03

 ベッドで目が覚めた。体を起こしながら、おそるおそる周囲を見回す。


「ここは……」

「アポロニアです」


 声の主は美しい女性だった。彼女は読んでいた本を閉じて答える。


「この世界を紐解こうとする天文学者だけが集う国です」


 絶海の孤島にあるその国の名を、当時の私は知らなかった。天井にある天窓から、夜空の絨毯じゅうたんに幾千の星が散りばめられているのが見えた。

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