パパさんズが持ってきた石像!
「ワタシ、イマ、サイキョウ。」
「千春なんで片言なん?」
魔国牛のすき焼きを食べ、急に片言で喋り始めた千春、思わず頼子が突っ込む。
「メシウマイ!」
「うん、うまいねー。」
「オカァサンイル!」
「いるねぇ。」
「家族ソロッテル!」
「あれ?チハルパパは?」
「・・・領地出張中。」
「揃ってないじゃん。」
「・・・肉ウメェ。」
「・・・チハルパパ・・・娘さん薄情だよぉ~。」
頼子は天井に向かって呟く。
「千春、お肉のお代わりいる?」
「イリマス!」
「ハルママ手伝いますよ?」
「良いわよ、卵ある?」
「ありま~す♪」
「卵・・・ナイナッタ。」
皿を見つめて千春が呟くと頼子が卵を割り入れる。
「ほれ、たんとおたべ。」
「タベルー!」
「チハルどうしたの?」
サフィーナが千春の横で不思議そうに話しかける。
「幸セヲカミシメテイルノデス。」
「良かったわね~。」
『チハル、妖精ちゃんが戻って来そうよ。』
「ん?妖精?」
庭のフェアリーリングが光ると、妖精のクゥクゥが部屋に入って来る、そして後ろからは頼子の父、勇と大樹が付いて来た。
「お父さんおかえりー!」
「どうしたのー?」
千春と頼子は父親に声を掛ける。
「ヨリ、ビェリー君借りて良いかい?」
「ん?ビェリー呼んでるよー。」
「んーなんかあったーん?」
「いや、ちょっと日本に戻って車を持って行きたいんだ。」
「は?車!?」
「あぁ、ちょっと移動に使いたいと思ってね。」
「えぇ~燃料どうするのよ~、ガソリンスタンド無いよ?」
「ハイブリッドだし給油したばかりだから結構走ると思うんだよ。」
「アイトネ的にどうなのー?」
頼子と勇の会話を聞いて、千春がアイトネに問いかける。
『ん~、私的には問題ないけどぉ~、道が日本と違って舗装されてないから危ないんじゃないかしら?』
「一応四駆だから多少道が悪くても走ると思うんだが。」
「えー、パンクしたり事故ったら危ないよー。」
「そうそう、それに魔物と思われて襲われても知らないよ?」
千春は初めてエンハルト達を日本に連れて行った事を思い出す。
「ん~、ダメかぁ、どうしても馬車で領地を移動すると時間がなぁ。」
「ドラゴン連れて行ったら?」
「良いのかい?」
「良いんじゃない?ハルト大丈夫だよね?」
横で聞いていたエンハルトは頷く。
「護衛にもなるし、成獣のドラゴンなら馬車ごと持てるからな、ロイロ、あのゴンドラ1つ渡しても良いか?」
「構わんよ、最近使って無かったからのぅ。」
「それじゃドラゴン君を1人派遣してもらうと言う事で・・・それ美味しそうだね。」
大樹は千春が食べているすき焼きを見て呟く。
「あなた、食べる?」
春恵は嬉しそうに声を掛ける。
「うん、食べようかな、イサムも食べるだろ?」
「おう、頂くとしよう。」
「ケイジ達も連れて来ればよかったな。」
「あー、後で怒られるかな。」
2人が言うとクゥクゥがくるくる回りながら言う。
「私がつれてくるわ~♪」
「お、頼めるかい?」
「ま~~っかせてぇ~♪」
クゥクゥはそう言うと庭に飛び出る、そしてあっという間にフェアリーリングに消えた。
「それじゃあなたはそっちのテーブルに、イサムさんもどうぞ。」
「ありがとう。」
「有難うございます。」
2人は席に座ると、侍女達が食事の準備を始める、そして暫くすると美桜の父啓治と、麗奈の父和也がやって来る。
「いらっしゃーい!こっちの席にどうぞ~♪」
「チハルちゃんありがとう。」
「おじゃまします、おぉ、これは美味しそうだ。」
2人はそう言うと勇と大樹の前に座る。
