知られてしまった誕生日!
「千春スタビャいかね?」
授業が終わり頼子が千春に声を掛ける、するとワラワラと集まるメンバー。
「なにー?スタビャ行くの?」
「ウチもいくー。」
「私もー。」
「お?新作フラペ?」
「なんだっけ?焼き芋?」
「それそれー。」
青空達も集まり話始める。
「んじゃみんなで行きますかー。」
「うぃーっす。」
「ほーい。」
頼子が言うと皆はバッグを持ち教室を出る。
「今週なげー・・・。」
「祝日無いと長く感じるよねー。」
美桜は青空を見上げながら呟くと大愛が頷く、空はうろこ雲に覆われていた。
「あ、石田だ。」
日葵が廊下を歩く担任を見て呟く。
「弓削、聞こえてるぞ、先生付けろ。」
「は~い石田せんせい~♪」
「あ!石田、アヤネちゃんとこの前飲みに行ってたでしょー。」
「は!?なんで!?」
「お母さんが目撃してたよ。」
「・・・内緒な。」
「どうしよっかなぁ~♪」
日葵はニヤニヤしながら担任に言う。
「え?石田ってアヤネちゃんと良い感じなん?」
「石田って南先生の事好きなの?」
「へ~、すきゃんだるぅ~♪」
「南先生って英語の?」
「そうそう、アヤネちゃん。」
「へぇ~、そうなんだぁ~。」
JK軍団は一斉に石田を見る。
「・・・おらぁ!早く帰れ!言いふらすなよ!」
「「「は~い♪」」」
「気を付けて帰れよ!」
「「「「は~い♪」」」
苦笑いで追い出す石田、千春達は担任をネタに盛り上がりながら街に向かった。
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「スタビャひさしー♪」
「うちフラペー。」
「私もー。」
「小腹すいたなぁ、チョコチャクスコーンたーべよっ。」
「えー、私も何か食べようかなぁ。」
青空と大愛はフードメニューを見る、千春と頼子はフラペを頼む、皆は商品を受け取るとテーブルに移動する。
「んまぁ!!!」
「新作って飲みたくなるよね。」
「それなー。」
フラペを味わいながら皆はニコニコと話す、不意に頼子が千春に問いかける。
「千春さぁ。」
「なにー?」
「来週誕生日じゃん?」
「・・・うん。」
「あっちの人に言ってんの?」
「言って無い。」
「なんで?」
「ユラの誕生日の件知ってるっしょ?」
「知ってる、大賑わいだったねぇ。」
ユラの誕生日で大騒ぎになった王宮、そして王都までがお祝いムードで盛り上がったのを思い出す。
「アレの二の舞は勘弁していただきたく・・・。」
「えー!?誕生日やろうよー!」
「いつなの?」
「10月8日」
「お!祭日中日じゃん!」
「三連休!イイネ!」
「やろうよ!誕生日パーティー!」
頼子や美桜、麗奈、青空達も盛り上がる。
「どこでやんのよー。」
「「「「「あっち!」」」」」
「えぇー!まじでぇ!?」
「千春は何もしなくて良いよ、私達がやるし。」
「そうそう、ケーキとかも作っちゃう?」
「ウチ作る!」
「私もー♪」
キャッキャと盛り上がる頼子達を横目に千春は溜息を吐きながらフラペを啜る。
「まぁどのみちバレるんだしちゃんと言っておきなよ?」
「誰に?」
頼子に言われ千春は首を傾げる。
「サフィーちゃんで良いじゃん?」
「うーん、まぁそうだよねぇ。」
「ま、ウチらが行ったらバレるからね!」
「そうそう、どうせバレるんだし言っときなー。」
「うぃ、タイミング見て言うよ。」
千春は嫌そうに答える、それはそれは嫌そうに・・・。
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「ただいまぁ。」
「お帰りチハル・・・どうしたの?」
サフィーナは肩を落とした千春に声を掛ける。
「んー、ちょっと疲れただけぇ。」
「そうなの?」
「そうだよー。」
