スイーツバイキングに行くぞー!②

「チハル、歩いて行くの?」

「うん、この人数だもん、タクシー使ったら3台くらいいるじゃん。」

『場所覚えてるから転移するわね。』

「え?」

 頼子が聞くと千春は答えるが、アイトネはニコリと微笑み手を横に振ると景色が変わる。


「うぉ?!」

「すごっ!」

「え?誰も見てないね。」

『それは大丈夫よ〜、見えないようにしてるもの。』

 皆は周りをキョロキョロしながら呟くとアイトネがドヤ顔で答える。


「チハル様ココが異世界ですか?」

 フランシスが目をキラキラさせながら問いかけてくる。


「そだよ、日本って言う国。」

「凄いですわ!とても綺麗で賑やか!お祭りでもありますの?!」

「いや、これが普通だよ。」

 千春はそう言いながらラルカを見ると、口を開けたままポカンとしている。


「ルカちゃーん。」

「は、はいぃぃ?!」

「口開いてるよ。」

「凄いです!魔獣みたいなのが走ってます!」

「あー車ね、馬車みたいなもんだよ。」

「目つき悪い乗り物ですね!」

「ん?あぁ、正面から見たら顔にも見えないことはないか。」

 笑いながら千春はラルカの感想に答える。


「千春予約入れた?」

「うん、ネットで予約しといたよ。」

「りょ〜、んじゃ行こか。」

「ウチら見えないなら入っても分からなくね?」

「大丈夫よ〜、もう見えてるわ。」

「そなの?」

「えぇ、今はビェリーが認識させにくくしてるだけですもの、声を掛ければ気付くわ。」

 頼子と美桜に聞かれ千春とアイトネが答える、そして皆は店に入る。


「いらっしゃいませー。」

 ドアを開けると音が鳴り、店員が声をかけてくる。


「予約入れた藤井です、ちょっと早いですけど入れますか?」

「はい、大丈夫です、人数の方は変更有りませんか?」

「はーぃ・・あ、大人10人、子供3人です。」

 千春が後ろを見ると、ビェリーとコンが、ユラと並んで立っていた。


「では此方へどうぞ。」

 6人テーブルが並べられている所へ案内され、皆は座る。


「説明するねー、そこにあるお皿に、好きなだけ食べたい物を乗せて、ここで食べます、お残し厳禁、食べれる分だけ取ってくる事!いい?」

「はーい!」

 異世界組はアイトネ以外コクコクと頭を下げて返事をする。


「90分食べ放題だけど、90分も食べ続けるのはアイトネ以外無理だから、のんびり食べてね。」

 千春が説明すると、返事をし、各自席を立つ。


「ビェリーおいで。」

「ヨリ、わっちはケーキだ!」

「ほいよ、私もケーキから行こっと。」

 頼子組はケーキコーナーに向かう。


「ミオ、プリンが食べたいです。」

「いいね、生クリームたっぷり乗せちゃおう。」

 美桜とコンも決めたようだ。


「レナ!フルーツがいっぱい見えますの!」

「オッケー、リリは私のお皿から食べてね。」

 麗奈はリリを肩に乗せフルーツコーナーへ行く。


「チハル様、言って頂ければお取り致しますが。」

「サリナ、ここは自分の好きな物を好きなように食べる所だから大丈夫、サリナも今日は気にしないで好きなだけ食べてね、あと、様禁止ね。」

「は、はい!」

「ほらフランちゃんも行くよ。」

 並べられたスイーツをテーブルから見て呆けているフランシスを千春が促す。


「はい!チハルさ・・ん。」

 戻ってきたアイトネに目をやりながら、フランシスは答えるが、手元を見て更に呆ける、


「アイトネ飛ばすねぇ。」

『そう?』

 アイトネは両手に2枚ずつ皿を持ち、皿にはケーキやフルーツ、ロールケーキにパイと盛りだくさんだ。


「さて、どれから行くかなー、ユラなに食べたい?」

「このまるいの!」

「シュークリームね。」

 ユラの皿に乗せながら、千春も選んでいく、サフィーナとモリアン、サリナ、ラルカの侍女組も楽しそうに皿へ乗せている。


「さぁ、90分一本勝負!頂きます!」

「いただきまーす!」

 皆は一斉にスイーツを食べだす。


「んーんまい!」

「ウチここ久しぶりだわ。」

「私もー、オープンした時ママと通ったわ。」

「私初めてなんだよね。」

「え!?ヨリ初めてなの?」

「うん、だから、何気に楽しみだった。」

 ビェリーと並んでケーキを食べる頼子。


「ユラ美味しい?」

 ユラを見るとシュークリームを頬張り、ウンウンと頷く。


「幸せ過ぎて怖いですぅ。」

 ラルカはオレンジ色のケーキを食べながら感動している。


「それキャロットケーキだよね、人参って分かったの?」

「はい!香りがしました!美味し過ぎますぅ!」

『次は何にしようかしらぁ〜♪』

「アイトネはやっ!」

 4皿をあっという間に食べ終わり、立ち上がるアイトネ。


「飲み物取ってくるけど、いるひとー。」

「はーい、私コーラ。」

「ウチもー。」

「私メロンソーダ!」

「チハル、私が行きますよ。」

 サフィーナがすっと立ち上がり、千春に言う。


「文字読めないし、ドリンクバー使い方わかんないでしょ?」

「それではお手伝いしますね。」

 皆の注文を聞いた千春は、サフィーナと2人でドリンクコーナーに行く。


「グラスに氷入れて、コーラはコレ。」

 グラスを置きぼたんを押すとコーラがでる。


「凄いですね。」

「私は紅茶にしよ。」

「紅茶ですか?!」

「うん。」

 千春がぽちっと押すと、紅茶が出てくる。


「冷たい紅茶・・・。」

「ん?冷たいけど、どうしたの?」

「王国、いえ、あちらの世界では、冷たい飲み物は果実や水くらいなので。」

「そう言えば冷たい紅茶出た事ないね、夏なのに。」

「はい、紅茶は温かい飲み物なので。」

「それじゃ冷たい紅茶は初めてだね、サフィーもコレにする?」

「はい。」

 トレーに乗せテーブルに戻ると、サリナとラルカが受け取り、皆に配る。


「千春、王国のスイーツ店もバイキングしたら?」

「んー、私が経営してるわけじゃないんだよねぇ。」

 頼子が千春に言うと、反応する者が居た。


『スイーツ店があるの?チハル!』

「うん、アイトネ知らなかった?」

『知らないわ!バイキングするの?!』

「いや、しないよ、やったらアイトネ通いそうだし、アイトネ来たら赤字になりそう。」

『ちゃんとお金払うわよぉ、後で教えてね!』

「ハイハイ。」

 そして、30分ほど過ぎた頃には、アイトネ以外の者は手が止まっていた。


「無理。」

「だよね。」

「アイトネ様凄いなぁ。」

 頼子達は、3度目のお代わりを並べているアイトネを見ている。


「ソフトクリームうみゃぁ。」

「あ、千春それ美味しそう。」

「頼子も凄いなぁ、まだ美味しそうとか言えるんだ。」

 チョコソースとストロベリーソースをかけたソフトクリームを、千春とユラは美味しそうに食べている。


「私も食べよー。」

「・・・ウチも。」

「なー!皆んな食べんの?んじゃ私も!」

 胃袋の隙間を埋めるように頼子達も食べ出す、そして90分になるまで食べ続けたアイトネは満足そうだ。


「ご馳走様でした・・・っぷ。」

「・・・くるじぃ。」

「やばい、ベルトヤバい。」

「無理して食べるからだよ。」

「千春精算いくら?」

「あー、お父さんのカードだから大丈夫。」

「え!?チハル様がお出しになるのですか?!」

 驚くフランシス。


「そだよ、私と言うかお父さんだけど。」

「申し訳ありません。」

「いーのいーの、ロイロ達のお酒に比べれば安いもんでしょ。」

「確かに、わっちらの酒代はたこーついてそうやんね。」

「まぁ、お父さんが良いって言ってるから問題なーし!」

 そして精算が終わり、アイトネが千春の家まで転移し王国の部屋に戻ると、皆ソファーに雪崩れ込み倒れる。


「うん、食べ過ぎた。」

 その後、千春から王国スイーツ店を聞き出したアイトネは、女神チートを使い、バイキングにあったスイーツレシピを料理人に再現させ、毎日のように通ったと言う、それを聞いた教会は、女神が顕現するお店と通うようになり、噂が噂を呼ぶ事になる、そして店は大繁盛した。




 


 

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