「今日は何か良い事でもあったのかい?」
大樹がキョロキョロと見まわすと、テールカが目に入る。
「おや?テールカちゃん久しぶりだね。」
「タイキ様お久しぶりです。」
「うぉ!?」
「おぉぉぉ!?」
「へぇ、珍しい種族だね、サイクロプス系かな?」
勇と啓治は驚くが、和也は平然とテールカを見て話しかける。
「初めまして、キュクロープス族、テールカと申します。」
「へぇ、美人さんだねぇ。」
「一つ目種族も居るんだ、世界は広いなぁ。」
「肌の色は血液の種類が違うのかな?」
「血液?」
千春が問いかけると和也が説明を始める。
「僕たちの血は赤いだろう?それは鉄を媒体にしたヘモグロビンで赤く見えるんだ。」
「へぇ。」
「その媒体が銅になるとヘモシアニンで緑色に見えるんだ、肌が青く見えるのはそのせいかもしれないね。」
「へぇ・・・そうなの?テールカ。」
「・・・知らないわ、そう言うのは勉強してないもの。」
「かもしれないってだけだよ、もしかしたら肌が黒い種族や赤い種族の様にメラニン色素の成分が違うのかもしれないね。」
「へぇ~・・・そうなんだ。」
「千春、わかんの?」
「んにゃ?ぜんぜん。」
頼子は千春の反応を見て笑う。
「あ!そうだ、ヨリちゃん、これいる?」
勇はアイテムボックスになっている魔道具の口を開くと、石像を取り出す。
「なにそれ。」
「領主館の保管庫にあった石像なんだけど、領主館に居た魔導士が魔力を感じるって言うから持って来たんだ。」
「へー、なにこれ猫?」
「長靴をはいた猫じゃん?」
服を着て小人の石像のようだが、顔は猫のようだ。
『あら、それ猫の精霊よ。』
「へ?精霊なの?」
『えぇ、三珠に近い種族ね。』
ペット組の所でぺろぺろと酒を舐めている三珠に皆の視線が飛ぶ。
「何にゃ!?」
「これミタマの仲間っぽいよ?」
「・・・知らないにゃ。」
「まぁ小人っぽい感じで猫じゃないもんね。」
千春と三珠が話していると大樹が話す。
「あれじゃないか?ケットシーってやつ、ゲームで出て来た猫の種族。」
「あー、あー!あれね!」
頼子は知っているのか声を上げる。
「で?なんで石像になってんの?コレ。」
「さぁ?チハルちゃん聖女の力で戻せない?」
「えぇ~、アイトネこれ戻せるの?」
『ん~チハルの魔力だとちょっと足りないかも?』
「そっか、アイトネは出来る?」
『出来るけど~・・・。』
「あ、対価居る感じ?」
千春はアイテムボックスの中身を調べる。
「千春、これどう?」
「お、イイネ。」
頼子は影からバームクーヘンの箱を取り出す。
「アイトネ様!コレでどうでっしょー!」
『任せて!』
アイトネは立ち上がり猫の石像に触れる。
『はい!戻れ!』
呪文なども無く、適当に言うアイトネ、石像はみるみる色を取り戻し服も靴も石化が解除された。
「「おぉ~。」」
千春と頼子はケットシーを見る、するとケットシーはバタンと倒れてしまった。
「あぁぁ、大丈夫?猫ちゃん!」
「千春、揺らすのマズイんじゃね?」
「あ、そっか、ルプ!クッション借りるよ?」
「なぬ?猫に使うのか?」
「ダメ?」
「・・・起きたらどけろよ?」
不満げに言うルプ、千春はクッションにケットシーを乗せる。
「アイトネ、これ大丈夫?」
『そのうち起きるわよ、さ、ご飯食べましょ!』
「・・・女神が言うんだから大丈夫か。」
「千春、肉煮えちゃうよ?」
「え!やばやば!食べよう!」
千春達はケットシーを放置し、すき焼きを食べ始めた。
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