王女殿下専属侍女枠争奪戦!準備!

「千春鬼ごっこ明日だよね?」

「うん。」

 千春は教室でノートを広げながら答える。


「ラルカの代わり以外にも人員増やすって言ってたじゃん?」

「あー、コラリーちゃんとドロテちゃん枠ね。」

「そ、普通の侍女枠なんだけど、流石に特殊部隊の子にコラリーとドロテ追い回すのはダメじゃん?」

「ダメだね、一瞬で捕まるっしょ。」

「それと、その普通枠の侍女さん達も参加したいって声出てるんだよ。」

「マジか、で?何人?」

「ヨリ達の侍女を1人づつ増やすって言ってたから6人かな。」

「多いな。」

「普通に面接かなぁやっぱり。」

 ノートに侍女と書き、丸を書いて行く。


「なにー?侍女増やすって?」

 麗奈がピョコっと顔を出し話しかける。


「うん、何かいいアイデアある?」

「アイデアって明日でしょ?準備必要じゃん。」

「そうなんだよねー。」

「身体能力必要なの?」

「ある程度はね、でも普通の侍女だから。」

「ふーん、それじゃ生き残りタイプのゲームしたら?」

「なにそれ怖い。」

「いや、別に殺し合いじゃないから、ほら、鉄棒にぶら下がって落ちたら負け的な。」

「あー、そう言うヤツね。」

「でもソレだといつまでたっても落ちない場合ダルくね?」

「確かに!」

 頼子が言うと千春は頷く、そして美桜や青空達も集まる。


「ほー?生き残りゲーム?」

「そ、何か無い?」

「んー、ドッチボールとか?」

「ドッジボールじゃね?」

「どっちでも良いじゃん、ドッチだけに。」

「ダイア寒いわ。」

「秋だからねぇ・・・。」

「・・・で?どうするの?」

「ドッジボールはボール買うだけだし良いかも。」

「ラルカ杯は?」

「なにラルカ杯って、そっちは鬼ごっこ確定。」

「無事に済めば良いね。」

 千春の言葉に頼子がポツリと呟く。


「大丈夫じゃん?」

「何を根拠に言ってるんだか。」

「あははは、それじゃ今日ボール買って帰るかー。」

「ルール知ってんの?」

「いや、単純にボールに当たらない様に逃げ回るだけで良いんじゃん?」

「ぶつけるのは誰がやんのよ。」

「・・・サフィーとか?」

「いや!全員倒されるって!!」

「うん、全滅の未来しかないね。」

「うちらが投げる?」

「あ!それ良い!ウチも投げたい!」

「ボールいくつか買って行くかぁ。」

「スポーツ用品店?」

「100均のボールでよくね?」

「良いけどね、さ、帰ろう!」

 皆は立ち上がる、そしてあとで千春の家に合流と、皆はそれぞれ帰って行った。



----------------



「ただいまー。」

「たっだいま~い。」

「お帰りなさいチハル、ヨリ。」

「おかえりなさいませ~♪」

 サフィーナとモリアンが千春と頼子を迎える。


「あれ?サリナは?」

「部隊の者と話してるわ、明日の打ち合わせね。」

「おー、どう?準備大丈夫そう?」

「えぇ、でもラルカ1人を捕まえるのに人数が多すぎるの。」

「・・・何人集まったの?」

「少なくとも50人以上ね。」

「は?うちの部隊ってそんなに居ないよね?!」

「それが、他の所の部隊も参加したいと言って来たのよ。」

「許可出したの?」

「えぇ、メグ様とエイダン国王陛下が了承したわ。」

「マジで?よく許可したね。」

「それくらい本気なのよあの子達。」

 呆れた声で言うサフィーナ。


「それで?どうするの?」

「サリナが今篩にかけてるわ、10人くらいに絞る予定ね。」

「どうやって?」

「アミの子達から逃げきれたら合格。」

「は!?軍隊蜂から逃げるの!?」

「そ、しかも中庭から出る事は不可、魔法不可、攻撃不可、逃げるだけよ。」

「それって可能なの?」

「可能よ?少なくともココに居る皆は逃げ切れるわ。」

 サフィーナはモリアンやラルカを見る。


