金髪ギャル天使がモブな僕の料理をやたら褒めたあげく、料理を教えて欲しいと言われてから始まる両片想い。
小鳥遊なごむ
第1話 同じクラスのギャル天使。
陰キャでモブな僕が教室でお弁当は食べてはいけない。
それに気づいた時にはもう遅かった。
「
高校に入学して2日目。
僕は今、早くもクラスのトップカーストと思われるギャルに絡まれている。
「ねぇねぇ本部くん、これって自分で作ったの?!」
「え、あ、はい……」
「マ?! ちょー可愛いじゃん!!」
金髪ロング、派手なピアスと化粧。
学生とは思えないキラキラな指先。
入学2日目にしてクラスの背景となっている僕の名前をなぜか覚えているコミュ力化け物。
「ねぇねぇ、おかずの交換しない? これちょー美味しそーなんですけど?!」
「
「
「違うし!! てか見てマジで!! 可愛くない?!」
わらわらと僕の席に集まってくるギャル御一行。
……こ、怖い。ほんとにカツアゲされる?
別にそんなに女子ウケしそうなお弁当を作ったつもりはない。
キャラ弁とかじゃないし、動物モチーフとかでもない。
ちょっとインスタ映えを意識しただけの普段の料理の延長でしかない。
モブのくせにインスタとかすんなとか言わないで下さい顔出しとかしてないしホントにただの趣味なんですはい……
「本部くんてさ、料理得意なの?」
「……得意というか、仕方なくしてるだけ、です」
いつまで僕の席に居座るんだよ……
周りからも見られるし居心地悪い。
てか
絶対いじめの対象にされる……嫌だな。
「すごいなぁ。あたしもさー自分で作ってるんだけど全然でさ〜。好きなインスタグラマーさんの写真みたいに作ってみようって思っても中々ねぇ〜」
「は、はぁ……そうなんですね」
なぜ僕の机でお弁当を取り出す……
しかも壊滅的な光景が弁当箱の中に広がっているじゃないか……
「
いつの間にか「お師匠」になってた、僕。
師匠なんて呼ばれる程フォロワーさんなんていないんだが。
「あたしもこんな風に作りたいんだけど、どう?」
天使さんが見せてきた画像は僕のインスタの写真だった。
……どうやら好きなインスタグラマーとは僕だったらしい。
「……が、頑張ればきっと……」
「う〜ん。なんでできないんだろ〜」
バリバリという咀嚼音のする目玉焼きは本当に目玉焼きなのだろうか……
正露丸とか必要なんじゃないか……それ。
「本部くん、そのおかず、ちょうだい?」
「あ、はい……どうぞ……」
次からは1人で食べられる所を探して食べようそうしよう。うん。
「んん〜んっ!! おいしー!!」
頬に手を当てて、幸せそうに味わう
その顔を見て思わず好きになりそうになってしまった。
今まで家族以外に食べさせた事はなかった。
そんな僕の料理を食べて美味しいと言ってくれる天使さん。
「本部お師匠! あたしに料理教えて下さいっ!!」
お願いっ! と両手を合わせて頼み込んでくる天使さん。
「あたしもこの人みたいになりたいの!!」
僕のフォロワーである天使さん。
なんの因果かわからない。
ネット上の繋がりだけの人が、こんなにキラキラしていて、陰キャで
「……わ、わかり、ました」
「マ?!」
「……近い、近いです
僕みたいな奴には天使さんの至近距離キラキラ笑顔は暴力的過ぎる……
「ありがと〜お師匠。あたし、頑張るね!!」
僕の手を握って笑顔の天使さん。
成り行きとはいえ面倒な事になってしまった。
それでも、純粋に自分のお弁当を食べた時の天使さんの顔を思い出すと、それでもいいかと思えてしまった。
「お師匠、もう一個もらっていい?」
「……どうぞ」
「いぇい」
僕の平穏に始まるはずの高校生活は
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