オリハルコンとお父さん!
「チハルさんお連れしました!」
「おかえり千春、モリーちゃんに呼ばれたけど何かあったのかい?」
モリーに連れてこられた大樹は千春に声を掛ける。
「ただいま、お父さんにプレゼント。」
千春はテーブルにあるナイフを渡す。
「ナイフかい?」
大樹はナイフを手に取り鞘から抜く。
「綺麗だねぇ。」
「それオリハルコンだよ。」
「・・・えーーーー!!!!どうしたの!?これ!」
「遺跡で拾ってきたんだよ、欲しがってたでしょ?」
「うわぁ!良いのかい?!」
皆を見回す大樹、JK軍団は笑顔で頷く。
「コレでオリハルコン作れる?」
「成分分析しないとなぁ。」
「あ、コレ成分表、配合率はわかんにゃい。」
紙を一枚渡すと、大樹は真面目な顔になり目を通す。
「一度分離させるか、いや、あっちで分析器にかけてから・・・。」
ブツブツと独り言を言いながら考える大樹。
「配合率分かれば日本でも作れるの?」
「いや、無理だろうね。」
「無理なの?こっちは?」
「普通に合金にするなら無理だね。」
「なんで?混ぜるだけじゃん?」
「どうしても重力の影響で比重に差がある金属は分離しちゃうんだよ、無重力にするか宇宙の様な微重力空間で混合するしかないね。」
早口で説明する大樹、目はメモから離さない。
「あー、うん、よくわかんないけど、うん。」
「空港で没収されたら困るなぁ、千春これ一度溶かしても良いかい?」
「好きな様にして良いよ、分析するだけなら折れば?」
「そうだね、欠片だけ持ち出すかなぁ、でも勿体無いかなぁ。」
「作れる様になれば問題ないじゃん。」
「そうだね、ありがとう。」
大樹はそう言ってソファーに座る。
「・・・何このワンコ。」
ソファーに座ると、子犬が横に座っていた。
「それダイアだよ。」
「へ?」
「遺跡の宝箱に変身出来る魔道具有ったから、皆んなで変身して遊んでたの。」
「すごいね!小さくなった時の質量変化はどうなってるのかな、体重は変わるのかい?」
「・・・軽かったよ?」
「ふむふむ、どう言う仕組みなんだろう。」
「さぁ?魔法だからじゃん?」
「そうだねぇ、物理法則無視しているのは慣れてきたけど、どうしてもそこ考えちゃうんだよねぇ。」
フムフムと言いながらワンコ大愛を見る大樹。
「イロハちゃんのボディはどうだい?」
「すっごいよ、魔物捕まえて投げまくってた。」
「へぇ、そんなに動けるようになったの?」
「うん、ロイロ達と戦闘訓練してたからね。」
「武器は持ってないよね。」
「うん、殴るか投げるかだね。」
「それじゃ武器も作るかな、オリハルコンが作れるようになれば体もオリハルコンで作りたいねぇ。」
「ミスリルでも敵なしだったよ、あ!そう言えばミスリル手に入れたんだった。」
千春はアイテムボックスから畳二枚分のミスリルで出来た扉を取り出す。
「はい、お父さんこれ全部ミスリルっぽい。」
「これはまた大量だね、これだけで幾らになるんだろう。」
「さぁ?これで何か作る?」
「そうだね、少し貰って行くよ?」
「どぞ~。」
大樹はそう言うと、金属魔法を使い粘土を触るようにミスリルを丸めて行く。
「これだけあれば良いかな。」
アイテムボックスの魔法が掛かったカバンにミスリルを入れながら呟く。
「残りはどうするの?」
「千春がもっててくれるかな、多分オリハルコンが作れるようになったら大量に消費するだろうし。」
「了解、それじゃ保管しとくねー。」
アイテムボックスにミスリルを入れると、大樹は手を振り部屋を出て行った。
「オリハルコンボディに武器もオリハルコンにしたら、イロハ無敵じゃん?」
「強くなれるかしら?」
頼子が彩葉に言うと、彩葉も嬉しそうに答える。
「ヨリよ、ミスリルの時点で俺達でも倒すのはキツイぞ。」
「そうじゃなぁ、ドラゴンブレスを当てれば溶けるかもしれんが、イロハが逃げぬ訳がないからのぅ。」
「魔法は?」
「ミスリルは魔法耐性が高い金属じゃ、しかもゴーレムのように核が有るわけじゃぁ無いからの。」
「雷を当ててもミスリルの中まで通すのはキツイな、しかも魔石があるわけじゃねぇからな。」
「そもそもイロハは痛みを感じぬからのぅ。」
ロイロとルプは呆れるように彩葉を見る、褒められたと思い彩葉は嬉しそうにしている。
「アイトネー、オリハルコンって魔法でしか作れないの?」
『えぇ、遥か昔に錬金術が得意な魔法使いが作った物よ、でも混ぜ物が多いから調整が難しいのよね。』
「調整?」
『そ、魔力特化か物理特化で配合が変わるのよ。』
「へー・・・アイトネ作れるの?」
『勿論作れるわよ。』
「作れるんかーい!」
『でも今私が作ったらタイキが悲しむわよ?』
「「「「「「「確かに!」」」」」」」
話を聞いていたJK軍団は揃って頷く。
「はいチハル、変身ネックレス。」
「ありがとダイア、って別に私が持たなくて良いんだけど。」
「使うときあれば借りるし。」
「そうそう、チハルが一番こっちに居るわけだし、それにアイテムボックスは最強に安全じゃん。」
「まぁ~~~使う事無いよね。」
「うん、満足した、楽しかった。」
「日本で使えたら面白かったかも。」
『使えるわよ?』
「「「「「「「え!?」」」」」」」
『消費魔力減らしておいたから、変身して戻るくらいなら余裕で出来るわよ。』
「マジで!?」
アイトネから言われ皆は顔を見回す。
「・・・使う?」
「いや、使ったらヤバくね?」
「なんで?」
「犬猫だと捕まって保健所行きじゃん?」
「その時は人間に戻れば良いじゃん。」
「・・・裸だよ?」
「ダメだ!それはダメな奴だ!」
「それじゃ鳥とか!」
「カラスとかに襲われそう。」
「確かにー。」
日本での変身ネックレスの使い道を考えるが、使う理由もメリットも見つからない為、千春はそのままアイテムボックスに片付ける。
「千春ー。」
「何?ヨリ。」
「残りの宝物選別するよー。」
「あ!忘れてたわ!」
そして皆は宝箱を開け、装飾品や宝石を選別していった。
---------------
「サフィーさん、オリハルコンでイロハちゃんのゴーレム作るって言ってましたよね。」
「言ってたわねぇ。」
「あの量のオリハルコン・・・いくらくらいになります?」
「そうねぇ、ん~、国が買えるわね。」
「ですよねぇ、市場に出さずにイロハちゃんに使うのが正解ですねぇ~。」
「そうね、でもベースになる金属も高価だからあまり作れないと思うわよ?」
サフィーナとモリアンの会話を聞いていたウサ耳ラルカは、アハハハハと空笑いしながら聞いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます