21

「その『ヒロちゃん』って呼び方、そろそろ止めて」


 三つ年下の幼馴染がふてくされている。面白くなって、私は彼に交換条件を出した。


「じゃあこれからは下の名前で呼ぶから、私にも何かちょうだい」


 黙り込んだ彼の目が私を射抜いた。知らぬ間に表情が大人になっていた。彼は私の前にひざまずいた。


「これからの僕の人生を、ぜんぶあげる。だから、僕のことを男として見てよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る