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「もう終わりにした方がいい」


 真田は眉をひそめて私の目の前に一枚の書類を差し出した。もう二十年の付き合いだ。苦楽を共にした彼の心情が伝わってくる。


「不思議だな。満ち潮のときには人が寄ってくるのに、引き潮では離れていく。私は良い友人を持ったな」


 長年携わっていた会社の不正を明らかにする書類にサインをし、私は真田を置いて部屋を出た。もうこの部屋に戻ることはない。

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