リヴィル領に商談だぁ!

「見えたー!」

 千春はロイロの運ぶゴンドラに乗り、リヴィル領まで飛んでいた。


「ソラ、ステルさんは今領地に居るの?」

「うん。」

「ロイロちゃんで1時間ちょっとか、結構遠い?」

「うん、馬車で4日くらいかかる所だからね、初めて行ったときロイロで2時間かかったんだよ。」

 千春は美桜達に説明すると、青空が付け加える。


「今は馬車で3日掛からないらしいよ。」

「そうなの?」

「うん、新型の馬車で2頭引きだと2日で着くってさ。」

「それでも2日は遠いなぁ。」

「だねー、だからリリ連れて来てもらってフェアリーリング作ってほしかったのさ~♪」

「旦那に会いに行けるもんね~。」

「アイトネに連れて行ってもらえば?」

『呼んだ?』

「「「「「呼んでませーん。」」」」」

『ひどいわっ!』

 泣き真似しながら言うアイトネに青空が話す。


「毎回彼氏の所に連れて行ってって言えないですよぉ。」

『別にそれくらい良いわよ?シュークリーム1個で。』

「シュークリームいるんかい!」

 思わず突っ込む千春、青空はアハハハと笑っている。


『それで?・・・へぇ、花ねぇ。』

「アイトネ、記憶をさらっと読むのやめてくんない?」

『早いでしょ?』

「まぁね。」

 千春はマルグリットやママさんズ達が簡単に移動出来るようにと、リリを連れてリヴィルまで来ていたのだった。


『呼んだら連れて行くのにぃ。』

「たまにはこういう旅も楽しいっしょ?」

「そうそう、最近一瞬で目的地着いてるし、こっちの風景見て回りたいからねー。」

 千春と頼子はウンウンと話す。


『チハル、何処に降りるんじゃー?』

「ソラ、あの奥の大きな屋敷がリヴィル男爵家?」

「そうだよー。」

「ロイロ、あのでっかい家おねがーい。」

『了解じゃー。』

 ロイロは大きな屋敷の広い庭にゆっくりと降りて行く、そしてゴンドラを地面に置くと自分は人型に変化する。


「ロイロおつかれさまー。」

「なんてことないわ。」

「ソラ様!」

 庭に急いで出て来たのは執事姿の老人だ。


「ルエンさんこんにちわー、ホーエン様とステル様いらっしゃいますよね?」

「はい、先程からお待ちしております。」

 執事のルエンが言うと同じく扉が開き、男性が2人出て来た。


「お久しぶりですチハル王女殿下。」

「ホーエンさんお久しぶりです!」

「チハル王女殿下、いらっしゃいませ。」

「ステルさんも久しぶりー、あ!早速なんですけどフェアリーリング作って良いですか?」

「はい、こちらへ。」

 リヴィル男爵家当主、ホーエン・リヴィルは自ら庭の奥へ案内する。


「此方でしたら何処でも設置して頂いて構いません。」

 花畑の中央に見晴らしの良いガゼボが設置してある綺麗な庭を指し笑みを浮かべるホーエン。


「リリ、おねがーい。」

「は~い♪ここでいいかしらー♪」

 ガゼボから少し離れた広い場所に行くリリ、クルクルと回りながら魔力を込めるとポコポコとキノコが生え、綺麗な石の結晶が現れる。


「出来たわ~♪呼んで来るわよ~?」

「うん、お願い。」

 千春はリリに答えるとリリが消える、そしてすぐにフェアリーリングが光り人が現れる。


「便利ねぇ~。」

「ほんと、あっという間だわ。」

「あら、綺麗な庭ね、花がいっぱい♪」

「アイさん、いらっしゃったのね。」

 ママさんズと一緒に現れたマルグリット、そして皆の後ろには春恵と青空の母親、伊吹碧が立っていた。


「こんにちは。」

「お母さんいらっしゃーい。」

「ソラ、ココがステルさんの実家?」

「うん。」

「凄いわね!」

 碧は大きな屋敷、そして立派な庭を見て口を開けっぱなしだ。


「お久しぶりですアオイ様。」

「お久しぶりですホーエン様。」

 碧とホーエンは笑顔で挨拶する、ステルも碧に挨拶し家の中へ案内される、皆はホーエンに促され応接間に移動した。



---------------



「ご連絡頂いた件は問題ありません。」

 ホーエンが言うと横でステルも頷く、その言葉を聞きマルグリットも笑顔で頷く。


「こちらの花やこの種を育てて欲しいのよ。」

 マルグリットは薔薇の苗や色々な花の種をテーブルに並べる。


「はい、承りました。」

「これで花の香料は問題無いわね。」

「ねぇ、お母さん、石鹸ってムカイ領でしか作らないの?」

 ふと青空が問いかける。


「その予定だけど?」

「リヴィル領でも作ったらダメ?」

「イサムさん達に聞かないと・・・ねぇ?」

 碧はそう言うと智美達を見る。


「結構作るの大変なのよねぇ。」

「危険な材料使うから旦那達が居ないとヤバいかも。」

「ソラちゃんなんで?」

 智美達は青空を見る。


「えっと、香料も作れて蜂蜜もあるじゃないですか、蜂蜜石鹸とか良くないです?」

「あ!そう言えばそんな石鹸有ったわね!」

「たしか保湿力が高いんだっけ?」

「それも作りたいわねぇ。」

 青空の言葉に食いつくママさんズ、ホーエンは青空に話しかける。


「ソラ、香料や蜂蜜を出すだけでも領としては仕事も増え税収も上がる、大丈夫だ。」

「そうなんですか?」

「あぁ、チハル王女殿下の料理で需要も増え、うちの領は潤っているからね、問題無いよ。」

 ステルも微笑みながら話す。


「それではホーエン卿、蜂蜜も対象に入れてもらえるかしら。」

「はい、問題ありません。」

 マルグリットとホーエンはそのまま話をする、そして出荷量や値段の話を始め千春達は暇になって来た。


「ねぇ千春、ここって何があんの?」

「花畑。」

「いや、それは知ってるよその為に来たんだし。」

「チハル使えねえ、ソラ、あんたの嫁ぐ領でしょ、何か無いの?」

「あるよー、美味しい蜂蜜料理♪」

「・・・あ!アレか!」

 千春はハッとした顔で思い出す。


「でもダイエット中なんだよなぁぁ!!!!」

「今日くらい良いじゃん。」

「それ昨日も言ってお菓子食べたじゃん?」

「良いじゃん!せっかく来たんだし!」

「そうそう!ウチらはダイエットしてねーし!」

 千春を裏切りそして誑かす言葉が飛び交う、その声を聞きステルが声を掛ける。


「ソラさんあそこに行くんですか?」

「うん、行って良い?」

「勿論です、馬車を用意しますね。」

「空飛んで行くから大丈夫ですよ?」

「いえ、護衛も付けておきたいので。」

「あー、はい、お願いします。」

 ステルはそう言うと執事に声を掛け準備させる。


「おかぁさんちょっと出かけて来るねー。」

 ママさんズと一緒に話をしている春恵に声を掛ける千春。


「はーい、気を付けてねー。」

『大丈夫よ!私も付いて行くから!』

「・・・そりゃ行くよねー。」

『ホットケーキでしょ♪』

「また記憶読んだでしょ。」

『てへっ♪』

「アイトネ様が付いて下さるなら大丈夫ね♪アイトネ様お願いします。」

『任せなさい!』

 アイトネは嬉しそうに答える、そしてJK軍団とアイトネは馬車に乗り街に・・・いや、ホットケーキを食べれる店に向かった。

 





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