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 彼は、傘をさすのが下手だ。というか、大きな体に対して傘が小さい。

 雨の日の仕事から帰ってきたら、いつもスーツや鞄がぐっしょりと濡れている。傘を変えなよ、と言ってみても、「いいのいいの、安いスーツだから」と、タオルで濡れた髪を拭きながら笑う。

 私が何年も前に初めて彼にあげたプレゼントは、今日も玄関で濡れた体を休めている。


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※綺想編纂館 朧(@Fictionarys)様主催の小説企画「文披31題」参加作品です。

Day 1:傘

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