飛空艇で出発だぁ!
「チハル、準備出来たかしら?」
「はいお母様、大丈夫です。」
「それじゃ飛空艇に向かいましょうか。」
マルグリットはそう言うと、皆を連れ歩き出す。
「お母様は行かないですよね?」
「本当は行きたいのだけど、トモミ達と第二陣の探索で行こうかしら。」
チハルに答えながらマルグリットは歩く、暫く歩くと兵士や魔導士が飛空艇に荷物を乗せていた。
「やっぱデカいなぁ。」
「どれくらい時間掛かるのかな。」
「千春、来たね。」
「お父さん!」
大樹は兵士との話を終わらせ、千春の所へ来る。
「飛空艇は大丈夫だけど、遺跡で無茶したらダメだからね?」
「はーい、お土産見つけて来るよ。」
「うん、楽しみにしてるよ。」
大樹は千春の頭をポンポンと叩くと笑みを浮かべる。
「チハルさん!色々ありがとうございます!」
「アリンさん行くの?」
「行くに決まってるじゃ無いですか!未発見の遺跡ですよ!?もう数日前に聞いてからワクワクして眠れませんでしたよ!」
「そっか、私も楽しみで夜しか寝れなかったよ。」
「・・・それ寝てますよね普通に。」
ジト目で見て来るアリンハンドの視線をスルーする千春は飛空艇を見上げる。
「乗り込んでいいんでしょ?」
「はい、本来ならば搭乗員以外は部屋かフロア以外立ち入り禁止ですが、チハルさん達は何処でも見て回って良いそうです。」
「おー!そりゃ楽しみだー。」
「でもあっちこっち触るのは禁止ですからね?」
「わーーってるよぉ。」
千春がそう言うと、頼子達はタラップを駆け上がり乗り込んでいく。
「おー、結構高いね。」
「本当だ、でも寒い!」
「風はあまり無いけど・・・寒う!」
「これ飛んだらもっと寒いんじゃ無い?」
青空達が話していると、搭乗員が話しかけて来た。
「大丈夫です、離陸時から風魔法と結界を掛けますので今より暖かくなりますよ。」
「おー!それは助かる!」
「この寒空の中で風景楽しめないもんね。」
搭乗員に説明を受けながら見ていると、魔道師団や騎士団も乗り込んで来た。
「竜騎士団はどうするのかな?並走して飛ぶの?」
「クッソ寒そう!」
「竜騎士団は甲板で待機します、何かあれば直ぐに飛び立ちます。」
「そりゃ良かった、見てるだけで寒そうだもんね。」
千春達は甲板に行ったりコックピットを見たりと、出発までウロウロと見学する。
「出発します!皆さん座ってお待ちください。」
「はーい、ココで良いんですか?」
「はい、ゆっくり浮き上がりますが、離陸時は座るようにとタイキ殿より指示を受けております。」
千春達はコックピットの後ろに設置された長椅子に座り離陸風景を見ている、ルプ達は興味がないのか、待機出来る部屋に移動しのんびりと過ごしていた。
「離陸します!」
操縦士が声を掛け、丸い石に手を触れると外の風景が動き出す。
「・・・あぁエンジンとか無いから無音なんだ。」
「揺れも無いね。」
千春と頼子が話していると、操縦士は前進と言いレバーを動かす。
「お、流石に前進すると動いてる感あるねー。」
「チハル様、もう立たれても大丈夫です。」
「はーい。」
千春達は立ち上がり窓際に移動すると、思っているよりも高く飛んでいた。
「うひょ、高い!」
「王都が丸見え~♪」
「ドラゴン飛んでるじゃん、あれってロイロちゃんじゃない?」
「ん?あ、ほんとだ、なんで飛んでんだろ。」
並走するロイロを見ながら流れて見える王都を見学する、直ぐに王都は途切れ平地や農耕地の上を通る、そして暫くすると森の上を飛び出す。
「まだ暫く掛かりますのでお部屋でゆっくりされますか?」
「そうですね、森だけ見てもしょうがないし。」
「どれくらい時間掛かるんですか?」
「えー、予定では3時間程と計算されております。」
大樹が設置したのであろう時計を見ながら、操縦士は頼子に答える。
「3時間か、1日ちょっとって言ってたからだいぶ早いよね。」
「まぁやる事無いし部屋もどってトランプでもやる?」
「おっけ~、お菓子争奪トランプ大会ね。」
「よっしゃ、今日は勝つぞ。」
「負けないもんね~♪」
部屋に戻る千春達、サフィーナやサリナ、モリアンとラルカも付いて来る。
「お帰り千春、楽しかったか?」
「・・・まぁまぁ、で、ルクレツィアさん来てたんだ。」
ルプにくっついて座るルクレツィアに千春が話しかける。
「メグにチハルちゃんの護衛を頼まれたのよ?本当よ?」
少し目を逸らして言うルクレツィア、千春は苦笑いしながら話を聞く。
「冒険者時代に遺跡も回った事あるし、罠を見つけるのは得意なのよ?」
「あ、それは助かります、よろしくお願いします。」
「任せて!」
ルクレツィアは元気よく答えルプにくっつく。
「ルプ、なんでロイロ外飛んでるの?寒く無いの?」
「ドラゴン形態の時は寒くないらしいぞ、途中に少し低い山があるんだが、そこにワイバーンが居るかもしれないって警備してるな。」
「へぇ、それは何かご褒美準備しとかないとダメだね。」
「酒だろ?」
「酒だねぇ。」
ゴロゴロするか酒を呑んでいるイメージのロイロを思い出し、千春はクスっと笑う。
「ほら千春、トランプ出して。」
「何個?」
「2個、トーナメント戦にする。」
「おっけー、ルールは?」
「大富豪!」
「えーババ抜きで良いじゃん。」
「ヨリ大富豪強いじゃん!」
「スピードやろうよ。」
「ソラはスピードダメ!特に異世界じゃ速度ブースト掛けるじゃん!」
「魔法使わないから!」
「それでも強いんだよソラは!」
トランプを取り出し皆に渡す千春。
「私ダウトがいい。」
「「「「「「ダメ!」」」」」」
「なんでー!?」
「チハルってダウトクッソ強いもん。」
「で、何するの?」
「裏表で別れてジャンケンで勝った人が決める!」
「よし、それで行こう。」
「それじゃ・・・うらかおーもて!!!」
7人で裏表を決める中、争奪戦に参加表明したモリアンは、侍女チームでもトランプをやり始めた、そして当たり前の様にサフィーナが全勝し、モリアンは泣いて悔しがった。
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