「多分ですけどぉ、マクリも逃げれますよ?」

「そなの?」

「逃げ切りますニャ!」

「流石獣人だねぇ。」

「チハル、通常枠の侍女はどうするか決めたの?」

「うん、ちょっとしたスポーツで生き残り大会やるよ。」

「どんな?」

「えっとねー、コレ!」

 100均で買ったボールを見せる千春。


「ボール?」

「うん、これを私達が投げて逃げ切れた6人が合格。」

「楽しそうね。」

「ぶっちゃけ楽しい、私達もよく遊んだもん。」

「誰が投げるの?」

「それは私達が投げるよ、私達が投げて逃げれないんじゃダメじゃない?」

「私が投げましょうか?」

「いや!サフィー投げたら全滅するって!」

 クスクスと笑うサフィーナ、千春もクスっと笑う。


「それじゃ明日の準備はそれで問題無いですね。」

「多分ねー、ただ状況が見れないのがねぇ。」

「逃げ回りますから追いかけるのは無理よ?」

「ルプなら追いつく?」

 千春がルプを見る。


「1人だけで良いならな。」

「1人かぁ。」

「千春、ルプに追いつかせてどうするの?」

「ほら、コレ。」

 千里眼の石を取り出す。


「これならルプが見てると私も見えるじゃん。」

「あー、そう言う事ね。」

「それなら私がやるわよ?」

 急に声を掛けられ千春と頼子が振り向く。


「アルデアいらっしゃい、血?」

「えぇ。」

「次は私だったね~♪」

 頼子は腕を捲る。


「血は後で良いわよ、チハルその石貸してくれる?」

「はい、使える?」

「えぇ、何度も見てるもの。」

 アルデアは千春から石を受け取ると壁に映像を映す、映像にはエイダン国王の職務室が映っている。


「お父様だ。」

「蝙蝠が居る所なら何処でも見えるわよ。」

「おー!ってこれお父様知ってるの?」

「もちろん、護衛として何か有れば私に蝙蝠から連絡が来るわ。」

「他にも居るの?」

「メグとユラ、ライリーとフィンレー、ハルトの職務室にも居るわ。」

「おぉー、他にも居そう。」

「この部屋にも居るわよ。」

「あ、そう言えば居るって言ってたね!」

 千春はキョロキョロと見渡すと、天井にあるシャンデリアから蝙蝠がピョコっと顔を出す。


「いたー!」

「可愛いな~。」

 千春と頼子は蝙蝠に手を振る。


「同時に3か所くらいなら映せるわね。」

 アルデアは目を瞑った後壁を見ると、3か所の映像が流れる。


「これ声は聞こえないんだよねぇー。」

「私には聞こえてるわよ。」

「そっか、アルデアは直接見聞き出来るんだ。」

「私が中継して状況教えれば良いかしら?」

「良いの?」

「良いわよ?楽しそうですもの♪」

 本当に楽しそうにアルデアはニッコリと笑う。


「それじゃこの部屋で観戦しながら楽しみますか。」

「観戦するならお菓子居るね。」

「ポップコーンとコーラ?」

「チェロスとか欲しくね?」

「良いね、買いに行こうか。」

「ぎょーすー行こう!」

「イイね、ぎょーすー!」

「ちょっとLIMEするわ。」

 頼子はそう言うとLIMEで皆に伝える。


「おっけ、合流できそうな人は来るってさ。

「うぃーっ、それじゃサフィーちょっと行って来るよ。」

「気を付けてね。」

「はーいサフィーママー。」

「アルデアちゃんも行かない?」

 頼子はアルデアを見る。


「良いのかしら?」

「いいんじゃない?ねぇ千春。」

「大丈夫っしょ。」

 千春がそう言うと、ゴスロリっぽい服を着たアルデアにジーンズとジャケットを渡す。


「これに着替えてね。」

「・・・コレに?」

「そ、あっちの服、流石にその恰好だと目立つ!」

「行ってみたいし着替えるわ。」

 そしてアルデアを着替えさせると千春達は業務用のスーパーに突撃した。






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