閑話:なぜなぜ千春ちゃん!

「第1回!なぜなぜ千春ちゃん開催!」

「どうしたん千春、壊れたん?」

 千春が言うと頼子が心配そうに問いかける。


「今日は視聴者さんからの質問に答えます!」

「視聴者って誰よ。」

「チハルだからなぁ。」

 美桜と麗奈は呆れた様に言う。


「で、何を答えるのさ。」

「さぁ?チハルに聞いてみ?」

「あー、聞きたい事あるかもー。」

 青空、大愛、日葵も千春を見ながら呟く。


「お答えするのはこちら!アイトネー。」

『なにー?』

「聞きたい事あったんだけど今良い?」

 そう言うと千春はアイテムボックスから某ケーキ屋のケーキを取り出す。


『なんでも聞いてちょうだい♪』

「んじゃ聞くけど、なんでこっち地球とそっくりなの?」

『生命が繁殖、発展しやすい星のデータベースがあるの、その星と似せてるからよ。』

「似せてる?」

『えぇ、チハルの星、地球の大きさ、太陽からの距離、回る速度とかね。』

「そんな事出来るの?」

『有る程度は調整出来るわね、地球やこの星にそっくりで生命がいる星なんて沢山有るわよ。』

「マジか!」

 千春は驚いて聞き返す、すると美桜も質問を飛ばす。


「アイトネ様!ウチとエーデルさんって子供作れます!?」

『作れるわよー。』

「あーそれ聞きたかったんだよね、同じ人間でも違う星の生命なのに遺伝子とか大丈夫なの?」

『こっちなら大丈夫よ。』

「あっち、日本は?」

『地球だとシステムの問題で無理かもね、チハルの知識で話するけど、地球では遺伝子の近い生物同士しか繁殖出来ないわ、こっちだと有る程度としか教えられないけど、多少の差があっても交配可能にしてるわ。』

「してるって、神様権限的な?」

『こちらのシステムで操作してるのよ。』

 ケーキをパクパク食べながらなんでもない様に話すアイトネ。


「地球は制限掛けてるのかー。」

『昔は掛けて無かったみたいね、大昔の伝承で残ってない?頭は動物、体は獣とか。』

「狼男とか?」

「ほら、エジプトの壁画のアヌビスとか!」

「スフィンクスとかもそうじゃん?」

「日本でも体と頭逆のヌエとかいるよね。」

「あーそう言われると有るね。」

「なんで今は無理なのかな。」

 美桜が問いかけると、アイトネが答える。


『答えは簡単よ、進化させるのに最適だから、進化を早める為には特殊個体を作るのが手っ取り早いの、交配で亜種族を作ったのね、でも退化したり特殊すぎる個体が出来ちゃうのがデメリットね。』

