ラーメンと言えば!

「おはよーサフィー、早いねえ。」

「いつも通りですよ、チハルもっと寝てても良かったのに。」

「目覚めたからねぇ。」

 ソファーにポスンと座るとサフィーナはコーヒーを入れる。


「今日はどうするのかしら?」

「食堂でラーメン屋さんしようかなぁ。」

「また作るの?」

「皆んなの反応見てみたいから。」

「美味しいしか言わないわよ。」

「どれが人気あるとか調べれるじゃん?」

「他の味付けはあるの?」

「味付けと言うか、麺のメニューは色々あるよ、うどん、蕎麦、ちゃんぽんとか担々麺とか?」

「それも作るの?」

「麺自体が違うからなぁ、でもうどんは作りたいな。」

 のんびりしているとユラが扉から顔を覗かせる。


「チハルおねえちゃん・・・おはようございます。」

「おはよーユラ、どうしたの?入っておいで。」

 そう言うとユラは部屋に入り千春の横に座る。


「どうしたの?」

 なにか考えているユラに問いかけると、ユラは話す。


「おかあさまにあかちゃんできたから、何かしたいの。」

「ユラは横でニコニコしてたら良いと思うけどなぁ、それだけで幸せになれる。」

「私もそう思いますね。」

「でも、ユラ、おかあさまにいっぱいしてもらってるから、ユラもおかあさまになにかしたいの。」

「そっか、まだ産まれるまで時間あるからゆっくり考えようか。」

「それが良いですね、お腹が大きくなると出来なくなる事も増えますから。」

 2人はユラに微笑みながら答えると、ユラもコクリと頷く。


「よし!それじゃまずはお母様にラーメン作ろう!」

 千春が言うと寝室から頼子が現れる。


「朝からラーメン作んのぉ?」

「おはようヨリ。」

「おはよぉー、サフィーちゃんユラちゃんおはよー。」

 寝ぼけ眼で挨拶する頼子、そして美桜と麗奈も起きて来る。


「おっはよ~う。」

「なに?ラーメン作るって聞こえたけど。」

「うん、食堂で作って評価聞きたいなって思ってさ。」

「評価も何も美味しいに決まってるじゃん。」

「そうそう、豚骨も味噌も醤油も美味しかった。」

「魚介も醤油と混ぜたら美味しかったよねー。」

 3人も着替え終わると話をする。


「作るの良いけど麺無いじゃん。」

「あ、そう言えば無いわ。」

「好評すぎて昨日全部食べちゃったもんね。」

「パスタマシーンはいつ来るの?」

「えーっと・・・。」

 千春はスマホで確認すると昼過ぎになっていた。


「昼過ぎだわ。」

「24時間スーパー行ってくるわ。」

 頼子はそう言うとビェリーを頭に乗せる。


「それじゃ行ってくるわ、何食分買って来る?」

「買い占めて良いんじゃね?」

「食堂で出すなら大量に欲しいね。」

「余ったら別の日に食べたら良いし。」

「余らないっしょ。」

「多分ね。」

 頼子は千春に言うと日本に送ってもらい、スーパーへ向かった。


「それじゃ私達はスープの準備だね。」

「豚骨足りる?」

「豚骨だけ出したら足りないだろうけど、他のスープもあるし大丈夫っしょ。」

 千春達はスープやトッピングの材料をアイテムボックスに入れ、準備を終わらせる。


「チハル、ミンチある?」

「あるよー、何か作るの?」

「うん、担々麺に乗ってる味噌ベースのミンチ作ろうかなって。」

「あ!ミンチあるならアレ作りたい!」

 麗奈はそう言うと頼子にLIMEする。


「何つくんの?」

「餃子!」

「あー、ラーメンと言えば餃子って感じ有るよね。」

 美桜の問いに麗奈は答え、ウンウンと頷く。


「・・・ラーメンにはチャーハンじゃん?」

 千春はそう言うとチャーシューを見る。


「材料あるね。」

「チャーハンいいねぇ。」

「麺だけ食べさせると兵士さんとかお代わりしそうだし、チャーハンと餃子も作る?」

「餃子の皮は今頼んだ。」

「あ、餃子手作りするんだ。」

「そりゃ手作りっしょ、それに市販品だと絶対足んないよ。」

 そしてチャーハンの材料を切り、餃子の種を作る、暫くすると頼子が帰って来る。


「たっだいまー!乾麺買い占めた!2箱分買って来たぜ!」

「うぉ!段ボールで買ったの?!」

「うん、店員さんに言ったら倉庫から出してくれた。」

「こんだけ有れば余裕っしょ。」

 麺も手に入り皆は王宮の厨房へ向かった。



--------------



「ルノアーさん来たよーん。」

「いらっしゃいチハルさん、どうだい?らーめんってのは出来たかい?」

「出来たよー、良かったら今日ここで作って皆の評価聞きたいんだけど。」

「へぇ、美味しかったのかい?」

「うん、美味しかった。」

