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 玄関の扉を開けた瞬間、全身の肌が泡立った。袖から入り込む柔らかな湿った空気は冷たく、鼻腔の奥まで届いたのがわかった。風でなびく前髪で、視界が遮られた。

 僕はそのとき初めて、僕から彼女を奪った夏が終わったことを知った。

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