明太ぱーてぃー!

「アイトネ、聖女が居たら魔物減るとか無いの?」

『無いわよ?』

 厨房から戻り、千春はのんびりお茶をしながらアイトネに問いかける。


「だよねー。」

『言ってた魔物の件?』

「うん、大丈夫かなーって思ってさ。」

『大丈夫よ、ドラゴン達が向かってるもの。』

「ドラゴン達なら大丈夫かな。」

『ロイロが指揮取ってるわね。』

 アイトネが言うと、千春は石を取り出しロイロの見ている物を見る。


「うわぁ、何こいつ。」

『オーガね。』

「鬼にゃー。」

「こっちにも居るんだな。」

「でっかいだけで人でも倒せるっちゃ。」

「脳筋ですからね、でも力は有りますよ。」

 千春がプロジェクターのように映し出すとペット組が呟く。


「これ日本にも居るの?」

「今は居ないな、昔ほど霊力が貯まる場所も無くなったからなぁ。」

「湧きやすい所は陰陽師が封印しとーけんね。」

「あ、倒しましたね。」

 人が乗ったドラゴンがオーガを蹂躙し、怪我人もなく討伐が終了していた。


「千春、冒険したい。」

 不意に頼子が言う。


「何?ダンジョンアタックする?」

「ダンジョンはなぁ、虫居るじゃん?」

「居るねぇ、でっかいGが。」

「でも今寒いよー。」

 日葵は外の雪景色を見ながら言う。


「チハル、あまり危険な事はしちゃダメよ?」

「でもお母様も冒険者でしたよね?」

「・・・そうね。」

「メグ、千春が動く時は俺達も一緒に行くから心配するな。」

「そうね、ルプさん達が付いてるのはわかるのだけれど、心配はするわよ。」

 マルグリットは千春に微笑みながら言う。


『ダンジョンじゃ無いけど、遺跡なら近くにあるわよ?』

「へぇ、でも遺跡って粗方探索されてたりしないの?」

『2000年くらい前の遺跡で誰も入ってないわね。』

「2000年?!」

「日本だと縄文時代とか?」

「弥生時代じゃん?」

「そんな古い遺跡何があるんだろ。」

『その時代の財宝は有るわよ?』

 それを聞いていたマルグリットがストップをかける。


「待ってちょうだい、遺跡は罠やここら辺に出ない魔物も巣食っているわよ。」

「お母様、遺跡に行った事あるんですか?」

「有るわよ、元帝国との境目あたりにある遺跡は面倒だったわ、罠だらけで。」

「アイトネ、どこらへんなの?」

『そうねぇ、ココからだと馬車で1日ちょっとかしら?』

 アイトネの言葉にまたもや反応するマルグリット。


「何ですって?!アイさん本当なの?」

『えぇ、南の森の中枢に隠れて有るわよ。』

「お母様どうしたんですか?」

「遺跡は危険もあるけれど、その時代文献や財宝、それこそ遺産が沢山有るの、冒険者がそれを見逃すわけないのよ、そんな近くに遺跡が有るなんて信じられないわ。」

 興奮気味に捲し立てるマルグリットに皆は少し引き気味だ。


「冒険者ギルドに教えます?」

「いえ、その前に魔道師団と騎士団に調査をさせるべきね。」

『チハル達の暇つぶしはどうするの?』

 せっかく千春に教えたのにーと、少し不満げにアイトネが呟く。


「チハル行きたいの?」

「行きたいです!」

「それじゃ捜査第一陣としてお願いするわね、誰が行くの?」

「ソラとダイアは明日来るよね。」

「うん、その予定だね。」

「ミオとレナは?」

「親の実家行くって、お盆は来ないよ。」

「ありゃ、置いて行ったら怒るかな。」

「絶対文句言うね。」

「言うね!カシオミニ賭けてもイイ!」

「LIMEしてみっかぁ。」

 千春はLIMEの異世界グループLIMEにコメントを入れる。


(ちは~)アイトネに遺跡教えてもらったんだけど行く人~♪

(SORA)いく!