「それじゃ皆の評価は決まってる、美味しいしか言わないだろ。」

「いやいや、スープの種類あるからさ、どれが一番人気あるかなって。」

「へぇ何種類あるんだ?」

「4種類。」

「・・・4種類全部食べさせるのか?」

「あ・・・1人4杯は無理か。」

「評価は俺達が集めておくよ、ここでも作って良いんだろ?」

「勿論!」

「わかった、それじゃぁ今日はこっちの場所を使ってくれ、おい!お前ら王女殿下の作業を手伝うぞ。」

 ルノアーは料理人を数人集め指示を始めた。


「千春、ラーメンの作り方教えておく?」

「そだね、私はチャーハン作りたいし。」

「ほう?餃子じゃないんだ。」

「餃子はレナが作るってさ。」

 麗奈は早速テーブルに餃子の皮を山積みにし、餃子の種を包み形を作っていた、ユラ、そしてビェリーとコンも子供の姿で手伝っている。


「餃子の方は問題無いけど1人じゃ焼くの大変だから料理人さんに教えておこう。」

 千春は餃子を少し貰うとフライパンに油を引いて火をかける。


「それじゃ餃子の焼き方教えますねー、サフィー熱湯をコップ一杯くれる?」

「熱湯で良いの?」

「うん、熱湯がいい。」

 サフィーナは熱湯をコップに入れる、料理人が2人千春の後ろに付き、焼き方を覚えている。


「まずは油を多めに引きます、それで火にかけて油を温めてから並べまーす。」

 餃子を指で4つ器用に摘まむと、千春はポンポンと円状に並べて行く。


「この状態でこの餃子の皮の色が変わるまで焼きまーす。」

 そう説明している間に餃子表面の色が変わって来る。


「で!ここに熱湯を入れます!」

 ジュワァァァ!といい音を立て一気に沸騰する、湯気が一気に立ち上る。


「はい!ここで蓋を閉めまーす。」

 フライパンの上に蓋を閉め火を弱める。


「少しフライパンを動かして焦げ付かない様にしまーす。」

 フライパンを前後に動かしながら説明を続ける。


「このまま数分焼くんだけどー、最初だからどれくらいで焼けるかなぁ。」

 数分経ち音が変わるのを確認した千春は蓋を外す。


「お!良い感じ!?」

「底だけ焼けてる感じか?」

 ルノアーは横から覗き込むと千春に問いかける。


「そ、ここで追っかけ油を少々垂らしまーす、これゴマ油ね。」

 千春は上から軽くごま油を垂らすと良い香りが広がる。


「この油の意味は有るのか?」

「うん、香り付とカリカリ感を出す為だよー、そんで水分が飛んだら・・・。」

 焼いている餃子が乗るサイズの皿を上から乗せると、フライパンごとひっくり返す。


「ほい!餃子出来上がり!」

「「「「おぉー!」」」」

「さて、レナー餃子焼けたけど試食するー?」

「したいけど餃子作ってるぅぅぅ!」

 綺麗に焼き目の付いた餃子を見せるが、麗奈は黙々と餃子を作っていた。


「んじゃ私達は後で食べるからルノアーさん達食べてみて。」

「良いのか?」

「いいよ、まだ今から大量に作るし、タレに付けて食べてね、これは酢醤油ね。」

「それじゃぁいただきます。」

 ルノアーはそう言うと、餃子を1つ摘まみタレに付けて口に入れる。


「あっふうぅぅぅ!!!」

「あ、皮に包まれてるからめっちゃ熱い汁出るよ。」

「チハルさん・・・いつも言うの遅いんですよぉ。」

 横で涎を垂らしそうにしながら見ていたモリアンが呟く。


「モリーも食べる?」

「食べます!」

「はい。」

「いただきまーす!」

 モリアンも同じ様に1つ摘まむとタレを付け口に入れる。


「ああっふあふうあっふあっふ!!!!」

「・・・モリー今見てたよね?ルノアーさんを。」

「千春もタコ焼き食べる時同じ事してたじゃん、熱くても口に入れるよねこれ。」

「わからんでもない!ヨリ食べる?」

「頂こう!」

 頼子も1つ食べ、残りは料理人達の試食になって消えた。


「美味い!これは美味いな!」

「でしょー、ビールに良く合うらしいよ。」

「ビール?あぁエールか、そうだな合いそうだ、よし、別の班にギョウザも作らせよう。」

「餃子の材料は・・・あ!ニラこっち無い!!!」

「いんじゃね?ニラ無しでも。」

「うちニラ入れないよ、ニンニクたっぷり入れるけど。」

「えー?マジでー?」

 ニラ無しに不満がある千春、しかしニラが無いので納得するしかない。


「しゃーない、それじゃ材料教えまーす、ルノアーさんメモお願いね。」

「了解だ。」

 千春はオーク挽肉餃子の作り方を教え、ついでに手作り餃子の皮の作り方も検索し教えた。



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