木の竜!木の精!木の神!

「ソラいらっしゃい~。」

「やほー、みんなは?」

「ダイアとヒマリがもうすぐ来るよ。」

 青空が千春に迎えられ玄関に入る。


「で?木のドラゴン?」

「そ、前ママドラの所でレナが見つけた杖がドラゴンだったんよ。」

 軽く説明しながら青空と千春は異世界に入り応接間に向かう。


「おぉ・・・本当に木だ。」

「凄いよね~。」

 外に頼子や美桜、麗奈が木のドラゴン、ラムンディと話をしている。


「お、ソラ来たね。」

「やほー。」

「見てーラムンディさんの杖!」

 麗奈は大振りの杖を青空に見せる。


「あれ?さっきと大きさ違うじゃん。」

 千春は形やサイズの変わった杖を見て麗奈に問いかける。


「うん、これってラムンディさんの一部らしくてさ、形変えれるんだって。」

「レナが?」

「んにゃ、ラムンディさんに言ったら変えてくれる。」

「へぇー。」

「あとね、魔力を通すと鉄より硬いんだって。」

「マジで?」

「ですよね?」

「あぁ、我の魔力を発動させるからな、鉄くらいなら負けぬ。」

「でもそんなに大きいと邪魔にならない?」

「ふっふっふ、見るがよい!」

 麗奈はそう言うと上の部分を地面に当て、コンコンと叩く。


「おぉ!短くなった!」

「うん、釣り竿みたいに収納出来るのさ!」

「すごっ。」

「あとココに魔石付けてもらったから・・・。」

 麗奈はそう言うと杖をもう一度伸ばし跨る。


「空も飛べまーす!」

 ふわりと浮き上がり杖で空を飛ぶ麗奈。


「・・・いいな!」

「いいよねぇ。」

「ラムンディさん私もこれ欲しいー。」

 千春と頼子は羨ましそうに言うと美桜が欲しがる。


「レナの杖のような、強化は出来ぬが、同じような物なら、作れるぞ。」

「お願いします!」

「私も!」

「私もほしー!」

「ちょっとー!ラムンディさん困らせないでよー!」

 ゆっくりと降りて来る麗奈は皆に注意する。


「大丈夫だぞレナ、チハルにも恩がある、ヨリやミオも宝物庫で、一緒に見つけてくれただろう。」

「そだね、チハルが居なかったら解放出来てなかったもんね。」

「チハルよ、この木を使っても良いか?」

 ラムンディは桜の木を見上げながら言う。


「桜の木?枯れたりしないなら良いよ?」

「そんな事はしない、この木はチハル達の手伝いをしたいそうだ。」

「・・・え?桜が?」

「そうだ、チハル達の事を気にしているぞ。」

「ラムンディさん桜と話が出来るの!?」

「勿論だ、若い木だが力強い、元は世界樹の種か、強いわけだ。」

 桜の木と話をしているのか、桜の木を見上げながら呟くラムンディ。


「桜の木話出来るんだぁ・・・いいなぁ。」

 千春は羨ましそうにラムンディと桜の木を見る、ラムンディは桜の木の手を当てると手が木に埋まる。


「おぉ・・・融合しとる。」

『今桜の木から素材を貰っているのよ。』

 アイトネが部屋から出て来ると千春に答える。


「スイーツ食べ終わった?」

『えぇ、美味しかったわ♪』

 新作コンビニスイーツを満喫したアイトネは満面の笑みで答える。


「アイトネも木と話出来る?」

『出来るけど、木の精霊達よりは意思疎通が難しいわね、感覚や思考の基本情報が違うのよ。』

「へー、神様でも難しい事あるんだねぇ。」

『それはそうよ、万能って訳じゃ無いのよ?』

「いや、十分万能だよアイトネは。」

 千春とアイトネが話をしていると、ラムンディが桜から手を抜く、手を入れていた場所は何も無かったように元通りだ。


「サクラの木か、不思議な木だ。」

 ラムンディは呟きながら両手を添え広げると10数本の釣り竿の様な棒があった。


「この木からの贈り物だ。」

「桜の木から?作ったのはラムンディさんだよね。」

「我は手伝いをしただけだ、レナの持つ杖の様に我の力は貸せぬが、サクラの木より、これを持って一度ニホンへと、伝言を貰った。」

「日本?」

「ニホンが何か分からぬが、他の土地と言うのは分かる、チハルは分かるか?」

「うん、わかるよ・・・アイトネ意味わかる?」

『・・・ん~、千春この桜の木植える時何か考えたりした?』

「えぇ?綺麗に咲いてねとは思ったけど・・・。」

 千春が呟くと、かめきちが足元に来ていた。


 んぁーぁぁぁぁ。


「あ、かめきち君、何?」


 んあぁぁんぁぁ。


「ルプー!かめきち君が何か言ってるー!!!」

「あー?・・・千春、木花咲耶姫知ってるよな。」

「・・・うっ、し、知ってる。」

「お前これ植える時考えただろ。」

「そ、そう言えば・・・ちょ~~~~~~~っとだけ頭よぎったかも?」

「はぁ、それを桜が覚えていたらしい、かめきちが木花咲耶姫にその杖を見せろと言ってるぞ。」

「うっそでしょぉ!?」

 千春はルプの説明を聞き叫ぶ。


「チハル、コノハナサクヤヒメって何?」

