第11話 鯀と共工の終わらない攻防戦

【冥界・四罪殿、廊下】


ダダダダダダダダダッ


驩兜「騒がしいな。またか?」(本読みながら)


三苗「まただねー。ま、キョウちゃんの気持ちは分かるけどね。さて、今日は何を着せようとしてんだろーねー」(今の扉を開けて廊下に顔ヒョコッ)


ダダダダダダダダダッ


共工「こんちゃん、何で逃げるの!?」


鯀「その手にあるものを捨てたら逃げるのやめるよ……っ!」


共工「捨てる!? ちょっとこんちゃん、いつからそんなこと言う子になったの! 兄さんは悲しいよ!?」


鯀「ううっ……女物の服を着せようとする共さんがどうかしてるって自覚してよ!! うー……」


三苗「あ、やべぇ」


驩兜「どうした?」


三苗「鯀が泣きそう」


共工「こ、こんちゃん!? な、泣いちゃだめ!!」


鯀「うー……」(涙ポロポロ)


三苗「あ」


ぼふんっ


鯀「……ふぇーん……」(少年姿になる)


共工「こ、こんちゃん……っ! だから泣いたらだめって言ったでしょ! これ着れないじゃん!!」(超丈の短い中華服出す)


鯀「き、着たくないもん……」


【鯀は涙を流すと少年の姿になってしまうのである】


共工「はぁ、せっかく可愛いの見つけたのに……」


三苗「あーあ、キョウちゃん落ち込んじゃったよ。……驩兜、あれどうする?」


驩兜「…………」(本を置いて部屋を出て鯀の所に行く)


鯀「か、驩さん……?」


驩兜「ん」(しゃがんで腕を広げる)


鯀「……!」(とても嬉しそうにして抱きつく)


驩兜(鯀を抱き上げる)「……共工、それはもう処分するか、人にあげるかしろ」


共工「えー!? せっかく買ったのにもったいな……」


驩兜「鯀に嫌われても知らないぞ」


共工「すぐ処分なりなんなりするから嫌わないでこんちゃん」(超早口)


驩兜「……だそうだ」


鯀「…………共さんのこと、嫌いにならない。けど、ちょっとはその、女装させようとするの、控えて……。露出多いのやだから……」


共工「ぜ、善処します」(血涙)


驩兜「一件落着だな。鯀、今から胡麻団子を作るが、食べるか?」


鯀「食べる! 驩さんの胡麻団子大好き! えへへ」


共工「こんちゃん……カンちゃんにだけ……僕にもあんな笑顔向けて欲しいよ!!」


三苗(共工の肩ぽんっ)「……キョウちゃん。鯀の可愛さも鯀への思いも分かるけどさ、ちょっとは鯀への愛抑えようぜ」


三苗(まあ、多分無理だろうけど……)


共工「が、頑張る……」


【と言っていたのに翌日、共工がまた別の服で同じことを繰り返すのは言うまでもない】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

中華天界物語 煌烙 @kourakukaki777

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