王女殿下専属侍女枠争奪戦!はじまた!
「楽しかったわ。」
アルデアは異世界に戻って来ると呟く。
「色々買ったねぇ。」
「千春ポップコーン作るわけ?」
「出来たてが美味しいじゃん。」
「めんどくさいじゃん。」
「いやいや、ちゃうねん。」
「なにがよ。」
「普通のポップコーンでも良いけど味有った方が良いじゃん?」
「味って?」
「キャラメル味とか。」
「あー・・・そういう味ね、何味作るわけ?」
「色々作れるよ、ほら。」
千春がスマホを取り出し検索画面を見せる。
「ほぉー、チョコとか有るんだ。」
「うん、あとコレ、ワサビマヨとか。」
マヨと聞きモリアンがグルンと首を千春に向ける。
「はいはい、モリアンも作ってあげるからねー。」
「やったぁ!」
「でも明日何時からするの?」
「朝の2鐘が鳴ったらスタート。」
「2鐘って言うと9時?」
「そだよ、だから朝ごはん軽く食べてからおやつ作るよ。」
「りょ~。」
材料や冷食を魔導冷蔵庫に入れる頼子。
「アイテムボックス入れたらいいのに。」
「たまには使ってあげようよ、せっかくアリンさんが作ってくれたのに。」
「はいはい、それじゃコレもいれとこー。」
千春も牛乳パックの入れ物に入ったプリンやゼリーを入れる。
「それっぽくなった。」
空っぽだった魔導冷蔵庫に色々と物が入ったのを見て頼子は満足そうだ。
「チハル夕食はどうするの?」
「ん、魚買って来たからヅケ丼作るよ。」
「私刺身でも良いけど。」
「刺身も作るよ、ルプ達が酒のツマミで食べるだろうし、ね?ルプ。」
「おう!食べるぞ。」
「わっちも食べるばい!」
「ぼくもー!」
「なんじゃ刺身か?」
ロイロがひょこっと厨房に顔を出す。
「おかえりロイロ。」
「明日の準備は出来たのか?」
「出来たよーって言うかラルカが逃げるだけだし。」
「まぁそうじゃなぁ。」
千春はマグロの切り身をヅケと刺身にする、ルプ達は酒のツマミに、千春達は卵の黄身を乗せヅケ丼で夕食を済ませると、風呂に入り就寝した。
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「第1回!王女殿下専属侍女枠争奪戦!」
モリアンが中庭で部隊の者達の前で大きな声を出す。
「ルールは分かっていると思いまーす!が!確認しまーす!」
「チハル、第1回って、2回目もあんの?」
「さぁ?」
麗奈が千春に言うと千春は笑いながら返事をする。
「王宮内1階のみ!扉の中に入るのは禁止!北東エリアの階段、入口付近のみ貴族の出入りがあります!そこも禁止エリアです!」
「はーい!」
ラルカは楽しそうに返事をする。
「魔法、飛び道具は禁止です、ラルカの付けているリボンを取った者が侍女の権利をゲットでーす!」
モリアンが言うと、部隊の者達がラルカの腕についたリボンをガン見する。
「ひっ。」
「ラルカがんばれー。」
「がんばりまふぅ。」
殺気じみた視線を受け怯むラルカに千春は他人事の様に応援を入れる。
「それではラルカ、逃げてー。」
「はーい。」
そう言うとラルカは一蹴りで廊下まで飛び、廊下を駆け抜けた。
「カウントダウン!」
「10・・・9・・・8・・・7・・・6・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・スターーーートッ!」
モリアンが掛け声を掛けると皆は一気に廊下へ走り出した。
「さ、部屋もどろー。」
「うぃーっす。」
「見る前に捕まったりして。」
「それは無いっしょー、10秒あったら相当逃げれるんじゃない?」
頼子達はケラケラと笑いながら千春の部屋に戻る、部屋にはアルデアが待機し、壁には映像が映し出されていた。
「これってラルカの蝙蝠?」
「そうよ、今の所誰にも見つかって無いわ。」
ラルカは様子を見ているのかエントランスの壁の上で耳をピコピコ動かしながらじっとしている。
「こっちは?」
「優勝候補の2人ね。」
「だれ?」
千春はサフィーナとサリナを見る。
「フアナとサビアが見えますね。」
「こっちは?」
「リンプですね、エンハルト殿下の部隊に居る者です。」
「ハルトの所からも来てるんだ。」
「あの子もですね。」
リンプと言われた少女の後ろから物凄い速度で追いかけて来る少女を見る。
