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「あら、ついに。おめでとう」


 娘と電話している妻の声が少し高くなった。私は野球中継を見ながら聞き耳を立てた。


「向こうの親御さんは? そう。お父さんに代わろうか?」


 はやる気持ちをおさえ、妻が渡してきた受話器を耳に当てる。


「お父さん? あのね……」


 娘の少し弾む声に耳を傾けながら、私は静かに「おめでとう」と伝えた。

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