ドワーフの崇める神様召喚の巻!

「2匹捕獲したばーい。」

「おう、コンそっち頼んだぞ。」

「は~い。」

 ルプは並んだ2匹に爪を振るうと風が巻き起こり足が吹き飛ぶ。


「えい!」

 コンは戦闘モードで尻尾を振ると炎の槍が飛び1匹の蟻に突き刺さる。


「弱いですね。」

「もっと固いかと思ったが。」

「影の中の蟻もすぐ死ぬばーい。」

 ルプ達はあっという間に蟻を処理すると千春の所に戻る。


「強いねールプ達。」

「蟻が弱いんだよ。」

「で?ゴーレムは?」

「ロイロの探索魔法でも反応は無いらしい。」

「ありゃ?どこ行ったのかな、イルドさん目撃した場所って何処ですか?」

「蟻が出て来た通路の先の分かれ道を右に行って次に左、暫く先に3つに分かれた道を右だ。」

「まだ先なんだ。」

 説明を聞き皆は蟻が出て来た坑道を歩く。


「ん、いるのぅ。」

「ゴーレムか?」

「多分そうじゃろな、ビェリー熱感知あるか?」

「無いばーい。」

「当たりだな、千春出番が来たぞ。」

「うぃーっす、ヨリ、レナ、よろ~。」

「ほーい。」

「ほいほい。」

 サフィーナとビェリーが先頭を歩き、千春と頼子、麗奈が後ろを歩く。


「チハル、普通のゴーレムも居るぞ、その横に見える塊じゃ。」

 ロイロが指差す岩を見つけると千春はアイテムボックスを開く、ゴーレムは動き出したが一瞬でアイテムボックスに落ちた。


「はい1匹めー。」

「ほう、これは凄いな。」

「あの大きなゴーレムが入るのですね。」

 イルドが言うと、ジャウも感心したように呟く。


「この先に3つ程反応がある。」

「了解~。」

 イルドが言う場所に到着すると、綺麗な金属のゴーレムが立っていた。


「おぉー綺麗!」

「これそのまま彩葉のロボットに出来そうだよね。」

「デカすぎでしょ。」

「これ全部ミスリルなの?めっちゃすごくない?」

「そう言えば!これ売ったらお金持ち!」

「お金使わないんだよなぁ。」

 話をしている間にサフィーナがミスリルゴーレムをアイテムボックスに落とす、頼子も小柄なゴーレムを見つけ影に落とすと麗奈も影に落としていく。


「あっけないな!」

「チハルぅ、もうちょっとほら、冒険者っぽい戦い無いの?」

「えーあんなので殴られたら怪我するし。」

「ほら、必殺技みたいにさ、アイテムボックス!とか言いながら入れるとかさ。」

 サフィーナ筆頭に無言でゴーレムを収納する面々に美桜達が物言いを付ける。


「・・・めんどくたい。」

「いいけどね、もしかしてコレで依頼終了?」

 美桜が呟くと、横にいたコンが奥の方を見つめる。


「ミオさん、あっちに魔物の匂いがします。」

「え?また蟻?」

「わかりませんが似たような匂いなので多分・・・。」

 コンの話を聞きビェリーが探知する。


「・・・ヤバいばい、めちゃくちゃおるばい!」

「蟻か?」

「多分そうやね!」

「ふむ、儂の出番かのう。」

 ロイロはそう言うと奥に向かう、そして走って戻って来た。


「どうした?」

「奥に広い所があったんじゃが、ウジャウジャおるぞ!」

 ロイロはそう言うと皆に結界を張る。


「ロイロ、どんな状態だ?」

 エンハルトはロイロに確認する。


「少し深い場所があっての、そこに蟻がたむろっとる。」

「行っても大丈夫か?」

「まぁ見るだけなら大丈夫じゃ。」

 ロイロが先頭を行き広くなった場所に行くとそこには数十匹の蟻がたむろしていた。


「これはどういう事だ!?」

「どっかの蟻の巣と繋がっちゃった感じ?」

 イルドが驚き千春が問いかける。


「あの穴だな。」

 ルプは奥にある穴を見る。


「あれが蟻の巣に繋がっとるのか?」

「わからねぇがあそこから風を感じる、何処かに繋がってるな。」

「んーあの穴塞いだら良いのかな。」

「塞いでもまた開けるじゃろ。」

「とりあえずこの蟻全部倒すぞ、全員耳を塞いでおけ。」

 ルプはそう言うと皆が耳を塞ぐ、ルプはそれを確認すると大きな雷を中央に落とす。


ドォォォォォォォン!!!!


