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「絶対にあの石に触ってはならん」


 物心ついたときから、祖父に厳しくそう言いつけられていた。祖母や母は触っても何も言われなかった。


「あれは女石だ。男のおまえが触れば災いが起こる」


 なんてことのない、拳くらいのよくある普通の石だ。そのはずなのに。なぜ俺は手を伸ばそうとしてしまうのだろう。

 指先が石の表面に触れた途端、目の前が強烈な光で満たされた。

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