(だいや)行くに決まっとる!

(MIO~N)行きたい!いつ行くの!?

(れ~な~)えー!いつ行くの!盆動けない!


「ん~、行くなら盆明けか。」

「だろうねぇ、黙って行ったら怒られるね。」

「うん、盆明けだねぇ。」

「私もそうしてもらえると助かるわ、誰を連れて行くか考えないといけないわ。」

 千春達が言うと、マルグリットも答える。


「それじゃ盆は適当に暇つぶしするかぁ。」

「チハルおねえちゃんおなかすいた。」

「お、良い時間かな?」

「そだね、ご飯にしようか、ルペタちゃんは帰らなくても大丈夫?」

「大丈夫だよ、私が面倒見るって連れて来たから一泊しても大丈夫。」

 日葵はルペタの頭をポンポンとしながら2人で微笑む。


「それじゃ食べますかぁ。」

 千春とサフィーナが料理を出すと、サリナ達がテーブルに並べて行く。


「めっちゃあるからモリー、侍女さん用のテーブルヨロ。」

「了解でっす!」

「エリーナさんとアルベルさんも食べてくださいね。」

「宜しいのですか?」

「見てよこの量。」

 次々と並べられる料理を指差す千春。


「アイトネ、モートさん呼んでくれる?」

『モート。』

「呼ばれないかと思ったよ。」

『フフッ、良かったわね。』

 モートはアイトネと一緒にソファーへ座る、マルグリットとアルデアも同じく座りこの4人の定位置となってきている。


「それじゃ・・・。」

「「「「「「いただきまーす!」」」」」」

「ん~おにぎりって美味しいわね。」

「おかあさまそれユラがにぎったの!」

「美味しいわよユラ。」

 ユラは嬉しそうに自分もおにぎりを食べる。


「梅干しうみゃぁ。」

「明太じゃないんかい!」

「いや、まずは梅干しかなって。」

「まぁ分かる。」

「ピザうめぇ!」

 千春達が食事をしているとロイロが戻って来た。


「あ、ロイロおかえりー。」

「チハルも無事戻って来たんじゃな。」

「うん、お土産もあるよ、討伐お疲れ様。」

「あぁ、散歩中に見つけてのぅ、訓練がてら竜騎士団にさせたんじゃ。」

「だよね、ロイロ1人でも倒せそうだったもん。」

「訓練はしておるが、実践もさせんとな。」

「ロイロは散歩と言いながらよく巡回してるよな。」

「散歩じゃ、ルプも回っとるじゃろ。」

「たまにな~。」

「ルプもロイロもありがとうね、今日はお土産のお酒あるよ~ん。」

 千春は祖父から貰った地酒と焼酎を取り出す。


「ほう!呑んでもイイのか?」

「もち、焼き明太もあるから肴にして良いよ。」

 千春がそう言うと、ビェリーとコンもロイロの所に集まり呑みだす。


「「「「かんぱーい!」」」」

「アハハハ、ご飯より酒かい。」

「いつもの光景だねぇ。」

「そだね、お母様も呑みます?」

「戻って色々とやる事有るから今日はやめておくわ。」

「それじゃこれ持って行ってください。」

「なに?コレ。」

「地ビールって言う、こちらで言うエールなんですけど美味しいらしいです。」

「へぇ、頂くわね。」

 千春はお酒をふるまうと席に座り改めておにぎりを食べる。


「やっぱ明太おにぎりは正義だなぁ。」

「え、鮭じゃん?」

「いやいや、エビマヨでしょ。」

「どれもおいしいよ?」

「・・・うん、美味しいね。」

「でも・・・ウメはすっぱい!」

 ユラが手にしたおにぎりを見ると梅干しが入っていた、ユラは顔をすぼめながら言うのを3人はケラケラ笑いながら食事を続けた。


(ユラの梅干しおにぎりはルプが美味しく頂きました。)




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