ペッパーライス騒動!

「ご飯炊けたよー。」

 日葵と大愛がご飯を持ってくる。


「そこに置いといてー。」

「ういっす。」

 千春は肉を切りながら指示する。


「トウモロコシも準備おっけー。」

 青空がトウモロコシを芯から削ぎ落し茹でた物をザルで取る。


「この肉はタレに浸け込むの?」

「そだよー。」

 頼子はボウルに肉を入れると千春が調味料を混ぜる。


「あれ?焼肉のタレは?」

「いや・・・まさかこんなに作ると思って無かったからさ、足りないんだわ。」

「ホットプレート5枚分だもんねぇ。」

「多分さぁ、これお代わりもあるよね。」

「だからご飯大量に炊いたのか。」

「余ったらアイテムボックスに入れるから問題はないんだけど。」

 日葵と大愛は大きな釜で炊いたご飯をかき混ぜボウルに移している。


「肉は沢山あるけど焼肉のタレは無い!」

「買ってこようか?」

「いや、作れるから大丈夫。」

 千春はニンニクの瓶に大きなスプーンですくい混ぜる。


「あとは醤油と酒、砂糖、ごま油かな。」

「適当?」

「まぁ適当。」

 肉とタレを混ぜ合わせ軽く漬け込むと、ホットプレートの確認をする。


「ほーい、ホットプレートは準備オッケーだよー。」

 美桜と麗奈がテーブルに並べたホットプレートに魔力を注いで温める。


「ミオー、レナー、油よろー。」

「ほーい!」

「りょー。」

 5台のホットプレートにオリーブオイルを流し込む2人。


「それじゃ行くよー!」

 それぞれ材料を持ち、ご飯、肉、コーン、ネギを順番に乗せ、最後にバターを乗せる。


「うひょー美味しそ!」

「コレで不味かったら詐欺じゃん。」

「良い匂いしてきたぁ!」

「ほら!みんな持ち場について!混ぜるよ!」

 千春が指示するとそれぞれのホットプレートにJK達は移動する、そしてホットプレートの肉とご飯を焼きながら混ぜ合わせる。


「ん~良い匂いじゃなぁ。」

「ロイロおかえりー。」

「新しい料理か?」

「そ、ペッパーライスだよ。」

「コレは美味そうじゃ。」

 ロイロはそう言いながらルプ達を見ると、ルプ、コン、ビェリーがホットプレートをガン見していた。


「匂いがヤバいな。」

「こりゃ美味そうやん!」

「よだれがでます・・・。」

 3人はそう呟くと千春達を見続ける。


「チハルこれくらい?」

「もうちょっと焼いて良いよ、おこげが出来るくらい。」

「うぃっす。」

「ヨリ、粗びき胡椒を全部振りかけて行って。」

「まかせろい!」

 ペッパーミルを手に、頼子が各テーブルのホットプレートに胡椒をガリガリとかけて行く。


「やばっ、涎が出る!」

「コレはヤバい、絶対美味しいヤツ!」

 肉汁とタレが香ばしく焼け、軽く焦げた匂いが部屋を充満する。


「ちょっと窓あけよ!モリーお願い!」

「は~い!」

 モリアンとナッテリー、ラルカとマクリが一斉に庭の窓を開ける。


「サフィー作り方覚えた?」

「はい、簡単ですね。」

「うん、簡単で美味しい料理だからねー、サリナも覚えたでしょ?」

「はい、もう作れますね。」

 ニッコリと微笑むサリナ、そして頼子達は千春を急かす。


「もう食べて良い?」

「もう良いっしょ?」

「皿!皿もってきて!モリーちゃん!」

「うちの分も!」

「それじゃ私達はこっちー、そっちは青空達で、ルプ達は少し冷ました方が良い?」

「いや!大丈夫だ!」

「熱くても食べるばい!」

「大丈夫です!」

 食い意地の張ったペット達はそう言うと、ルプ達用のテーブルを陣取る。


「それじゃモリー達はそっちのテーブルで食べてねー。」

「はーい!」

 皆が席につく、手には大きな木のスプーンを持つ。


「それじゃ頂きまーす!」

「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」」」

「んー!!!!」

「うまぁ!」

「あっづ!あづい!!!!」

「ミオおちつけwww」

「うめぇ~♪」

 JK達はバクバクと、そしてサフィーナとサリナはすまし顔で、ルプ達は我先にとガッつく、焼けた肉とガーリック、千春手作り焼肉のタレの香は大きく開かれた窓から王宮中を巡った。



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「おかあさま、いいにおいがします。」

 クンクンと鼻を動かし香りを嗅ぐユラ。


「ユラは鼻が利くものね、何の匂いかしら。」

 マルグリットはユラと窓際に寄る。


「・・・チハルおねえちゃんがごはん作るにおい!」

「良い香りね、今日の夕食に出るのかしら、エリーナ。」

「本日はチハル様は自室でヨリ様達と御夕食を作られると聞いております。」

「あら、それじゃ食べれないわねぇ。」

「たべれないー?」

 ユラは少し残念そうにマルグリットを見る。


「・・・ユラ、ちょっと散歩しましょうか。」

「どこにいくの?」

「チハルの所よ。」

「いく!」

「フフッ、エリーナ、アルベル、行きましょうか。」

「はい。」

 マルグリットはそう言うとユラの手を取り部屋を出て行った。



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「あれ?ココじゃないのか?」

 兵士が1人食堂に駆け込むと、鼻をスンスンと動かし首を傾げる。


「どうしたんだ?リベス。」

「いや、今外から帰って来たんだが、物凄く良い匂いがしたから、てっきり食堂で新しい料理でも作ってると思ってな。」

 残念そうに呟くリベス。


「新しい料理・・・その匂いは何処からだ?」

 怪訝な顔をして聞くのは料理長のルノアーだ、そしてこの後大変な事になるだろうと予測し確認する。


「俺はサイマスに乗って降りて来る時だ。」

 ドラゴンのサイマスに乗る竜騎士団のリベスは空で嗅いだと説明する。


「・・・ヤバいな。」

 ルノアーがそう呟くと別の兵士が入って来る。


「ルノアー!新しい料理か?」

「俺もそれくれ!」

 近衛隊の者が入るなりルノアーに声を掛ける。


「スマン、ここじゃ無いんだ。」

「それじゃ何処だよ。」

「えー違うのかよ!」

「多分・・・チハル王女殿下だ。」

「ルノアー、レシピ聞いてないのか?」

「多分だが、今日初めて作った料理だと思うんだ。」

 次は侍女達がキャッキャ言いながら入って来る。


「ルノアーさ~ん♪この良い匂いの料理たべた~い♪」

「・・・どうしたもんか、王女殿下の部屋に聞きに行くのもなぁ。」

 ルノアーが呟くと材料を取に来たシャリーが目の前を通る。


「シャリー!!!!!」

「うわぁ!なんですかぁ!?」

「頼みがある!」

「え゛?」

「チハルさんの部屋に行ってこの香りの料理を教えてもらって来てくれ!」

 とうとう食堂にまで、肉と醤油、ニンニクとバターが焦げた匂いがルノアーも感じた。


「スンスン・・・良いにおーい♪」

「俺が行くとアレだろ?シャリーならほら、行けるだろ?な?」

「良いですけど・・・ちょっと遅くなるかもですよ?」

「なんでだよ。」

「一緒に食べようって言われたら断りませんから。」

「・・・そこは食堂で作って食べるって言ってくれ!」

「はいはい、それじゃこの材料集めておいてください、これ取りに来たんですから。」

 シャリーはメモをルノアーに渡すと千春の部屋に向かって行った。






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