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事件が起きたのは図書館だった。貴重な所蔵本が無くなっていたのだ。
「本を盗むなんて、許せないわね」
放課後、いつも図書館に居座っている今野さんは眼鏡を指で押し上げる。レンズで歪んだ二重の目が、図書委員である私を貫いた。
「ねえ。図書委員さん?」
彼女は気づいている、私が本を盗んだことを。カウンターの下に隠した本を握りしめ、今野さんを睨み返した。
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