「うわぁ!!!」

「ひぃっ!」

「びっくりしたぁ!!!」

「蟻は全部収納しとくば~い。」

 雷で動かなくなった蟻をビェリーが数回に分け収納していく。


「で、あの穴何処に繋がってんだろ、やっぱり蟻の巣なのかな。」

「っていうかこっちの蟻ってあんなデカいの?」

「どうなんです?イルドさん。」

「あんな大きな蟻は初めて見たぞ、魔物では無いのか?」

「どうだろ、ビェリーありんこに魔石入ってる?」

「ん~・・・入っとるね。」

「って事は魔物?」

 頼子がアリンハンドに問いかける。


「はい、間違いなく魔物です、それとゴーレムの様子を見ていましたが間違いなくダンジョン産の魔物ですね。」

「えー!ここダンジョンになっちゃった?」

「多分ですが、あの穴、アレがダンジョンに繋がっています。」

「マジか!イルドさんこの近辺にダンジョン有ります?」

「・・・ある、南の荒地だが、かなり遠いぞ?」

「遠いのかー、どうしよかハルト。」

「俺に聞くか?」

「困った時は一番偉い人に聞く!」

「それならイルド殿だろ。」

 エンハルトと千春が話していると、ビェリーとコンが穴を見つめる。


「次来るばい!」

「物凄くいっぱい来ます!」

「どれくらいだ?」

「数えきれないくらいです!」

「これはヤバいばい!」

「えー!どうする!?」

「チハル!ブレス吐くか?!」

「え!坑道でブレスヤバいって!」

「どうする!?どうする!?」

 パニックになる面々、すると麗奈が杖を取り出す。


「ネガルスさ~ん。」

 麗奈が杖を前に出すと広場の真ん中にごついおっさんが現れた。


「レナ、どうした?」

「あの穴塞げます?」

「・・・あぁ余裕だ、中に居る魔物ごと埋めるか?」

「ヨロー。」

 大地の上位精霊ネガルスは穴に近寄り手を前に出すとみるみる穴が塞がる。


「レナ、この先8kmくらい続いてるぞ、どうする?」

「全部埋めちゃってー。」

「おう。」

 ネガルスは返事をすると軽く地面が揺れる。


「出来ました?」

「おう、中にいた虫どもごとすり潰してやったぞ。」

「あざまーす、あとでお礼しますね!」

「楽しみにしておくぞ!」

 ネガルスはそう言うと地面に消えて行った。


「・・・終わり?」

「うん、終わった。」

 千春が問いかけると麗奈はニッコリと笑い返す。


「イルドさん、一件落着で~す。」

 ポカンとした顔で穴があったところを見るイルド達ドワーフに千春は声を掛ける。


「あ、あぁ、今のは?」

「大地の上位精霊ネガルスさんです。」

 イルドに麗奈が答えるとイルドは腰を落とす。


「だ、大地の神を呼び出すとは、お主何者だ。」

「え?神?」

「レナさん、上位精霊は種族によっては神と崇められる存在です、ネガルス様も同様なんですよ。」

「えー!?そうなの?」

「ドワーフの崇める神様呼べるレナはドワーフから見たら聖女だね、ナカーマ。」

「やめて!面倒事増える!」

 ニヤニヤと仲間呼ばわりする千春に麗奈が突っ込む。


「はいはい、そこ漫才しなくて良いから、取り敢えず終わったし上あがろうよ。」

「そだね、イルドさん道案内お願いしまーす。」

「お、おう、バンブ、ジャウ・・・腰が抜けた、起こしてくれ。」

 2人に両腕を掴まれ立ち上がるイルド、そしてイルドは震える自分の手をチラリと見る、そして皆を連れ地上に向かう。


「あの蟻がゴーレム作ったのかな。」

 歩きながら頼子がアリンハンドに問いかける。


「多分そうだと思います、ビェリーさん蟻は何か持ってませんでしたか?」

「んー、何かあるばい。」

 ビェリーはそう言うと影から歪に丸い石を取り出す。


「これがゴーレムの核になる物ですね。」

「これをダンジョンから運んでゴーレム作ってたのかぁ・・・って蟻ってそんな事出来るの?」

「出来るからゴーレムが居たんでしょう、ダンジョンマスターの指示で運んだのでしょうね。」

「ダンマスかぁ、どんなダンマスなんだろ。」

「さぁ、今後の事も有りますしドワーフ王に報告して見ましょう。」

 2人はビェリーが出した核を手にしながら地上に戻った。





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