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 駒ケ岳こまがたけに夏の雲が沸き立って、まるで活火山のように私を見据えている。稜線が私に「それでいいのか?」と問うてくる。


「どうしたの?」


 私の顔を覗き込む妻に、大丈夫だと答えた。

 父が倒れたと連絡があった。三十年来会っていない。今さら会って何になるというのだろうか。

 駒ケ岳は答えてくれない。

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