「こっちはそれ大丈夫なの?」

『対策してるもの、遺伝子が平均ではなく片方側へ極端に寄る様にしてるのよ、だから異質な個体はほぼ出来ないわ。』

「んじゃ遺伝子的にも大丈夫なんだね。」

『進化は違うけど種は一緒だもの。』

 サラッとアイトネは呟き、すまし顔をする。


「種?」

『そこは気にしないで良いわ、基本情報が一緒だと思えば良いわ。』

「似た様なものだと?」

『そ、例えばー、このバナナ。』

 アイトネはケーキに飾られたバナナをフォークで刺し口に入れる。


「バナナがどうしたの?」

『このバナナの遺伝子と千春の遺伝子は半分一緒よ。』

「はい?」

「へぇ、千春の半分はバナナだったのかぁ。」

「残り半分がチハル成分か。」

「やめてよー、私の半分は優しさで出来てますみたいな言い方。」

 千春は皆に弄られ、ほっぺを膨らませる。


「アイトネ様、植物も同じ物から進化したんですか?」

『そ、多種多様な交配から分岐して生まれた物、地球とは違う進化をした物、同じ様な進化をした物がこの世界にはちょっと多いだけよ。』

「ドラゴンも?」

『えぇ、あの種族は魔力と魂の影響が大きく進化に関わっているわね、普通の進化では無いわ。』

「ドラゴンとの交配は可能なの?」

『可能ね。』

「凄いな異世界。」

「うん、凄い、でも良かったわ。」

「うん、子孫残せるわ。」

 よく分かってないが、凄いで済ませる千春達。


「はーい!アイトネ先生!よく有る時間の流れ方が違う世界とかあるんですか!」

 麗奈が手を挙げながら質問をする。


『3次元では基本全て同じよ、チハルのアイテムボックスは別次元に扉を開ける魔法、あの先はある意味精神世界と繋がってるわ。』

「他次元?」

『えぇ、レナが居るこの宇宙は3次元で縛られてるから基本一緒、一部高重力空間と移動速度過下では時間が歪むけどね。』

「もっと優しくお願いします!」

『私が今から時間を遅くしてもレナの見ている時間は変わらないわ、私が遅い空間に居ても世界の時間は変わらないの。』

「うん、何言ってるかわかんない。」

「同じく!」

「はげどう。」

 麗奈は手を挙げ言うと皆も同意する。


「アイトネ、レナの居る宇宙って言ったけど、他にもある様な言い方だったね。」

『えぇ、宇宙は1つじゃ無いもの。』

「え?そうなの?」

『そうよ、ただ説明が多次元エリアを通らないと行く事が出来ないから、3次元に縛られてる者は絶対に行く事は出来ないわ、私でも行けないもの。』

「アイトネも行けないんだ。」

『そ、私よりも上の存在なら移動も出来るわねぇ。』

「って事は、この星と地球って同じ宇宙なんだね。」

『えぇ、同じ銀河に有るわよ。』

「マジで!?」

「チハル、銀河ってめっちゃ広いよ。」

「え、すいきんちかもくどってんめいかい・・・。」

「それは太陽系な。」

「千春、これ見てみ、銀河系の画像。」

 頼子はググって画像を見せる。


「え、太陽系ってこんなに小さいの?」

「小さいねぇ、アイトネ様この星の場所ってどこら辺です?」

『え~っとねぇ・・・この画像じゃ分かんないわね。』

「残念。」

『他に聞きたい事有る?』

「・・・いや、聞いた半分も分かってないからなぁ。」

「うん、言ってる事が良く分かんなかった。」

『分かりやすく説明したつもりよ?』

「ん~、なんとなぁ~く分かるかなぁ。」

「マジで?レナ凄いな。」

「私もなんとなく理解したよ。」

「ヒマリも?凄いな。」

「私も分かったよ?」

「「「「「ミオダウト!」」」」」

「ひどいっ!!!!」

 美桜は顔を手で隠し泣き真似する。


「最後にもう一個、なんでこの世界ご飯美味しく無いの?調味料は結構あったよね。」

『逆に言いたいわよ、なんでチハルの国はあんなに美味しいのよ。』

「食にこだわる民族だから・・・かな?」

「そだねー、日本人って食に煩い気がするね。」

『この世界の調味料って非常食とか保存食の延長なのよ、違う大陸の人達はもう少し味に変化は有るのだけど、似たり寄ったりなのよねぇ。』

 不満げにアイトネは呟く。


「うん、また聞きたい事が有ったら第2回やるわ。」

『いつでも良いわよ~、今チハルが思ってる疑問は概ねこの世界のシステムのせいだから。』

「ちょっと!今頭の中読んだでしょ!」

『ちょっとだけよ?』

「ナチュラルに覗かないでくださーい!」

『良いじゃない、ミオなんて今考えてる事言っt「やめてくださああああい!!!!!!」』

「ミオ・・・何考えてたん?」

「ヤバい事考えてたんか?」

「いや・・・ナンデモナイデスヨ?」

「どうせエーデルさんとイチャコラする事考えてたんだろ~。」

「ヤメテクダサイレナサン。」

 皆にスケベだ変態だと弄られるミオ、しかし頼子達も似たようなことを考えていたとアイトネは思いながら微笑み、残りのケーキを食べだした。





 


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