小説家を目指していたのに無理やり異世界に転生させられた俺は美しい女神が与えてくれた半裸のおっさんと異世界ライフを送っています…

まど

タイトル長くすればPV稼げるって言ってたじゃん…


ーーー麻生 雄ーーー


遠くで誰かが俺を呼ぶ声がする


―――麻生 雄一ーー


柔らかくて暖かい、全てをゆるし、包み込む…そんな女神様の様な声


―――さぁ、目覚めなさい、麻生雄ーーー


何も見えず、何も感じなかった空間に突然光があふれ出して、その中を揺蕩っている様な…暖かな高揚感…


あぁ、このままで、もうずっとこのままで居たい…


俺は何をしていたんだっけ?思えばあくせくと苦しく、辛い現実の中を当てもなく彷徨っている様な人生だったきがする。


やっと天国に行けるんだ…父さん、母さん、俺は…いくよ…


―――目覚めなさい、貴方はまだ死んではいけません、雄一、小説家になりたくて自作小説を投稿し続けているのに誰にも読まれず、評価されず、こんな素人投稿サイトで評価されてる作品なんて中学生向けだ!とかなんとか言っていたら死んでしまった麻生雄一―――


「やめてあげてぇぇぇ!!!」


背景お父様、お母様、私は今、死してなお、女神の手によって【学校の先生をお母さんと呼んでしまった】時の様な気持ちにさせられています。


ーーーあぁ、雄一…ようやく目を覚ましましたねーーー


「おい、あんた…何してくれてんだマジで…ここは何処なんだ?俺は死んだのか?」


ーーー私は転生を司る女神シリウスといいます…麻生雄一…志半ばにして命を落とした貴方の魂を救済する為に、今ここで貴方とこうして向き合っていますーーー


「…魂の救済?何を言ってー」


ーーーこの先貴方には三つの選択肢があります…


一つめ、このまま魂を以前とは違う異世界に送り、様々な能力を有した勇者として転生し、一癖も二癖も有る仲間たちと共に魔王を討伐する人生を送る物。


二つめ、中世ヨーロッパ調の世界で、辺境国の弱小貴族に転生し、良く分からないまま登場人物が全員貴方の事を好きになるような人生を送る物。


三つめ、…そこそこな人生を送る物です。ーーー


「み、三つめの説明が壊滅的に雑すぎる!だいたいなんだそのな○う系ノベルの主人公みたいな転生先は!せっかく気持ちよく死んでたのに!ほっといてくれよ!良いんだよ転生とかしなくて!」


ーーーわかりました、では貴方の魂を浄化して、新な魂として転生させます…ーーー


「いや、聞いてます?要らないんです、転生とかノーサンキューなんです、つー

かいいの?人の話聞かない女神とか居ていいの?【信仰】って知ってる?」


こちらの話を一切聞かず、定時間近の市役所職員の様な一方的な対応をする女神が一瞬おどろいた様な表情でこちらを見る。


ーーーえ?ーーー


「え?」


ーーー生前は子供の頃から憧れていた小説家を目指して、なったり、書いたり読んだりしそうな私小説投稿サイトにいくつも作品を投稿していたのに、一ページ目以降のPVが一向に伸びず、誰からも評価されない現実に鬱々としながら冴えない会社員として生きていた貴方がっ?転生したくないというのですか?ーーー


「ひっぱたきますよ?」


「仕方がありません…私は女神、人の祈りに答える者…では貴方の意思を尊重し、これをもって転生の盟約を履行します!」


「すいませーん、誰かぁぁ上の人ぉ、この人より立場が上の人いませんかぁぁぁぁ!!」


俺の叫びは俺と共に強い光に吸い込まれて消えた。


あぁ、神様、どうか夢オチで有りますように…いや、ダメだろ、神様だろ、俺をこんな目に合わせているのは…俺は一生神には祈らないと固く心に誓った…


かくして俺の転生ライフが幕を開けた…

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