深緑の森の異変!
「おっはよぉ~ん♪」
「ミオいらっしゃー。」
春恵に迎えられ異世界に入った美桜は元気に声を掛ける。
「ソラ達はー?」
「もうすぐ来るってさー。」
頼子はスマホを見ながら返事を返す。
「チハルは?」
「お着替え中。」
「着替え?」
美桜は首を傾げていると千春が応接室に入って来る。
「おはよーミオーん。」
「おー!聖女のローブ!」
「うん、これ着て行きなさいってお母様が。」
「似合ってるから良いじゃん、たまには聖女しないとねっ!」
「ドレスよりマシだけどさー。」
「可愛いわよ千春。」
春恵に後ろから抱き着かれ、千春も嬉しそうだ。
「ありゃ、この子がケットシーちゃん?」
美桜はルプ達とテーブルに座り、ホットドッグをハグハグと食べているデンハを見る。
「おはようございます、ご迷惑おかけしております。」
「ありゃ、良い子だねぇ、君ってニャーって言わないの?」
「へ?ニャーですか?」
「マクリー。」
「はいですーニャ!」
「ミタマー。」
「なんにゃ?」
「ね?」
「あの・・・なにが『ね』なのか分からないのですが。」
「・・・チハル、ダメだこの子。」
美桜がプンプンと怒り千春に言う。
「無茶ぶりするなぁ、ミタマだって別に言わないで話せるんだよ?」
「マクリは逆に出ちゃうんだっけ?」
「らしいねー。」
『チハル~♪』
「いらっしゃいアイトネ、まだ集まってないからお茶しててくれる?」
『おっけ~♪こっちは準備できたから。』
「ん?準備?」
『気にしないで~♪』
アイトネはソファーに座る、サフィーナはいつもの様にお茶を淹れもてなす。
コンコン
「はーい!」
モリアンが扉を開けると、エンハルトが入って来る。
「チハル、護衛なんだが。」
「いる?」
「いるに決まってるだろ、エーデルとホーキン、後はアルとサンが付いて行く。」
「おぉぅ、少数精鋭。」
「アルデア達も行くんだろ?」
「うん、テールカも行くからね。」
千春は椅子に促し、エンハルトと座る。
「ハルトも行くの?」
「いや、俺は留守番だ。」
「・・・行きたそうだね。」
「仕事が有るんだよ。」
「ありゃ残念、お土産買って帰るから楽しみにしててね。」
「あぁ、いつも言ってるが無茶はするなよ?」
「・・・ちゃうねん、あっちから寄って来るんだよ。」
「千春はイベントホイホイだからねー。」
「ヨリ、イベントじゃなくね?」
「そうそう、トラブルホイホイの方が正しいね。」
頼子、美桜、麗奈がウンウンと頷きながら話す、そして皆が集まると、護衛の皆さんも庭で待機する。
「アイトネー準備おっけー!」
『は~い!それじゃ皆行くわよー!』
皆は綺麗に並ぶ、そしてアイトネが手を振ると景色が変わる。
「・・・またかぁ!」
広い教会の中、千春達が目にしたのは膝まづくローブの方々だった。
「いらっしゃいませアイトネ様、聖女チハル様。」
教国の枢機卿、カーディーが千春達に挨拶をする、千春はジトーっとアイトネを見る。
「アイトネ様?どういう事かしらぁ?」
『いきなり来たら困るでしょ?』
「・・・まぁ、うん、そうだね。」
『だから、前もって来るよ~ってお告げをね?』
「あ、うん、ありがと。」
ド正論で返される千春、アイトネはドヤ顔で答える。
「では、こちらにどうぞ。」
「はい、有難うございます。」
千春達一同はカーディーに連れられ歩く、以前同様にホールを通り神官が並ぶ横を歩く。
「相変わらず・・・すごいね。」
「女神様と聖女様御一行だもんね。」
美桜と麗奈は神官にお辞儀しながら付いて行く。
「こちらへ。」
綺麗な扉の前に立つカーディー、以前と同じ応接間に案内される。
「うん、相変わらずのスイートルーム!」
「なにこれ。」
部屋を見て声を上げる千春の横で頼子が荷物を見つける。
