王と王妃実食!

「本日はチハル王女殿下、ユラ王女殿下が作られた料理で御座います。」

 執事長のセバスはエイダン国王陛下、そしてマルグリット王妃殿下に説明する。


「これがらーめんと言う物か、汁に入った麺なんぞ久しぶりだな。」

「この焼いた物は?」

「ギョウザと言う物らしく、このつけタレでお召し上がり下さいとの事です。」

「これは米か、これも焼いてあるが良い匂いじゃな。」

「チャーハンと言う料理だそうで御座います。」

「ふむ、それでは頂こう。」

「いただきます。」

 エイダンとマルグリットは慣れた箸を上手に使い麺を啜る。


「うむ、美味い。」

「昨日食べた物よりも断然美味しいわ。」

「このチャーハンと言う米も味わい深いのぅ、肉の旨味が染み込んでおるな。」

「フフッこのギョウザはユラが作ったのね。」

 少し歪だが具はしっかりと詰め込まれた餃子を箸で摘まみ口に入れるマルグリット。


「美味しい。」

 笑みを浮かべながら味わう。


「うむ・・・このギョウザという料理、酒と合いそうだ。」

「はっ、チハル王女殿下よりこちらを頂いております。」

 セバスはそう言うと焼酎の瓶を見せる。


「わかっておるのぅ、しかしメグが飲めぬからの、後で頂くとしよう。」

「あら、気を使わなくても良いわよ、セバス注いであげて。」

「はっ、了解しました。」

 セバスは焼酎の蓋を開ける。


「ロックで入れてくれ。」

「了解しました。」

 エイダンは大樹に教えてもらった飲み方を全て覚え、料理に合いそうな飲み方をセバスに注文する。


「子供達は食べたの?」

「はい、本日はチハル王女殿下の客間でお食事されております。」

「フフッ、仲が良いわね。」

「良い事だ、例の国なんぞ兄弟で殺し合いしておるからな。」

「一緒にしちゃダメでしょう、あそこの子は王位の取り合いに必死ですもの。」

「うむ、王位継承から外れた第三王子がうちの娘をと言って来たが、流石に音沙汰無くなったからの。」

「当たり前よ、私の部隊総員で処理したもの。」

「穏便と言う言葉を知っておるか?」

「知ってるから秘密裏に処理したんでしょう?」

 飄々と答えるマルグリット、実はすべてを知っているエイダンも苦笑いだ。


「しかし、生まれるまで酒が飲めぬと言うのも大変じゃな。」

「そう言う物だからしょうがないわ。」

 マルグリットはフフッと笑う、するとセバスが声を掛ける。


「王妃殿下、チハル王女殿下がこちらをと。」

 セバスはそう言うと布が掛けられた瓶を取り出す。


「のんあるこーるウイスキーと言う物らしく、妊婦でも大丈夫だと。」

「・・・え?飲めるの?」

「酔う事は無いとの事ですが、香りは蒸留酒と同じだそうで。」

「へぇ、注いでくれるかしら?」

 マルグリットはグラスに入ったノンアルコールウイスキーを口にする。


「・・・本当にお酒じゃ無いの?」

「はい、そう言われておりました。」

「確かに酒精感は無いのだけれど・・・美味しいわ。」

「うむ、良かったのう。」

 2人はそう言うと軽くグラスを掲げニッコリ微笑み食事を楽しんだ。



-------------



「おかあさまたべてくれたかなぁ。」

「ちゃんと届けてるの見たから食べてるよ、ほらユラ麺が伸びちゃうよ。」

 チハルはユラの面倒を見ながら自分もラーメンを食べる。


「味の種類あるから飽きないね。」

「チャーハンうめぇ!」

「ギョウザうまー!」

 青空と大愛も合流し、千春の部屋でラーメンやチャーハン、餃子を楽しむJK達。


「チハルお姉さま、美味しいですが上手く麺が食べれません。」

「僕もむせちゃいます。」

「一度小皿に移して食べたら大丈夫だよ。」

「あれ?メグ様上手に食べてたよね?」

「あーお母様は冒険者時代にいろんな所で食べてたらしくて、麺の食べ方も知ってるんだよ。」

「へぇ、普通に食べれる物だと思ってたわ。」

 千春に言われ青空が答える。


「ハルトも食べれるよね。」

「あぁ、似たような物は食べた事が有る、最初はライリーやフィンレーみたいにむせたがな。」

「やっぱり慣れって事か。」

「千春、他の麺作るの?」

「他って?」

「う・ど・ん。」

「うどんかー、食べたいなー。」

「ほら、うどんなら機械いらないから王都でも広がりやすいんじゃない?」

「問題はダシなんだよなー。」

「釜揚げうどんみたいにつけ麺で食べれば?」

「あ、そう言うのも有りか。」

 うどんやそばの話で盛り上がるJK達。


「それじゃさ、うどんのスープとかダシを商業ギルドで作ってもらって販売は?」

「あ、その手もあるか!」

「そりゃそうか、スーパーで普通に売ってる売り方すれば問題無いのか。」

「うん、付加価値もついて一石二鳥!」

「そして商業ギルドが儲かると。」

「チハルは儲けなくて良いのか?」

「もうね、使い道ないんだよハルト。」

「贅沢な悩みだな、ギルマスのメイソンはチハルに祈らないとダメだな。」

「チハルに足向けて寝れないね。」

 美桜はケラケラと笑いながら話す。


「足向けたらどうなるんです?」

 ふとモリアンが呟く。


「こっちの世界の習わしと言うか言い回しだよ、仏像とかに足向けて寝ると不敬だって意味で、感謝する人に足向けて寝れないねって言う事。」

 頼子が説明すると、モリアンはへぇ~と感心している。


「あ、そう言えば神様呼んでないじゃん。」

「いや、散々食べてたからもう良いっしょ。」

 美桜が言うと千春は笑いながら答える、しかし。


((・・・・。))

「・・・ご所望らしいよ。」

「わかんの?」

「うん、圧感じるんだよねぇ、無言の。」

「で?呼ぶの?」

「しゃーない、アイトネさまぁ~♪」

『はーい!チハルのいけずー!』

「なにげにアイトネ様日本語使うよね。」

「秒速で覚えるらしいよ、日本語。」

「ずるっ!」

「アイトネ何食べる?」

『それじゃ味噌ラーメンとチャーハン!餃子も!』

「はーい、ラルカー味噌ラーメンいっちょ~。」

「了解しましたー!」

 厨房で番をしているラルカは麺を茹で始める。


「それじゃ私はチャーハン作ってくるわ。」

「私は餃子焼いたろ~。」

 千春と頼子はそう言うと厨房に入る。


「ヨリ、明日うどん作る?」

「うん、流石に4食ラーメンはキツかった。」

「美味しいけど、流石に毎食ラーメンは無いね。」

 2人はクスクスと笑いながらアイトネの食事を準備した。





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