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「わたしの心臓、石でできてるの」


 僕は聞き間違えたかと思い彼女が訂正するのを待ったが、無言の時間が続いた。沈黙を破ったのは僕だ。


「どういうこと?」

「そのままの意味。触ってみる?」


 彼女は僕の手首を掴み、その豊満な胸の上に乗せた。慌てる間もなく、彼女の柔らかな皮膚の下に硬いものがあることに気づく。


「ね」


 彼女のロードナイト色の唇が弧を描いた。

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