第26話 地上 1

「これって! 溶岩?!」


ミルルカの言葉に僕も直ぐに頷く。

これってまずくないか?

多分僕が張った結界のせいで熱まで遮断していたのか、今僕達がいる場所がかなり地下深くマグマ溜まりの近くに来ていた事が分からなかったんだ。


『ミルルカ! 僕に捕まって!』

「何?! 何なの?!」

『噴火するかもしれない!!』

「え? 噴火? ルカ君!!」


訳も分からずミルルカがガードするように僕を胸に抱きかかえてくれた。


『魔力のサポートお願い!!』

「え? は、はい!!」


その言葉を聞いた瞬間、一瞬で周りが赤く染まり、大砲で打ち出されたらこんな感じだと思える程に、上に向かって急激に加速していった。

身体が上から押し付けられる感覚と上下左右に振り回される衝撃に意識が保てなくなって行った。

ただ無意識にミルルカを守るということと、この噴火の行き先が集落の方向へ向かない様にという事を強く思っていたと思う。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・???????


・・・・・・「ル・・・・・・・・・・カ」


・・・「ルカ」


「ル・・カ・・・・ルカ・・・・ルカ君・・・ルカ君!!」

『わ?! ビ、ビックリしたあ!!』

「良かった目が覚めたんだね!」


ミルルカの声?

助かったのか?


「ルカ君! 色々考える事はあると思うけど今はこれをどうにかして!!」


ミルルカの悲痛な叫び?

凄く鬼気迫っているというか?


「ルカ君!! もう魔力が持たない!!」

『どうしたの?』

「どうしたのじゃないの!! 下! 下を見て!!」


下?


『下がどうしたって言う・・・・ええええええ!!! な、何これ!?』

「だから、何とかして!! もう魔力が底ついて保てないよ!!」


何で!? 何で! 何で下に火山の火口が見えるんだ?!

それにマグマが流れ出してるし、これって活火山?!

噴火してるじゃないか?

いや、そんなことより何でそれを遥か上から見下ろしてるんだ?!


「もう、だめ、堕ちちゃう、許して!」


こら! ミルルカ! 何かに抵触しそうなこと言わないの!!

ってそんな場合じゃない!

どういう訳か分からんけど、僕とミルルカは火山噴火最中の山の上、遥か上空に留まってる。

ただ、僕を両腕と足を絡めながら震えながら上に引っ張りあげる様にもがくミルルカの姿を見て何となく察した。


『ミルルカが浮遊魔法で助けてくれたの?』

「そ、そんな可愛らしく下から見上げてないで、なんとかして!! あ、でも可愛いルカ君と死ねるなら・・」


あ、駄目だミルルカの体から力が抜けそうになってない? ・・・まずい! 落ちるぞ!?

僕は、必死に考える。

そうだ! ミルルカが危険な時に転移と防御の魔法が使えたんだ!

今回も危機的状況だから無意識に発動・・・・・・・・・・・・・・しない!!

どうする?!

僕は藁をもすがる思いでミルルカの手に目一杯しがみついた。

もしかしたら今発動しているミルルカの浮遊魔法のヒントが掴めるかも・・・・・・・・・・・・・

すると、僕の中にミルルカの手から魔力が流れ込んで来た。

これって・・・・・この感覚・・これに一致する魔王さんの知識を探り出して・・・・・・・


『あ、あった。魔法陣はこう? それで無属性魔法で・・・あれ? 僕って無属性って持ってたかな?』

「え? ええ? 持ってないの?!」


いや、魔王さんの魂と融合したんだから・・・そうだ! あの奈落に落とされた時の感覚! 魔王さんが僕を助けてくれた時の魔法の感覚! あれだ!!


『ミルルカ! もうちょっと我慢して!』

「え? ん、んんんん、もう、だめ! 我慢出来ないの! 早くして! お願い!!」


だからそれはアウトだって! 僕が集中できなくなるから!!


など、すったもんだしながらようやく浮遊魔法の感覚を掴めた。


『よし! ホバー!』

「あ、軽くなった・・・」

『もう大丈夫だよ。ミルルカ』

「はあ~・・・良かったあ~、ルカ君の防御結界の魔法サポートに相当魔力を消費してたから、もう駄目かと思ったよ」


そうか、やっぱりあれは火山の噴火だったんだ。

それにモロに巻き込まれたけどミルルカのサポートもあって防御結界が上手く制御できて、でそのまま噴火に乗って打ち出されてしまったのか・・・・・・ん? 待てよ?


『ちょっと、待って!? 今、僕達火山の噴火見てるよね?』

「え? そうだね」

『これって、奈落じゃないよね?』

「そりゃあこんな大きな火山が奈落に有るわけない・・・・え?」

『ここ、地上だ』

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