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「あ、あの」


 電車の中、文庫本から視線をあげると、目の前に見知らぬ男子高校生が立っていた。


「何か?」


 私が尋ねると、彼はポケットから紙片を取り出した。それを私が読む本に挟むや否や、そのまま電車を降りた。

 紙片にはメッセージアプリのIDが書かれている。その意味に気づいた私は、思わず電車を降り過ごしてしまった。

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