ぽいっとカバンをソファーに投げると千春はゴロンと転がる。
「王女殿下がはしたないですよぉ?」
モリアンが千春を見下ろしながら言う。
「誰も見てないじゃーん。」
「私達みてますけどぉ?」
「モリー達は家族みたいなものじゃん?」
「そう言ってもらえると嬉しいですぅ♪」
「ほら、チハル、宿題は?」
「スタビャで終わらせたから無いよー。」
「そうなのね、お茶飲む?」
「うん、もらうー。」
サフィーナはニコッと笑みを浮かべお茶を淹れる。
「週末の予定は?」
サフィーナはカレンダーを見ながら千春に問いかける。
「ヨリ達が金曜の夜から来るよ、パーティー・・・するから。」
「パーティー?何の?」
「・・・私の誕生日パーティー(ボソッ)」
「いつなの?」
急に真顔になるサフィーナ、圧を感じた千春は答える。
「8日。」
そう言うとサフィーナはカレンダーを見る。
「あと4日じゃない。」
「すごいねー、こっちの数字も一瞬で読めて。」
「読めるようになってて良かったわ、サリナ、メグ様に報告を、フアナ!」
「はっ!」
サフィーナがフアナを呼ぶと、目の前に現れる。
「陛下に連絡してちょうだい。」
「了解しました。」
「あのー・・・サフィーさん?」
「チハル。」
「はい!」
ジト目で見られ思わず返事をする千春。
「何故早く言わないの?」
「えーっと・・・面倒な事になるかなーって。」
「当日言われた方が面倒になるわよ。」
「だってー!ユラんとき凄かったんだもん!」
「それはそうでしょう、王女殿下の誕生祭よ?」
「でも私あっち生まれだし。」
「そう言うのは関係ありません!」
「うっ、ごめんなしゃい。」
「別に怒って無いわよ、さてと、モリーは食堂に行ってルノアーに、ナッテリーはルーカス様に連絡して頂戴。」
「了解でっす!」
「承知致しました。」
2人は直ぐに部屋を出て行く。
「さて、忙しくなるわね。」
「やっぱり?」
「チハルはのんびりしてて良いわ・・・と言いたい所だけれど。」
「え?何?怖い、何が待ってるの?」
「確定でメグ様に怒られます。」
「うぇぇ!」
「あとはドレスを新調するわね、早ければ今日採寸で呼ばれるわよ。」
「マ?」
「あとは・・・ハルトも知らないわよね?」
「うん。」
「ハルトはもう少ししたら来るでしょうからちゃんと言うのよ?」
「はーいサフィーママ。」
暫くすると案の定ハルトがやって来る。
「チハル!」
「うっ!?」
「聞いたぞ。」
「・・・何をかな?」
目を逸らし答える千春。
「もう少し早く教えてくれ。」
「ごめーん。」
「まぁ気持ちは分からんでもないがな。」
クスッと笑うエンハルトは千春の頭をポンポンと触る。
「欲しい物はあるか?」
「ないね。」
「相変わらずだなぁ。」
やっと笑みを浮かべた千春の前にマルグリットの飼っているオルニス鳥のラティが飛んでくる。
「ラティ、いらっしゃい・・・って手紙ぃ!」
「母上か。」
「うん・・・。」
千春はラティから手紙を受け取ると、ラティはそのまま飛んで行った。
「あー・・・読まなくてもわかるぅぅぅ。」
「ま、本気で怒られる事は無いだろ、何と書いてあるんだ?」
「さぁ?読めないし、ハルト読んで。」
千春は手紙をエンハルトに渡す。
「・・・うん、一言だけだな。」
「なんて?」
「『今すぐ来て頂戴。』だ。」
「だぁぁぁ!!!」
「諦めろ、俺も送ってやる。」
「部屋まで?」
「いや、扉の前だな。」
「はるとぉぉぉぉぉ!」
「諦めろ。」
「・・・サフィー!!!」
「ほら、行くわよ。」
「・・・はい。」
千春は返事をするとサフィーナとエンハルトに挟まれマルグリットの部屋に連れていかれた。
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