「初めて聞いたわ。」

 美桜と麗奈が千春に言うと千春が答える。


「えっと、日本の神様の1人、桜の木の神様・・・って言われてる一柱だよ。」

「マジか、会いに行くの?」

「かめきち君がそう言ってるらしい。」

 千春達は迦具夜比売命の使い、亀のかめきちを見ると、んあぁ~と言いながら桜の木の下を歩いている。


『チハル、木花咲耶姫が家に来るわよ。』

「・・・はぁ!?なんで!?」

『ほら。』

 アイトネは自分のスマホを見せると、いつの間にか迦具夜比売命に連絡をし、カグヤちゃんと言う名前でサクちゃんそっち行かせたわと返事が入っていた。


『カグヤちゃんとサクちゃんって親戚らしいわ』

「へぇ・・・ちょっと待って!神様待たせたらヤバい!ちょっと行ってくるよ!」

「まって千春!手伝うわ!」

「ウチも手伝う、これ持って行くんだよね?」

「私もいこ~っと。」

「私も手伝うわ。」

 頼子、美桜、麗奈、そして青空も杖を持つと急いで異世界の門まで行く、そして千春に手を引かれ全員日本へ戻る。


「えっと何処だって?」

「家って言ってたから待ってたらいいわけ?」

「玄関開けとく?」

 そう言っているとチャイムが鳴る。


ピンポーン


「キター!」

「チハル!開けて!開けて!」

「はーい!!!!!」

 千春は急いで玄関を開ける。


「こんにちは、貴女が千春ちゃんね。」

「はい・・・えっと、木花咲耶姫様ですか?」

「えぇ、カグヤちゃんに言われて来たの、その木・・・凄いわね。」

「あ、あの、玄関だとアレなので中にどうぞ。」

「有難う、お邪魔するわね。」

 木花咲耶姫はそう言うと軽い足取りで藤井家の玄関を通り部屋に入る。


「えっと・・・アイトネがかぐや姫に連絡したみたいで、申し訳ありません!」

「アイトネ様にはカグヤもお世話になってるようで、有難うございます。」

 木花咲耶姫が言うと門からアイトネが現れる。


『こんにちは~♪貴女がサクちゃん?』

「はい、アイトネ様。」

『様なんてつけなくて良いわよ、アイちゃんって呼んで♪』

 人懐っこい笑みで答えるアイトネ、つられて笑みを浮かべる木花咲耶姫。


「えっと、コノハナサクヤヒメ様は・・・何故ここに?」

「カグヤちゃんから言われて来たんだけど・・・この木を見て意味が分かったわ、ちょっと借りても良いかしら?」

「はい、どうぞ。」

 千春は手に持った桜の木で出来た杖を渡す。


「・・・そう、・・・へぇ、・・・うん、・・・はい、千春ちゃん有難う。」

「いえ、えっと・・・どういう事ですか?」

「千春ちゃんの植えた世界樹の種、桜の木を植えてくれたのね、桜がお礼を兼ねて私にそれを伝えたかったみたいなの。」

「お礼?」

「えぇ、桜として生まれたから私に存在を伝えたかったみたいね、異世界の桜ね、アイさん私もそちらへ行っても良いかしら?」

『えぇ、+々6^2♪<7\☆○へ木花咲耶姫を△✖〰◑♪◈*☆◇に、○×△☆♯♭●□▲★※します。』

「なんて?」

「有難うございます、それでは。」

 アイトネは笑みを浮かべ木花咲耶姫をつれ門を通る。


「アイトネ!?日本の神様連れて行って良いの?!」

『一時的に能力の制限をしてもらったから大丈夫よー。』

 千春達はアイトネと木花咲耶姫に付いて行く、そして桜の木の前に行くと木花咲耶姫は桜の木に手を当てる。


「・・・。」

「何してるの?」

『お話してるわね。』

 千春は木花咲耶姫の横で頭を下げているラムンディを見る。


「ラムンディさん・・・なんで頭下げてるの?」

『桜の木の神は伊達じゃないって事でしょうねぇ。』

 木花咲耶姫は桜の木から手を離すと、ラムンディに話しかける、そしてラムンディはもう一度頭を下げた。


「有難うアイさん、千春ちゃんもありがとう、この桜の木と、トレントの龍と仲良くしてあげてね。」

「はい!勿論です!え?ラムンディさんも?」

「えぇ、素敵な龍だわ、日本に連れて帰りたくなっちゃう。」

 笑みを浮かべながら答える木花咲耶姫、そして話が終わると木花咲耶姫はアイトネと日本へ帰った。


「・・・何だったの?」

「わからにゃい・・・アイトネに聞いて分かるかなぁ。」

『私が説明致しますわ。』

「うわぁ!!!!!!!」

「なに!?」

「幽霊!!!!!!」

「いや、あんたら精霊何度もみてんじゃん。」

 麗奈だけが冷静に突っ込む、そして幽霊の様に漂う美しい・・・というよりも可愛い幼女の精霊に麗奈は問いかける。


「あなた桜の木の精霊?」

『はい、コノハナサクヤヒメより呼び出して頂きました、桜の木の精霊でございます。』

 ペコリと頭を下げる幼い精霊は見た目とは裏腹に大人びた話し方をする、そして桜の木の精霊は説明を始めた。







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