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 母の遺品を整理していると、古い菓子缶が出てきた。錆びついた蓋を開けると、刺繍道具とたくさんのアップリケが収められていた。幼い頃、転んでズボンが破けると、母は流行のキャラクターのアップリケを作って繕ってくれた。優しい母だった。


「どれだけ俺が転ぶと思ってたんだよ……」


 落ちた涙がアップリケに染み込んでいった。

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