「はい、こちらは以前聖女様が買われておりました品々で御座います。」
「あ、豆だ。」
「こっちは小豆入ってるよ。」
「甘い匂い!バニラー!」
青空達が樽をのぞき込み千春に言う。
「お手間が掛からないようご準備させて頂きました。」
「うっ・・・有難うございます。」
「では、ごゆっくりお寛ぎ下さい。」
カーディーはニッコリ微笑み部屋を出て行った。
「アイトネさん?」
『何~?』
「これも指示した?」
『ん~ん、して無いわよ、あの子達が自主的にやった事だもの。』
「そっか・・・買い物行く理由ないなった。」
「千春!うなぎうなぎ!」
「そうだ!鰻もだった!」
「流石に鰻は無いよね。」
「・・・ヒマリ、これ見てみ?」
大愛が指差す箱には氷漬けされ、綺麗に捌かれた鰻が入っていた。
「準備万端!!!!」
千春は思わず声を上げる。
「なぁ千春。」
「何?ルプ。」
「ココに来た目的覚えてるか?」
「え?えっと・・・。」
ルプは狼の姿をしている、そして頭の上から申し訳なさそうに見ている視線に気づく。
「勿論!デンハ君を送り届ける為だよ!?」
「「「「・・・。」」」」
頼子達は、ハッ!とした顔で、そしてサフィーナ達は苦笑いをしている。
「で!深緑の森ってここからどれくらいなの?アイトネ。」
『ん~・・・ん?ちょっとまってねぇ?』
虚空を見つめるアイトネは眉間に皺を寄せる。
『ん~~~~~~。』
「どうしたの?」
『ちょっと行かない方が良いかも。』
「へ?なんで?」
『えっとねぇ、どっかのバカな子が魔術で魔物量産してるのよ。』
「へぇ・・・へぇ!?量産?!そんな事出来るの?!」
『言い方が悪かったわね、魂の無い死体が動き回ってるのよ。』
「死体が?ゾンビ的な?」
『的なと言うか、千春の所で言うゾンビね。』
「ひぇっ。」
千春は引き攣る、そして頼子達は楽しそうだ。
「アイトネ様、討伐とかは?」
「ゾンビ殲滅したいな。」
「あー、ミオやったねぇ、ゾンビ駆逐ゲー。」
「あれ楽しかったよねー。」
「ミオ、レナ、ゲームとちゃうで?」
「ソラもやってたじゃん、あのビックリゲー。」
「ホラゲな。」
「レナ、魔石弾ある?」
「腐るほどあるよ。」
「よっしゃ、気合入るぅ!」
『止めた方が良いと思うわよー?あれ魔術で呪いが広がるようになってるから。』
楽し気なJK達にアイトネが言う。
「でた!また呪い!その呪いをかけたのは誰か分かるの?」
『えっとねぇ・・・あぁ、この子自分もアンデッドになってるわ、多分だけどデンハを石にした魔女ね、記憶に映っていた子に似てるもの。』
「ありゃぁ、こりゃ討伐案件かなぁ。」
「儂とアル、サンで殲滅してきても良いじゃろ?」
「ダメ!森が無くなる!」
「森の一つや二つ、沢山あるじゃろ。」
「・・・ダメだよね?」
ロイロの言い分に千春はサフィーナを見る。
「良くは無いと思いますよ?色々な生き物が生息してますし、その森の恩恵を近隣の国は受けてますから・・・近隣はファスケスでしたね、別にあの国ならどうなっても構わないので私は見なかった事にします。」
「だそうじゃ、どうする?チハル。」
「んんぁぁぁ、いやいや、国民の人は悪くないと思うの!ね?おかぁさん!?」
「そうね、千春に危害を加えようとした国でも、国民に罪は無いと思うわよ?でも私も見ないふりするわ。」
「めーがーみーさーまー?」
「女神の前に千春の母よ?」
「はい、そうでした。」
「そうと決まれば殲滅じゃ!」
「まてー!まてまてー!ちょっと作戦会議!みんな座ってー!」
戦う気満々の面々を押さえ、珍しく千春は一旦皆を落ち着かせた。
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