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「そっちに行こうか?」

「いいよ、大したことない。明日も仕事だろ?」


 孫の世話もあるだろと、娘の申し出を断って電話を切った。風邪気味だが医者も大したことないというし、早めに床につくことにした。部屋が暗闇に包まれる。


「おおい……」


 呼びかけても返事がない。ああ独りだ。仏壇に写真が飾られている妻が生きていたら、私のことを笑うだろうか。

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