空飛ぶ島!④
「へぇ~その道具便利ね。」
ドラゴンに変化したロイロに乗ってテールカが千春を見ながら呟く。
「テールカちゃんの時代には無かったの?」
「乗り物は有ったわ、数人乗れる箱型の乗り物ね。」
「車みたいなもんか。」
テールカは森を見ながら指を差す。
「多分あそこらへんだと思うんだけど。」
「ぅぃー!みんなあそこらへーん!」
「あいよー!それじゃ木全部撤去ねー!」
「「「「おぉー!!!」」」
頼子がビェリーと一緒に森の上に移動すると竜騎士達とイー、アル、サンが円陣を組む。
「撃てぇ!」
頼子の掛け声でドラゴン達が連続して風魔法を森に当て、木々をなぎ倒していく、なぎ倒された木は次々と自らの影に吸い込まれビェリーに回収されていく。
「あ!アレじゃん!」
「あれが中央制御装置のある建物・・・・の残骸ね。」
「もうほぼ無いね。」
「大丈夫よ、地下にあるから、そうじゃないとあんな魔法撃たせないわ。」
砂埃と千切れ舞い上がる葉っぱや小枝を見ながらテールカが千春に答える。
「こんなもーん?」
「いんじゃね?」
風魔法が使える美桜、日葵も参加して魔法を撃って参加していた。
「はーい着陸しまーす。」
ドラゴン達もゆっくりと伐採された場所に降りる。
「ドラゴンがこれだけ居ると壮大ね。」
「王国もどったらこの3倍くらい居るよ。」
「なにをどうしたらドラゴンを従わせる事が出来るのよ、魔導王国でも無理だったわよ。」
呆れるようにテールカが言うとエンハルトが笑いながら答える。
「チハル飯だ。」
「は?餌?」
「いや、物凄く美味い食事を出せばそれなりに言う事を聞いてくれるぞ。」
「食事ねぇ、あんな物生きる為のエネルギーを取り入れるだけじゃないの。」
「俺もそう思っていた事が有ったなぁ。」
テールカに言われエンハルトは遠い目をしながら千春を見る。
「ん?なに?」
「いーや、何でもない、チハルの作る食事は美味しいなって思ってただけだ。」
「そりゃよござんしたー、テールカちゃん地下ってどこ?」
広い範囲に瓦礫が散らばり閑散としている所を指差しながら聞く千春。
「そこが門で・・・入って・・・扉が・・・ココね、ここから右の通路があって・・・。」
ブツブツと呟きながら瓦礫の上を歩いて行くテールカ。
「チハルぅお腹空いたぁ。」
「ウチもぉ。」
「今何時?」
美桜達が魔法を使ったせいか空腹を訴えだす。
「ちょっとお昼には早いけど・・・なんか食べるかぁ。」
「ユラちゃん達と一度合流する?」
「そだね、テールカちゃーん、ご飯たべよー。」
「・・・ここに階段があって・・・ってなに!?ご飯?」
「23000年食べてないからお腹空いてない?」
「あまり減ってないけど頂こうかしら。」
テールカは目印になるように地面に棒を刺すと千春と合流する、そしてまたロイロに乗り皆はアイトネの所へ戻る事にした。
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『ユラちゃんチハルがご飯にするって言ってたわよ。』
「おひるごはん?」
「ちょっとお腹空きました。」
「ご飯を食べるのです!」
「ふぁぁぁぁぁ、そんな時間かぁ?」
千春達を視ながらアイトネはユラ達と花の冠を作っていたが、移動してくるのを確認しユラに伝える、ルプは花飾りを次々と付けられながら大あくびをしていた。
「あ、みえたよ!」
「チハルおねえちゃーん!」
イーレンが編成して飛ぶドラゴンを指差し、ユラはピョンピョンと跳ねながら手を振る。
「ただいまー、いい子にしてたー?・・・あははははははは!!!!ルプwwwww。」
「ユラ達は良い子にしてたぞ、良いだろ。」
小さな冠を両耳にぶら下げながらルプは満足そうに言う。
「うんうん、ちょっと早いけどお昼ご飯食べてから探索またするから。」
「良い物あったのか?」
ルプはそう言いながらロイロの背に乗る人物を見る。
「フェンリル!」
「なんだ一つ目、異形じゃなく種族か?」
「なにこの失礼なフェンリル、何故フェンリルが喋れるのよ。」
「はいはい、喧嘩しなーい、紹介するね、この子が私の妹のユラ、その友達のイーレン、同じく友達のイーナよ。」
子供達を紹介すると、次はルプを見る。
「今喧嘩売ったのは私のペットのルプね、大事なパートナーだから喧嘩しないでね。」
「パートナー?」
「ま、そこは気にしなくておっけ、で、この人がアイトネ・・・、ねぇアイトネ、国を滅ぼしたのアイトネって知ってるのかな(ボソッ)」
『今記憶を見たけどこの子が眠りに就いた後だから知らないわ。(ボソッ)』
