02

 サムネイルをクリックした指が止まった。真っ暗な画面から流れ出したハスキーボイスが私の耳を貫いた。


「なに、これ……」


 眼鏡越しにパソコンの画面に釘づけになる。バーチャルアイドルの可愛らしい外見とは裏腹に、空気を切り裂く声。


「これだ」


 この部屋から、世界を掴める気がした。

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