「はやっ!!!!何この子!」
「ナッテリーです、この者もエンハルト殿下の部隊です。」
「この子達何歳なの?」
「モリアンと同じ16歳ですね。」
「へぇ、私より一つ下かぁ。」
走る少女達を見ながら皆は朝作ったポップコーンをボリボリと食べる。
「チョコポップコーンうまっ!」
「マ!?ちょっと頂戴!」
「んーワサビマヨも美味いわー。」
「キャラメル食べ過ぎると胸やけしそう。」
「甘いもんねー。」
青空達も映像を見ながらポップコーンをモリモリ食べる。
「あ、エントランス来た。」
「フアナちゃんそのまま行っちゃったね。」
「サビアは残りましたね。」
フアナはそのまま別の廊下を走っていく、サビアは別の廊下に向かおうとしたが立ち止まる。
「お?気付かれた?」
「気配は消していると思いますが。」
「ラルカ気配消せるの?」
「はい、完全では無いですが消せますね。」
「凄いなラルカ。」
サビアはキョロキョロと見まわす、そして上を見る。
「あ、バレた!」
ラルカは壁を蹴ると、サビアが入って来た廊下に向かいダッシュする。
「おー、早いなー。」
「サビアも早い!」
「でもラルカの方が早いね。」
「うん、逃げれそう。」
ラルカは物凄い速度で廊下を走る、いや、廊下を蹴り飛び跳ねる様に移動していた。
「お!前からリンプちゃん!」
挟まれる形になったラルカは速度を落とさず壁を蹴ると横道に向かい直角に方向を変える。
「あ・・・。」
「あぁ~・・・。」
砕け散る壁と砂埃が映像に浮かぶ。
「壊れたね。」
「うん、壁粉砕したね。」
「サフィー・・・。」
「はい、想定内です。」
「そうなんだ。」
砂埃を無視し、サビアとリンプも同じ様に方向を変えるが速度が急激に落ち、既にラルカは視界から消えていた。
「ラルカの映像はー、廊下走ってるね。」
「他の子居るじゃん。」
部隊の者や千春が知らない子が数人映ったが、あっという間にすれ違いラルカは走り去る。
「これ捕まえれるの?」
「数人で囲めば捕まえれると思いますよぉ?」
モリアンはワサビマヨポップコーンをポリポリと食べながら答える。
「ラルカが止まった!」
「お?隠れるのかな?」
「違うみたいよ?話が聞こえるわ。」
アルデアが答える。
「なんて?」
「さっき言ってたナッテリーちゃんが自己紹介してるわ、勝負するみたいね。」
「おー!カッコいい!」
ラルカの映像にナッテリーが映る、ナッテリーは腰を落とし今にも飛び掛かりそうだ。
「ラルカ結構焦ってるわね、後ろから気配がするからサビアが追いついたのかも。」
アルデアが状況説明する、するとラルカは片足を軽く上げ横の壁を蹴る、そして窓から飛び出ると渡り廊下の方へ向かい走り抜ける。
「おぉ、また壁壊したね。」
「大丈夫なのコレ。」
「だいぢょうぶれふお?つちまほぉれしゅうりできまふはら、痛ぁぁぁい!!!!」
サフィーナはモゴモゴと食べながら話すモリアンをグーで叩く。
「口に入れて喋らない、これくらいでしたら土魔法で直ぐ補修出来ますから問題有りませんよ。」
「でもここまでドゴンドゴン音聞こえるんだけど。」
耳を澄ます大愛と日葵、確かに壁を壊す音が聞こえていた。
「ま、今更考えてもしゃーないよ。」
「そだね、ちょ!チョコポップコーン全部食べたのだれ!?」
「あ、ヨリゴメン、美味しかったから。」
「ちょー!ミオぉぉ!」
JK達はポリポリと食べながら映像を見続けた。
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「・・・始まったか。」
「その様ですね。」
エイダン国王は職務室で破壊音を聞きながら呟く。
「魔法は使わない、飛び道具は使わないとの事でしたが・・・良い音を出しておりますな。」
宰相ルーカスは苦笑いで答える。
「フアナが侍女になればチハルの動きも良く分かるんじゃが。」
「同じことをエンハルト殿下も考えていらっしゃるようですが、他の部隊の者も気合が入っております、誰が権利獲得するか分かりません。」
話していると更に破壊音が聞こえる。
「・・・一階だけにしておいたが城は大丈夫か?」
「・・・多分。」
2人は耳を澄ませながらため息を吐いた。
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