「何?」
「ん!なんでもにゃー!サフィーご飯作ろう!」
「はい、サリナ、オクナ、フアナは竜騎士とドラゴンの方を、モリー、ラルカはこちらを。」
サフィーナはテキパキと指示をすると花畑にお出かけ用と言えない大きなコンロやテーブルを並べて行く。
「チハル何作るの?」
テーブルを並べたサフィーナが千春に問いかける。
「テールカちゃん好きな食べ物とかある?」
「アグゥェルの塩焼きとフグァルムのレーションが好きよ。」
「・・・なんて?」
『チハル、その二つはもうこの世界には無いわよ。』
「似たような物は?」
『そうねぇ・・・アグゥェルは兎に似てるわ、フグァルムは柑橘の酸っぱい果実ね。」
「・・・肉の塩焼きと柑橘系のレーション・・・レーションって何だ?」
「こんなんだよ。」
千春が呟くと頼子が影からカロリーなメイトを取り出しプルプル振る。
「あーあーあー、それか、了解。」
アイテムボックスから肉の塊を取り出すと、千春はエーデルに渡す。
「解体よろー。」
「了解しました。」
エーデルはサクサクと肉の塊を小さな塊にする、そしてサリナに渡すとステーキを焼き始める。
「こっちもステーキねー。」
「これブラブル?」
「そ、ブラックホーンブルまだ大量にあるからねぇ、消費出来るのかなぁコレ。」
サイコロステーキにする千春と、塩を振りブラックペッパーを塗す頼子、美桜達は焼く係のようだ。
「パンも焼くー?」
青空はサフィーナが取り出したパンを見せながら聞いてくる。
「よろ~ん。」
サクサクと作業を進めるJKと侍女達、それを見ながらテールカが呆けている。
「良い匂い・・・。」
『あなたの時代も食事は美味しくなかったものね。』
「・・・え?あなた知ってるの?」
「アイトネはこの星の神だぞ。」
「・・・神?本当に?」
ぶっきらぼうに言うルプ、疑うように見るテールカ、アイトネは話を続ける。
『あの時代は神の存在よりも国の存続が大事だったものね。』
「えぇ、神アイトネ様、あの国、魔導王国バレアタスは何故無くなったのですか?」
『バレアタスは私が滅ぼしたわ。』
「・・・そうですか。」
『驚かないの?』
「もし・・・仮にですよ?私が神でしたら、もっと早く消していたと思いますから。」
『・・・。』
「手駒を増やす為だけの戦争、技術の為と言い生命を弄び、自分達が神と言わんばかりの所業、私がこの島で逃げる時も酷い物でしたから。」
『今までの歴史を見ればよくある事、私が手を出したのは邪神を召喚したからよ。』
「・・・本当に実行したんですね。」
『知ってたの?』
「話は聞いていました、実行する為の材料・・・生贄を考えると不可能だと思っていましたので。」
大きな目を瞑り下を向いて呟くテールカ。
「ご飯できたよー!テールカちゃんこっち座ってー!」
『さぁ食べましょう、もう2万年前の事よ、忘れなさい。』
「私にとっては昨日の事なんですけれども・・・、そうですね忘れます!」
風に流れて香るおいしそうな匂いにテールカは立ち上がる。
「さ、ブラックホーンブルのガーリックサイコロステーキだよ、ソースはコレね。」
千春は市販品のステーキソースを満面の笑みでテーブルに置く。
「おー!これ美味しいよね!」
「もう企業努力が詰め込まれた一品!」
「うん、めっちゃうめぇコレ。」
ステーキにドボドボとソースをかけて行く青空達。
「さぁ召し上がれ!」
「「「「「「『いただきまーす!(じゃ!)』」」」」」」」
「・・・いただきます?」
皆の言葉に首を傾げながらもフォークでサイコロステーキを刺し口に入れるテールカ。
「!?」
「どう!?」
「美味しい・・・美味しい・・・。」
「これはレーションじゃないけど、王国で焼いたパンだよ。」
「パン・・・。」
パンは嫌いなのか言葉尻が下がる。
「まぁその気持ちは分かる、テールカちゃんの所もパン固かったんだろうねぇ。」
「えぇ、歯が折れる原因ナンバーワンよ・・・え?柔らかいわ。」
指で千切る事が出来た事に驚くテールカ、そして口に入れる。
「柔らかいわぁぁぁ!!!」
「うぉぉぅ、びっくりしたぁ。」
「何これ!レーションより美味しい!」
そう言うとステーキとパンを交互にバクバクと食べだす。
「満足そうで何より。」
千春はそう言うと皆を見回す、皆のテーブルは笑顔が溢れている。
「うん、やっぱり食事はこうでないとね。」
そしてサイコロステーキを口に入れ、満足そうに千春も食事を始めた。
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