第178話 お餅つき。
「おりゃあぁぁぁッ!!」
ぽすん。と威勢の良い割には可愛らしい効果音が響いた。
陽向さんは重たい
周りのガヤや直人さんは微笑ましそうに頑張る陽向さんを見ている。
保護者参観みたいだ。
「ふぅーー。疲れた」
陽向さんは清々しい顔をしながら額の汗を
新年からさっそく癒される光景は、寒い中来てよかったと思えた。
「おねえさん、わたしもやりたい」
「美心ちゃんもやってみる?」
「ちょっとだけだぞ? 美心。重たいからな? これ」
「直人さん、陽向さん、皆さんあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「健君、あけましておめでとう。今年もよろしく」
「健くんあけましておめでとうっ! 今年もよろしくね〜」
「見明さん、美心さん、月下組の皆さんもあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「おう本部。あけおめ。ことよろ」
「けーちゃん! あけおめ! ことよろ!」
雑貨屋ひまわりはいつになく賑やかだ。
キッチン奥からパタパタと慌てて桃原もやってきた。
「本部くん、あけましておめでとう。今年もよろしくね」
「桃原さん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
右のほっぺに小麦粉らしき粉を付けている桃原。
可愛いなおい。ほんとに男なのか? 違うな。違ったわ。やっぱ女の子だわ絶対。
「楽しそうですね」
「わたしが取り寄せたんだよ〜餅つきしたくて」
ニッコニコな陽向さんが杵を振るう美心さんたちを見つめながらそう言った。
見明さんたちも来ていたのは聞いていなかったが、桃原か陽向さんが呼んだりしたのだろう。
既に完成したお餅もラップを敷かれたテーブルに置いてあり、組員たちはそこからお餅をとっての各々好きなものをトッピングしたりしていた。
「本部さん、見明さんたちの次、私たちもやりましょう!」
「じゃあ僕はお餅をひっくり返すのやりま……やっぱ僕がやります」
「本部さん今、杵を鈍器と判断しましたよね? そうですよね?」
「危ないなぁと思いまして。主に僕が」
「私の武器は常に携帯できる小さい
暗殺者みたいな事を言って不服そうにしている黒須さんなので仕方なく杵を持つ役を譲った。
まあ、そこまで心配とかはしている訳ではない。
ちょっとからかっただけである。
「くまちゃん、もうむり。おもたい……」
「美心、よく頑張ったな」
見明さんの姉バカっぷりは今年も健在なようだ。
こちらもこちらで微笑ましい。
「天使さんは来てないんですね」
「誘ったのですが、お母様と用事があるようでして」
「そうなんですね」
「では次、やりましょ」
「張り切ってますね」
手を洗い、僕も黒須さんも準備は万端。
黒須さんは女の子らしい細い腕で軽々と杵を持ち上げてお餅をつき始めた。
どうやってこんなに器用に扱っているのだろうと思うほどリズミカルに餅をつく黒須さん。
「楽しいですね! これ」
「結構ペース早いですね」
初めて餅つきをすると言っていたのだが、初めてやる人がつけるペースでは無い気がする。
杵と臼がぶつかり合う音を軽快に響かせる黒須さんのペースは段々とさらに早くなっていく。
どうやら黒須さんは身体全体の使い方が上手いのだろう。杵に振り回されることがない。
上がっていくペースに僕も合わせて餅をひっくり返していく。
昔テレビで見たような早業の職人みたいなレベルになっているが餅はしっかりとできてきている。
内心僕は手が
「……透花ちゃん、あんなに揺れて羨ましいなぁ……」
陽向さんが自分の胸を押さえて小さく
貧乳、嫌いじゃないですよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます