俺と男友達は、互いの母親を愛している

あかせ

俺は熟女好きだ!

 俺は母さんぐらいの年上の女性がタイプだ。自分の考えがマイナーなのはわかっているから、誰にも言った事がない。


そう、彼に会うまでは…。



 俺の父さんは小さい頃からと、母さんから聴いている。

物心つく前からいなかったんだ。それを信じるしかないよな。


そんな父さんだが、俺が小5の時に赴任先で亡くなったらしい。

原因は交通事故だそうだ。それ以外のことは、聴かされていない…。


俺が学校に行っている間、母さんが葬式とか色々やったようだ。

葬式に俺を参加させなかったのは、母さんなりの配慮だろう。



 女手一つで俺を育ててくれる母さんには、とても感謝している。

その影響で、母さんのような強いというか頼れる女性がタイプになった。


しかし周りの男子は、同学年もしくは若くて可愛いアイドルがタイプみたいだ。

話を合わせるために適当に答えるが、苦痛で仕方がない…。



 俺が中1になったある日、俺の家の隣にある家族が引っ越してきた。

水無瀬さん、というらしい。お母さんと男子の2人で、挨拶に来た。


お母さんは『千尋』さん。男子は『悠真』君とのこと。


…千尋さん。年上ならではの包容力・気品を感じるな~。

もちろん、オシャレを手抜きしていない。


俺は、千尋さんに一目惚れした…。


どうやら水無瀬家も、単身赴任先で父親が亡くなり現在母子家庭らしい。

俺の家と全く同じ境遇のようだ。


この出会いは運命なのかな? と言って良いかも?


俺の母さん・千尋さん・悠真君も同じことを考えたのかな?

あっという間に意気投合。近所付き合いを超えた関係になった。


母子家庭は大変だ。母さんが長時間働かないといけないからな。

なので母さんがいない時に何かあったら、俺は千尋さんに頼るようになっている。


もちろん逆のケースになったら、悠真君は俺の母さんを頼るがな。



 中2のある祝日。俺は悠真君の部屋でゲームをしている。

悠真君はゲームが上手い。俺はほとんど勝てないぜ…。


キリが良いタイミングで、扉がノックされる。

…千尋さんがお菓子とジュースを持ってきてくれた。


「2人とも、ゲームは程々にするのよ」


「わかってるって」

悠真君は面倒そうに答える。


「慎吾君、ゆっくりしていってね」

千尋さんは、笑顔で俺の名前を呼ぶ。


「…はい。ありがとうございます」


俺の言葉を聞いた千尋さんは、悠真君の部屋から出て行く。


千尋さん…。今日も美しいな…。

彼女が出て行った扉を見つめる俺。


「慎吾君ってさ…」

悠真君が何か言おうとしてるので、彼のほうを観る。


「どうした?」


「僕の母さんのこと、気になってる?」


…え? 俺が千尋さんに一目惚れしてるのがバレてる?

こんなの知られたら、ドン引きされてしまう…。


「えーと…」

強く否定すると、逆に怪しまれるよな。どう否定すれば良いんだ?


「安心して、責めてる訳じゃないから。僕もさ、初めて会った時から綾香さんのことがずっと気になってるんだよ」


「俺の母さんを!? 何で?」


「綾香さん。美人だし母性溢れてそうだし、タイプなんだよ」


「マジか? 千尋さんのほうが凄いだろ?」

母さんが美人ねぇ~…。まったく思ったことがない。


「…ってやつだね」

悠真君がつぶやく。


「…だな」


母子家庭の家族が隣に引っ越してきただけでも凄い偶然なのに、異性のタイプまで同じなのか。これは偶然では片付けられないだろ…。



 お互いの異性のタイプがバレた後、俺と悠真君の仲はさらに進展した。

彼以上の親友は、今後見つからないだろう。


そんな理由で、同じ高校に入学した俺達。

物語は高1になった今、始まるのだ…。

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