第4話――メールの主
「例のメールの送信元を辿りました。名前は
サイバー捜査部の
また画面に向き直ると、そのあどけない見た目を裏切るかのような目にも止まらぬ素早いタイピングを再開した。
「働いていました? 今はいないってことか?」
「一か月前から突然出勤しなくなったそうで」
九十九は
「看護師の仕事が嫌になって辞めたか?」
福留は首をかしげながら淀みない口調で言った。
「何の連絡もなしに急に来なくなったと。携帯に連絡しても出ず職場の人が身内に連絡をとろうとしましたが、病院に届け出ていた電話番号は現在使われていないものでした。で、てっきり自主退職したものだと思い、病院側も放置してたみたいです。両親共に亡くなっているみたいで、親族とも連絡がとれません」
「
すると、すかさずその冗談めいた呟きに応えるように福留がキーボードを弾くような音を鳴らしながら真顔で返答した。
「親の顔はわかりませんが、本人のなら。病院関係者に問い合わせたら同僚が写真を提供してくれました。これが
松村は思わず
「仕事はえー……」
男性刑事二人は、その画面に表示された写真に顔を近づけた。
仕事の合間に撮ったものだろう。
休憩室らしきところで白の白衣とズボンを履いた女性が三人写っている。
二十代か、三十代くらいに見える女性二人が腰を掛けて笑顔でピースサインをし、その右背後で同じ年代くらいの女性一人が立っている。
「村上はどの女性だ?」
九十九が問い掛けると、福留は右端に立っている笑顔の女性を指差した。
「彼女です」
少し茶色がかった髪を後ろで
写真を見た松村が、
「見た目はまともそうですね。もしや、病院に来なくなったのは事件に巻き込まれたとか?」
そう言うと、九十九がその写真を見つめたまま呟いた。
「このメールの送信日時は事件の前夜だ。少なくとも、それまでは生きていたってことだ」
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