマリ半分こね~♪」

 JK達も注文をすると次々に料理が運ばれてくる。


「・・・多いぃ!」

「やっべぇ、一皿が多い。」

「一人前ってこんな多いの?」

 一人前の量を誤った千春達は来た料理を見て驚く。


「サフィーナ、サリナ、ナッテリー、ワークスさん!一緒に食べて!」

「アイテムボックスに入れたら良いじゃない。」

「ダメ!こう言うのは食べ切る物なの!」

「それではご相伴に。」

 ワークスはそう言うと席につく。


「ほら、サリナ、ナッテリーも座って!」

「はい。」

「はい。」

「それじゃいただきます!」

「「「「「「いただきまーす!」」」」」」

 JK達と付き人達は食事を始める。


「美味いのぅ。」

「んー、ジブラロールでは味わえない味だな。」

「あっちは洋食が多いけんねー。」

「日本食も結構ありますよ?」

 モグモグと食べながらペット達は話す。


「エビチリうめぇ。」

「エビマヨうめぇ。」

「エビマヨかぁ、モリアン連れて来てたら叫んでただろうなぁ。」

「これは叫んでるだろうねぇ。」

「もう一人呼ばないと文句言う人居るけどね。」

「あー、もう食べてんじゃない?」

「どうかな、アイトネどうせ見てるでしょー?」

『見てるわよー。』

「食べる?」

『食べまーす♪』

「食べた事あるの?」

『勿論♪店を出す前の試食で沢山食べたわー♪』

 アイトネはそう言うと千春の横に座り食べ始める。


「お持ち帰りとか出来るのかな。」

『誰に?』

「モリー。」

『呼ぶ?』

「どうやって?」

『こうやって。』

 アイトネは少し虚空を見つめる、そしてパチンと指を鳴らすとモリアンが座った姿勢で現れ尻餅をつく。


「うわぁ!!!・・・え?」

「やほー、モリー、何してたの?」

「え?掃除終わって休憩してました。」

「そっか、モリー、あーん。」

「へ?あーん。」

 素直に口を開けるモリアンにエビマヨを食べさせる千春。


「!?う!?なんれふはほえ?」

「エビマヨー。」

「モグモグモグ・・・・・んまぁ!!!!痛ぁい!!!」

 サフィーナはモリアンの頭をチョップする。


「いっぱい有るから食べる?」

「食べますぅ!えー!サリナさんもナッテリーも食べてる!!!痛ぁぁぁ!!!」

「モリー、静かにしなさいな。」

「はぁいぃぃ。」

「んじゃお土産用も買って帰ろう、お姉さーん!」

 千春は店員を呼び、居残り組の侍女達へのお土産を注文し、ムカイ領中華街の料理を堪能した。






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