222

 夏休みにも関わらず、どのクラスも文化祭の準備で大忙しだった。賑わう学校の廊下を急いでいた、そのとき。背中にドン、という衝撃があってよろめいた。すかさず大きな手が私の腕を掴む。


「ごめん! 大丈夫?」

「う、うん」


 男子生徒は「よかった」と笑顔になり、そのまま去っていった。彼の名前は何というのだろう。

 賑わうなか、私の心臓の音だけが鼓膜に響いていた。

 

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※綺想編纂館 朧(@Fictionarys)様主催の小説企画「文披31題」参加作品です。

Day 22:賑わい

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