飛空艇を作ろう!

「これは太るわぁ。」

「チハルぅ痩せる魔法かけてー。」

 美桜が千春に無茶振りしてくる。


「んーなのあったら自分でつかうよ!」

「デスヨネー。」

「あ、でも魔法使うとお腹空くよ。」

「マ?!」

「訓練所借りて魔法ブッパする?」

「新しい魔法開発するかぁ?」

「フランちゃん大丈夫?」

「はい・・・いえ、大丈夫ではないですわ、コルセットを付けると出そうです。」

 フランシスは辛そうに千春へ返す。


「まぁゆっくり落ち着くまでここでゴロゴロしてよう。」

「やっぱ魔法ブッパじゃね?」

「試したい魔法もあんだよねー。」

 麗奈と美桜が物騒な会話を始めていると、扉がノックされ、サリナが対応する。


「チハル様、クラーク様が来られておりますが。」

「宰相さん?入ってもらって。」

 千春が言うと、ルーカス・クラークが入ってくる。


「チハル様ご機嫌麗しく。」

「どうされました?」

「今開発中の事で相談がありまして。」

「開発?何作ってるんです?」

「はい、大樹殿と開発している飛行艇なのですが。」

「飛行艇!?何それ初めて聞いた!!!」

「えぇ、一部の者しか知りません、まだ開発中ですから。」

「お父さん何作ってんの・・・・・。」

「そちらの世界では、空を飛ぶ乗り物が色々有ると聞きまして、こちらでも作れるかと言う話しから開発が始まったのです。」

「それで飛空艇なんだ、動力とかは魔法ですか?」

「はい、その件なのですが、レナ様が飛行魔石を作れると聞きまして。」

 千春とルーカスが、麗奈を見ると、麗奈は自分の顔に指差し、私?と言う。


「レナ、あれって乗り物にも付けれそう?」

「どうだろう、大きな物に付けた事ないからなぁ。」

 千春が聞くと、麗奈は頭を傾げルーカスを見る。


「レナ、ロイロちゃんのゴンドラに付けてみたら?」

「お、良いね、ロイロさんゴンドラ借りても良い?」

「構わんぞ、別に儂の物でもないんじゃがなぁ。」

「んじゃチハルの?」

「王国のじゃん?」

「まぁチハルしか使わんからの、好きに使って良いじゃろ。」

「それじゃ試してみるかぁ。」

 千春達とルーカスは、ゴンドラが有る厩舎の所まで移動すると、管理者へ声を掛ける。


「すみませーんゴンドラお借りしますー。」

「はい!チハル王女殿下!お出かけですか!?」

「いえ、ちょっと試した事が有るので、出かけるわけじゃないです。」

 そう言うと千春はアイテムボックスから箒を取り出し、魔道具を外すとゴンドラを見る。


「・・・・どこ付けるんコレ。」

「何処でもいんじゃない?」

「んじゃこの外の手すりで良いかな。」

 乗り口の手すりに取り付けると魔力を通す。


「これで軽くなるかな?」

「どれ、俺が持ってみよう。」

 ルプが人型になりゴンドラを掴むと持ち上げる。


「おおぉ・・・ってルプ魔法無くても持てるんじゃないの?」

「持てるが、今軽いぞ?」

「おー!どれくらい軽いんだろう。」

 ルプが置いたゴンドラを、千春は同じ様に掴む。


「ぬ・・・ぐぅ・・・・ぐぅぅぅ・・・重いわぁ!!!」

「千春、私こっち持つわ。」

「ウチはこっちー。」

「んじゃ私こっちね。」

「「「「せーの!」」」」

 4人がそれぞれ角を持ち、掛け声を掛けるとゴンドラが浮く。


「持ち上がった!」

「って元はどれくらいの重さなのかな。」

「ちょっとまって一回外すわ。」

 千春が手すりから魔道具を外し魔力が抜ける。


「もっかい行くよー。」

「「「「せーの!」」」」

「んぐうっぁぁあああ!」

「むぅぅぅりぃぃぃじゃあああん!」

「おもぉぉぉいぃぃぃ。」

「むり!」

「凄いね、だいぶ軽くなるんだねぇ、ルプこれで持ってみてよ。」

「ん?いいぞ。」

 千春はニヤつきながらルプに言うと、先程と同じように掴むと持ち上げる。


「持てるんかーい。」

「そうだなぁ、さっきの重さと比べると3倍くらいか。」

「1/3になるって事なのかな?」

「えー箒だともっと軽くなってるじゃん?」

「あっちの大きな馬車で試したら?」

 王家用の豪華な馬車を指差す頼子、千春はそこに行き、馬を引く棒に巻き付ける。


「ルプ、持てる?」

 ルプは馬車を後ろから掴むと持ち上げる。


「これも持てるんだ。」

「結構重いが、持てるな。」

「んじゃ一回下して、魔力入れるから。」

 ルプが下した馬車に近づき、魔道具に魔力を通す。


「ルプいいよー。」

 千春に言われ、もう一度持ち上げるルプ。


「ふむ。」

「どう?」

「軽くする重量の限界が有るみたいだな、ゴンドラよりも軽くなる割合が少ないぞ。」

「最大重量が減る?」

「そうだな、その魔道具1個で軽く出来る重さが決まるようだ、そこの小さな馬車なら重さ無くなるじゃないか?」

 ルプが指差す先には牽引タイプの荷馬車がある。


「これねー・・・。」

 魔道具を付けると魔力を流す、そして千春は荷馬車を掴むと片手で持ち上げる。


「うおぅ!軽い!」

「やっぱりそうか。」

「それじゃ大きな魔石で作ればもっと重たい物が軽く出来る?」

「どうだろう、ロイロ作れそうか?」

 ルプがロイロに言うと、ロイロは麗奈と話しをしていた。


「この前の魔獣の魔石で作るとして、一番大きな物は私じゃ無理かなぁ。」

「そうじゃなぁ、今のレナだと拳大が限界じゃろ、しかし試してみんと分らんのぅ。」

「クラークさん飛空艇ってどれくらいの重さが有るんですか?」

「重さですか、色々と設備を付けるとまだ把握出来ていませんが、船体はある程度出来上がっています、細かい部分は大樹殿が次来られてからの予定ですが・・・見に行きますか?」

「「「「行きます!」」」」

 麗奈の問いかけに、ルーカスは見に行くか聞くと、全員一致で造船所へ行く事になった。









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